異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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奈落の聖魔女

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冷たい風が、吹き荒れる奈落の底。三年前、私はここで、仲間たちに見捨てられた。幼馴染みだった彼らとの冒険は、私にとって最後の冒険になったはずだった。白魔道士である私は、回復魔法は得意だけど、戦闘力は皆無。仲間の足手まといになっていたのは、自分でも分かっていた。オルフェノク地下大迷宮で、強大な魔物に襲われた時、私は囮にされた。仲間は逃げ延びたけど、私は奈落の底へ突き落とされた。

意識を取り戻した時、私は見知らぬ建物のベッドの上で寝ていた。誰が助けてくれたのか、今もわからない。ただ、奇跡的に生きていた。そして、三年間、この奈落の底で、私は変わった。

謎の力に導かれるように、私は『聖魔女』という、聞いたこともない職業に就いた。白魔道士とはまるで違う、圧倒的な力。二本の杖を操り、どんな魔物だって倒せるようになった。聖女のように崇められることもあれば、魔女のように恐れられることもある。この奈落の底では、私は両方の顔を持っている。

三年間、この奈落の底で生き延びるため、私は様々な魔物と戦った。最初は怖かった。逃げ出したくなった。でも、いつしか、この奈落の底が私の居場所になった気がした。孤独だけど、自由だった。仲間の顔色を伺う必要もない。自分のペースで、強くなれた。

そして今、私は地上へ戻ることを決意した。もう、誰にも頼らない。一人で、この奈落から脱出する。

奈落の底は、想像以上に広大だった。迷路のような通路、奇妙な魔物、そして、底知れぬ闇。しかし、私は恐れていない。三年間の鍛錬で、私は最強の聖魔女になったのだから。

私の従魔、小さな黒猫のクロエが、私の肩に寄り添う。クロエは、この奈落の底で出会った、唯一の友達だ。彼女は小さな体で、驚くほどの魔力を持っている。私の魔法をサポートし、時には先導してくれる頼もしい存在だ。

進んでいくと、巨大な蜘蛛の巣を発見した。その中心には、巨大な蜘蛛が潜んでいる。糸は粘着性が高く、触れると身動きが取れなくなる。だが、私は恐れない。二本の杖を構え、聖なる魔法を唱える。

「聖なる光よ、この邪悪な蜘蛛を焼き尽くせ!」

眩い光が蜘蛛を包み込み、蜘蛛は悲鳴を上げて灰になった。クロエは、小さな体で蜘蛛の糸を切っていく。その動きは、まるで熟練のハンターのようだった。

さらに進んでいくと、巨大なゴブリンの群れに出くわした。彼らは、鋭い牙と爪で襲いかかってくる。だが、私は動じない。杖を振り回し、魔法を連射する。

「聖なる嵐よ、彼らを吹き飛ばせ!」

強烈な風がゴブリンたちを吹き飛ばし、彼らは地面に叩きつけられた。クロエは、彼らの隙をついて、小さな爪で彼らの足を引っ掻き、動きを封じる。

幾多の試練を乗り越え、私はついに奈落の出口を発見した。螺旋階段を上っていくと、薄暗い光が見えてきた。そして、ついに地上に出た。

新鮮な空気、太陽の光。三年ぶりに感じる、この感覚は、言葉では言い表せないほど素晴らしいものだった。私は、大きく息を吸い込んだ。

地上に出た私は、まず美味しいものを食べたいと思った。三年間、奈落の底で食べていたのは、魔物の肉と、わずかな野草だけだった。そして、新しい服も欲しい。ボロボロになったローブはもう着たくない。

そして、私は考える。これから何をしようか。奈落の底で得た力を活かして、何をしようか。

仲間との冒険は終わった。だが、私の新たな冒険は、今始まったばかりだ。私は、聖魔女として、この地上で生きていく。そして、いつか、あの奈落の底で私を見捨てた者たちに、私の強さを示してやろう。

クロエは、私の肩に頭をすり寄せてきた。彼女は、私の新たな冒険の仲間だ。これからも、私と一緒に、この地上を冒険してくれるだろう。
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