異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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異世界の地味な召喚士

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真夜中、いつものようにSF小説を読みふけっていた咲良(さくら)は、ページをめくる音と共に、眩い光に包まれた。気がつくと、そこは剣と魔法の世界。森の中、ぽつんと一人だった。

咲良はSF小説以外ほとんど読まない、いわゆるオタク女子高生。剣と魔法の世界なんて、小説の中だけの話だと思っていた。パニックになりそうになったが、深呼吸をして冷静さを保とうとした。周りを見渡すと、大きな木々が生い茂り、鳥のさえずりが聞こえる。空は、地球とは少し違う色をしていた。

「…ここは…一体どこ…?」

呟くと、不思議な感覚が襲ってきた。何かを呼び出せるような、そんな予感。試しに「水!」と叫んでみた。すると、目の前に小さな泉が湧き出した。驚きで目を見開く咲良。どうやら、彼女は物を呼び出す能力を手に入れたらしい。

しかし、咲良は臆病だった。目立つのが大嫌い。この能力を隠して、ひっそりと暮らそうと決めた。森の中で、小さな小屋を見つけ、そこで生活を始めた。魔法で水を沸かして料理をし、木の実を拾って食べ、夜には星を眺めながら眠る。静かで、誰にも邪魔されない生活。咲良は、これが自分にとっての幸せだと感じていた。

ある日、森の中で奇妙な生き物に出会った。それは、ふわふわした毛皮に覆われた、小さな獣だった。怪我をしていたようで、咲良は思わず手当てをしてやった。獣は、お礼をするかのように、咲良に寄り添った。咲良は、獣に「モコ」と名前をつけ、一緒に暮らすようになった。

そんな平和な日々も、ある日突然終わりを迎える。

森に、けたたましい音が響き渡った。それは、馬の足音と、人間の叫び声だった。咲良は、小屋に隠れた。外の様子を伺うと、武装した兵士たちが森の中を走り回っているのが見えた。

「一体、何が起こっているの…?」

咲良は、恐怖で体が震えた。しかし、モコが彼女の腕にしがみついているのを感じた。モコを守るためにも、咲良は何かをしなければならなかった。

その時、森の奥から、けた違いの魔力を感じた。それは、圧倒的な力、そして、傲慢さを感じさせる魔力だった。咲良は、その魔力の源に引き寄せられるように、森の中を歩いていった。

辿り着いたのは、広大な草原。そこには、金色の髪をなびかせた少女が立っていた。彼女は、豪華なドレスを着ており、その周りには、たくさんの兵士たちが従っていた。

「あら、あなた。面白い能力を持っているじゃない」

少女は、咲良に近づいてきた。その目は、冷たく、傲慢で、まるで咲良を見下しているようだった。少女の名前は、リリア。彼女は、この世界の最強の魔法使いを自称する、チート能力を持つ少女だった。

リリアは、咲良の能力を奪おうとした。咲良は抵抗したが、リリアの力は圧倒的だった。しかし、モコがリリアに飛びかかり、リリアの気をそらした。その隙に、咲良は必死に逃げ出した。

逃げる途中、咲良は、自分の能力を最大限に活用することを決めた。彼女は、これまで隠していた能力を解放し、様々なものを呼び出した。巨大な岩、燃え盛る炎、そして、無数の精霊たち。

リリアは、咲良の予想外の反撃に驚き、圧倒された。咲良は、決して強くなかった。臆病で、弱い少女だった。それでも、彼女は、大切なモコを守るため、そして、自分の命を守るために戦った。

激しい戦いの末、咲良はリリアを倒した。しかし、リリアは、完全に消滅したわけではなかった。彼女の傲慢さは、消え去らなかった。咲良は、リリアを監視し続け、彼女が再び暴走しないように見張ることを決めた。

その後、咲良は、森の中で小さな食堂を開いた。モコと二人で、ゆっくりと、しかし幸せな日々を送った。彼女は、決して特別な存在ではなかった。しかし、彼女は、自分の能力と勇気を使って、自分らしい幸せを掴んだのだ。そして、時々、森の奥深くから聞こえる、リリアのうめき声を聞きながら、静かに暮らしていた。  リリアは、時折、咲良の食堂に現れ、子供のように駄々をこねたり、美味しい料理をねだったりした。咲良は、そんなリリアを、時には叱りつけ、時には優しく慰めながら、共に生きていくことを選んだ。それは、決して楽な道ではなかったが、咲良は、その中で、自分自身の成長を感じていた。
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