異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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追放された回復術士は最強の仲間と共に世界を癒す

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雨はしとしとと、ユージの顔に当たった。

追放されたその日、空は鉛色の雲に覆われていた。  Sランクパーティ「輝ける太陽」のリーダー、レオンの冷酷な言葉が、今も耳元でこだまする。「お前は、お荷物だ。劣等紋のせいでパーティの足を引っ張っている」。劣等紋。それは、ユージが持つ、回復魔法の能力を制限する、いわば欠陥のようなものだった。だが、その劣等紋のおかげで、ユージは繊細な魔法の制御を可能にし、他の回復術士には真似できない、高度な回復魔法を操ることができたのだ。

レオンは、ユージの能力を理解していなかった。いや、理解しようともしなかった。ユージの代わりはいくらでもいる、と高慢な顔で言い放った。

「……本当に、追い出していいんですか?」

ユージは、その言葉を発した時、少しだけ、後悔していた。

しかし、その後悔は一瞬だった。

追放されたことで、ユージは初めて自由を手に入れたのだ。

長年、Sランクパーティに縛られ、自分の意思で行動することは許されなかった。  常にパーティの都合を優先し、自分の時間などほとんどなかった。

自由を手に入れたユージは、まず、美味しいものを食べた。

長年、質素なパーティ飯ばかりだったユージにとって、これは最高の贅沢だった。

次に、温泉につかった。

これもまた、長年我慢していたものだ。

そして、ユージは旅に出た。

出会ったのは、奇妙な仲間たちだった。

一匹は、言葉を話すフェンリル、名前は「クロ」。黒く輝く毛並みと、鋭い眼光が印象的だった。  一見、獰猛そうだが、ユージには驚くほど懐いていた。

もう一人は、エルフの少女、リリア。  森の奥深くで、怪我をして倒れていたところをユージに助けられた。  彼女は、魔法の才能はなかったものの、驚くべき植物の知識を持っていた。

そして、最後は、ドワーフの鍛冶師、ボルグ。  粗野な性格だが、腕は確かで、ユージのために強力な杖を製作してくれた。

彼らは、それぞれに事情を抱えていた。  クロは、かつて人間に裏切られ、森で孤独に生きていた。  リリアは、一族を追われ、放浪の旅を続けていた。  ボルグは、故郷を追われ、各地を放浪していた。

だが、彼らはユージと出会い、共に旅をすることで、新たな希望を見出した。

ユージは、彼らを仲間として受け入れた。

劣等紋のせいで、パーティでは邪魔者扱いされていたユージだが、仲間たちといると、その劣等紋はむしろ、彼を際立たせる個性となっていた。

ユージは、彼らと共に、各地を旅した。

傷ついた人々を癒やし、荒廃した土地を再生させた。

ユージの回復魔法は、劣等紋の制限によって、より繊細で、より強力になっていた。

その噂は、瞬く間に広まっていった。

「奇跡の回復術士」

「森の癒し手」

様々な呼び名で、人々はユージを称えた。

そして、ある日、レオン率いる「輝ける太陽」から、連絡が入った。

「戻ってきてくれ… ユージ…」

レオンの声は、かつての威圧感とは全く異なり、震えていた。

ユージは、彼らの申し出を断った。

「もう、あのパーティには戻らない」

ユージには、すでに、かけがえのない仲間がいた。

「輝ける太陽」は、ユージのいないまま、徐々に衰退していった。

ユージは、自分の力で、世界を癒していくことを決意したのだ。

クロ、リリア、ボルグ、そしてユージ。

彼らは、これからも、共に旅を続ける。

世界を、希望の光で満たすために。

彼らの冒険は、まだ、始まったばかりだった。
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