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第7話、少年時代3、前世の記憶を話す
しおりを挟む苗を植えるのを止めて訓練場に行くと、警備隊長のチャドが。
「マリュウス坊ちゃん、筋肉がついて逞しい身体になりましたな」
警備兵は皆筋肉モリモリで父上は筋肉は嘘をつかないと言い、筋肉のトレーニングに励んでいるみたいだ。
暫くして警備兵の訓練が終わり、父上が僕に剣を渡して。
「最初は剣の素振りだ。俺が手本を見せるから真似をしなさい」
父上はサンビア王国の剣の大会で優勝した事もある剣の達人で振り下ろす剣の早さが見えないくらいだ。
僕は前世の剣道をしていた時は毎日竹刀を千回振っていたが本物の剣を振るのは初めてで重いので最初は戸惑った。
慣れて来ると速く振れて父上が驚き。
「マリュウス、本当に剣を振るのは初めてなのか? 最初にしては上手で驚いたよ」
「はい、初めてです」
前世で剣道をしていたので本物の剣を振るのは初めてだったがその時の経験が役に立ったみたいだ。
父上が剣の2倍はある重さの鉄の棒を渡し。
「これからこの鉄の棒で毎日千回の素振りをしなさい」
子供の僕にこんな重い鉄の棒を千回も振らすとは、父上は鬼か。
重い鉄の棒を振ってクタクタになり、薄い塩味の不味い夕食を取り、食後のこれだけは美味しいコーヒーを飲みながら両親とクレア姉さんに。
「お話がありますが、聞いていただけますか」
父上が。
「改まって話とは何だ」
「驚かないでください。僕は死にかけて高熱で苦しんだ後にこの世界と違う文明の進んだ世界の記憶が蘇ったのです。気味悪いと思われて嫌われるのが嫌で黙っていました。ごめんなさい」
母上が。
「馬鹿ね。そんなことでマリュウスを嫌いになるはずがないでしょう。私の知っている人も前世の記憶を持っている人がいるわ。でもこの世界と違う世界の記憶を持っているのは珍しいわね」
拍子抜けしたぜ。僕が悩んだのは何だったのだ。
生まれ変わった少年が死んで僕の魂が乗り移った事は家族を悲しませるので言わなかった。
勿論、前世が99歳の老人だった事も卑怯だが言わなかったのだ。
それにしても言葉とは不思議なもので99歳から7歳になったので見た目の姿のせいか年寄りの言葉が出なくなった。
だが、これで遠慮せずに前世の知識を使って農業が出来る。
次の日にトマトとキュウリの苗を植えているとクレア姉さんが興味深そうに。
「それは何の苗なの? 」
「これは前世の作物でトマトとキュウリだよ。召喚魔法で取り寄せた」
「ええー! 前世の作物も召喚出来るの」
「うん、僕の魔力がもっと増えると前世の農機具や機械も召喚できるよ」
「すごーい! 早く魔力を増やしなさいよ。魔法を使えば使う程、魔力が増えると聞いた事があるわ」
「そうなのか? 」
「私は来年王都にある貴族の学園に入る勉強をしているけれど、試験勉強をしていたら参考書に書いてあったわ」
僕は知らなかったが、貴族の子供は13から15歳までキィウ王都にある王立学園に入る義務がある。
勿論、簡単な入学試験があるが余程の事がない限り全員入学が出来るそうだ。
僕は8歳なのでまだ先だがクレア姉さんは来年13歳なので来年キィウ王都にある王立学園に入学して寮に入るみたいだ。
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