異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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王女の隠された婚約者

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ミリアは、王都で一番賑やかな宿「金の豚」の娘だ。父ゼルドーはいつも朗らかで、宿はいつもお客さんでいっぱい。ミリアは、そんな父の自慢の娘として、いつも笑顔で接客していた。

だけど、最近、ミリアの心は騒がしい。王女ラルダ様の婚約発表からだ。相手は非公表。王都中が、その正体を探っている。ミリアだって、気になって仕方がない。特に、宿に泊まる魔導騎士団の面々から、何かしら情報を得られないかと、いつも耳を澄ませていた。

ある日、いつものように騎士団員クロドが宿にやってきた。「ミリア、いつもの部屋を用意してくれ。」いつものように、クロドは笑顔で言った。でも、今日は何か様子が違う。いつもより、落ち着きがない。

「どうしたの?クロドさん。何かあったの?」ミリアが尋ねると、クロドはため息をついた。「実は…王女様の婚約者について、少し気になることがあるんだ。」

「気になること?まさか、知ってるの?」ミリアは目を輝かせた。

クロドは口を噤み、しばらく考えた後、ゆっくりと話し始めた。「実は、王女様のご婚約相手は…僕ら騎士団の誰でもないんだ。」

「え?騎士団じゃないの?じゃあ、貴族の人?」ミリアは驚いた。

「それも違う。平民だ。」クロドはさらに言葉を続けた。「しかも、その平民は…王女様と幼い頃からの知り合いらしいんだ。秘密裏に婚約していたらしい。」

「秘密の婚約者…ロマンチック!」ミリアは少女漫画のような展開に胸をときめかせた。

その夜、ミリアは、宿の片隅で、クロドから聞いた情報を整理していた。平民、幼馴染み、秘密の婚約…一体どんな人なのだろう?ミリアの想像は膨らみ、眠れなくなってしまった。

翌日、ミリアは、学園講師のアスレイ先生にその話をした。アスレイ先生は、王室の歴史に詳しい人物だ。アスレイ先生は、眉をひそめながら言った。「そんな話は聞いたことがない。王室は、そんな情報を隠すはずがない。」

「でも、クロドさんはそう言ってたんです…」ミリアは食い下がった。

アスレイ先生は考え込んだ後、こう言った。「もしかしたら、王室が隠している事実があるのかもしれない。もしくは、クロドさんの情報が間違っているか…」

ミリアは、アスレイ先生の言葉に少し不安になった。本当にクロドさんの話は正しいのだろうか?

その日、ミリアは王女様の侍女、ハンネエーラに会う機会があった。ハンネエーラは、ミリアに、王女様はいつも笑顔でいるけれど、最近少し疲れているように見えると言った。

「王女様は、婚約者の方と、何か問題を抱えているのかもしれません。」ハンネエーラは心配そうに言った。

ミリアは、ますます王女様の婚約者について知りたくなった。そして、魔導騎士団の副団長、ドルグスにも話を聞いてみた。ドルグスは、クロドの話には否定しなかったものの、詳細については何も語らなかった。

そして、最後にミリアは、最近騎士団に配属されたばかりの新人研究員、ユンに話を聞いてみた。ユンは、王女様の婚約者について、噂を耳にしたことがあると言った。

「噂によると、その方は、王都の貧しい地区に住む、普通の青年らしいですよ。」ユンは小声で言った。「王女様は、その青年に強い愛情を抱いているそうです。」

ミリアは、様々な人から話を聞き、少しずつ王女様の婚約者のことが見えてきた。彼は、王女様と幼い頃に知り合った、貧しいながらも優しい青年。王室の反対を押し切って、秘密裏に婚約した。そして、今は、王室との板挟みになり、苦悩している。

ミリアは、王女様と婚約者の幸せを祈った。そして、彼らを守るため、自分にもできることがあると気づいた。それは、彼らの秘密を守ること、そして、彼らの幸せを信じることだ。

それから一週間後、王女ラルダ様と婚約者の結婚式が執り行われた。王都中が祝福に沸き返る中、ミリアは、静かに二人の幸せを願った。そして、金の豚の娘として、これからも王都の人々を見守り続けることを誓った。  ミリアは、この出来事を、いつまでも大切な思い出として胸に刻むだろう。それは、王女の隠された婚約者、そして、王都の小さな宿屋の娘の、忘れられない物語として。
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