異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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卒業の白ドレス

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ルベールは、鏡に映る自分の顔を見つめた。純白のドレスが、彼女の肌をより白く見せている。卒業式。三年間通ったこの学園を、そして、このドレスを着て踊る相手を、彼女は既に決めていた。

シャロン。婚約者。

ルベールは、息をゆっくりと吐き出した。胸に抱える感情は、複雑で、言葉では言い表せないほどだった。三年間、彼女はアルベールを愛した。学園で出会った、笑顔が眩しい青年を。アルベールは、貴族の息子。裕福で、誰からも好かれる魅力的な人物だった。だが、彼は婚約者を持っていた。ルベール自身も、シャロンとの婚約を解消する選択肢はなかった。

それは、ルベール家の存続に関わる、大きな問題だったからだ。

アルベールとの恋は、最初から、終わりが見えている、儚い恋だった。三年間、学園で彼と過ごす時間だけが、ルベールにとっての幸せだった。隠れて会う時間、見つめ合う時間、そして、アルベールの手のぬくもり。それらは、ルベールにとって、かけがえのない宝物だった。

しかし、その幸せも、卒業式を目前に、終わりを告げようとしていた。

アルベールは、他の女性と浮気をしていた。相手は、学園で人気の高い、華やかな令嬢だった。その事実を知った時、ルベールは何も感じなかった。悲しみも、怒りも、何も。ただ、空虚な気持ちだけが、胸に広がった。

三年間の恋。それは、まるで、砂の城を築くようなものだった。美しく、儚く、そして、あっという間に崩れ去ってしまう。

卒業式当日。ルベールは、シャロンと並んで、会場の入り口に立っていた。シャロンは、ルベールよりも背が高く、華やかなドレスを着ていた。ルベールは、彼女のドレスの美しさに、思わず目を奪われた。

シャロンは、気品があり、優しく、そして、少し寂しげな表情をしていた。アルベールとの浮気を知っているのだろうか?それとも、知らないのだろうか?ルベールには、分からなかった。

式典が始まり、卒業証書を受け取る順番が、ルベールに回ってきた。壇上に上がり、証書を受け取るとき、ルベールは、シャロンの方を見た。シャロンは、優しく微笑んで、ルベールに頷いた。

その微笑みに、ルベールは、静かな怒りを感じた。

まるで、全てを知っていて、許しているかのような、余裕のある微笑みだった。

卒業式の後、舞踏会が開かれた。ルベールは、シャロンとゆっくりとワルツを踊った。シャロンは、ルベールの手を優しく握りしめ、そして、耳元でささやいた。

「アルベールさんとは、もう会わないでください。」

その言葉は、静かで、しかし、力強いものだった。まるで、ルベールへの警告、そして、アルベールへの断罪のように。

ルベールは、シャロンの言葉に、何も答えることができなかった。ただ、彼女の言葉の意味を、静かに受け止めることしかできなかった。

舞踏会が終わると、ルベールは、一人、学園の庭を歩いた。満開の桜が、風になびいていた。三年間、この桜の下で、アルベールと過ごした時間。その記憶が、鮮やかに蘇ってきた。

そして、ルベールは、静かに笑った。

それは、悲しみの笑いでも、怒りの笑いでもなかった。ただ、静かな、そして、深い満足感に満ちた笑いだった。

アルベールは、彼女を失った。そして、シャロンは、アルベールを失った。そして、ルベールは、彼ら二人を失った。

しかし、ルベールは、それ以上のものを手に入れた。静かな報復、そして、静かな幸せを。

彼女は、この学園を、そして、この恋を、忘れることはないだろう。しかし、それは、決して悲しみとしてではなく、人生の貴重な経験として、彼女の心に刻まれるだろう。

卒業の白ドレスは、ルベールにとって、新たな始まりを告げる、美しいドレスだった。そして、そのドレスを着た彼女は、静かに、そして、凛として、未来へと歩みを進めていった。
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