異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

文字の大きさ
4 / 753

迷い込んだお菓子屋さんの災難

しおりを挟む
目が覚めると、甘い香りが鼻をくすぐった。

「わー! またやっちゃった!」

翔はため息をついた。またしても、知らない場所に飛ばされてしまったのだ。彼の日常は、そんな具合に突如として異世界へワープすることの繰り返しだった。今回は、どこだろう?

あたりを見回すと、そこは可愛らしいお菓子屋さんの店内だった。ショーケースには、見たこともないようなカラフルなケーキや、キラキラ輝く宝石のようなキャンディーが並んでいる。店名は「ヒツジ商会」。羊のイラストが描かれた看板が、なんだかほっこりした雰囲気を醸し出していた。

「いらっしゃいませ!」

元気な声が聞こえ、翔は振り返った。エプロン姿の女性が笑顔で迎えてくれた。彼女は、栗色の髪をポニーテールにまとめ、大きな瞳が印象的な、可愛らしい女性だった。名前は、どうやら「丹羽 庭子」さんらしい。

「あ、あの… すみません、ちょっと… 迷ってしまって…」

翔は戸惑いながら説明するが、庭子さんは全く動じない。むしろ、楽しそうに笑っている。

「迷子ですか?よくいらっしゃいますよ、このお店に。…まさか、また翔さん?」

庭子さんの言葉に、翔は目を丸くした。どうして名前を知っているんだろう?

「え? 知ってるんですか?」

「もちろんです!あなた、もう何回も迷い込んできてますよね。毎回、大変な騒ぎになるんで、もう顔見知りですよ」

庭子さんは、まるで翔のワープ常習犯っぷりを熟知しているかのような口ぶりだった。どうやら、このお菓子屋さんは、異世界のワープポイントになっているらしい。

その時、大きな音が響いた。店の奥から、何かが爆発したような音だ。

「こ、これは…久藤さんの仕業かしら…」

庭子さんは顔を青ざめた。久藤さん…誰だろう?

奥から出てきたのは、白い白衣を着た、ややぽっちゃりとした男性だった。彼の周りには、焦げ臭い煙が立ち込めていて、どうやら彼が爆発の原因らしい。

「あ、庭子さん!すみません!ちょっと実験が失敗しちゃって…」

男性、久藤雄生さんは、慌てふためきながら謝罪した。どうやら彼は、魔法使いで、このお店の裏で新しいお菓子の開発をしていたらしい。

「実験…失敗…って、またですか!?」

庭子さんは、呆れ顔で額に手を当てた。

「今回は、爆発する魔法のキャンディーを作ろうとしてたんですが… ちょっと配合を間違えちゃったみたいで…」

久藤さんは、申し訳なさそうに頭を掻いた。そのキャンディーは、食べると体が小さくなったり、大きくなったり、空を飛べたりするらしい。

「翔さん、今回も何かやらかしてくださいよ…」

庭子さんは、翔を見てため息をついた。

翔は、これまでにも異世界で様々なトラブルを起こしてきた。今回は、久藤さんの魔法のキャンディーのせいで、さらに大騒動になりそうだ。

まず、翔が誤って魔法のキャンディーを食べた。すると、彼は巨大化し、店の天井に頭をぶつけた。

それから、小さくなった翔は、お店のネズミに追いかけ回された。

さらに、空を飛べるようになった翔は、店の外へ飛び出し、街中を大混乱に陥れた。

結局、翔は庭子さんと久藤さんの協力で、元のサイズに戻り、無事に事件は解決した。しかし、店はめちゃくちゃになり、翔はまたしても謝罪することになった。

「本当に…あなたとは、毎回大変ですね…」

庭子さんは、疲れた様子で言ったが、その顔には、どこか微笑みも含まれていた。

翔は、またしても異世界から消えた。どこへワープしたのかは、彼にもわからない。だが、一つだけ確かなことは、彼はまた、どこかの異世界で騒動を起こすだろうということだった。そして、もしかしたら、また「ヒツジ商会」に迷い込むかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

タイム連打ってなんだよ(困惑)

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」  王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。  パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。  アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。 「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」  目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?    ※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。 『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。

最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました

チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。 完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。 【捕食】 それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。 ゴブリンを食べれば腕力を獲得。 魔物を食べれば新スキルを習得。 レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。 森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。 やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。 これは―― 最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...