異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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十五年のプロポーズ

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深い森の中にたたずむ、古びた洋館。それが、レイチェルが新たな人生を始める場所だった。十五年前、母を亡くし、婚約者にも裏切られ、傷ついた心を抱えて故郷を離れた彼女は、母方の伯父であるブランケル伯爵の養女となった。

伯爵は気さくで優しい人で、レイチェルは静かな日々を送っていた。そして、彼女を待っていたのは、想像もしていなかった出会いだった。フィデル。ブランケルの甥っ子、正確には従兄弟の子供で、レイチェルにとっては遠い親戚にあたる男の子。

初めてフィデルを見た時、レイチェルは息を呑んだ。天使のように可愛らしい、金髪の巻き毛に、クリッとした青い瞳。まだ幼いフィデルは、レイチェルにすぐに懐いた。彼はレイチェルを「レイチェルおばさん」と呼び、いつも彼女のそばにいた。

レイチェルはフィデルを可愛がった。自分が失ったものを彼に投影していたのかもしれない。フィデルのために、美味しいお菓子を焼いたり、一緒に絵本を読んだり、遊園地へ連れて行ったり。彼女は、フィデルの成長を見守り、幸せな日々を送っていた。

ある日、レイチェルはフィデルと森へ散歩に出かけた。いつものように、フィデルはレイチェルの手をぎゅっと握っていた。その時、奇妙な光が森の中に現れた。それは、まるで虹のように美しく、まばゆいばかりの光だった。

レイチェルは目を閉じ、光に包まれた。一瞬の出来事だった。目が覚めると、彼女は見慣れない部屋にいた。窓の外には、見慣れない風景が広がっていた。

戸惑いを感じながら部屋を見渡すと、鏡に映る自分の姿に驚いた。彼女は、もう少女ではなかった。大人になっていたのだ。

そして、ドアが開き、一人の青年が入ってきた。金色の髪、青い瞳。見間違えるはずがない。それは、十五年前のフィデルだった。しかし、彼はもう幼い子供ではなく、凛々しい青年へと成長していた。

「レイチェルおばさん…?」

フィデルは少し戸惑った様子で、彼女に声をかけた。レイチェルは、自分がタイムトラベルをしたのだと気づいた。十五年もの時が、一瞬にして過ぎていたのだ。

フィデルは、レイチェルを温かく迎えてくれた。彼は、レイチェルが伯爵の養女としてやって来たことを覚えていた。そして、彼が幼い頃、レイチェルがどれだけ優しくしてくれたか、今でも鮮明に覚えていると語った。

レイチェルは、フィデルと過ごす中で、自分がどれほど彼を愛していたのかを改めて実感した。そして、フィデルもまた、レイチェルへの深い愛情を抱いていた。

二人は一緒に暮らすようになった。歳月は経っていたが、二人の間の愛情は、むしろ深まっていた。フィデルは、レイチェルを「レイチェルさん」と呼ぶようになったが、二人の関係は、叔母と甥という枠を超えていた。

毎日が楽しくて、幸せだった。フィデルは、レイチェルを大切に思いやり、レイチェルはフィデルを誇りに思っていた。

ある日、フィデルはレイチェルにプロポーズした。「レイチェルさん、僕と結婚してください。」

レイチェルは、涙がこぼれそうになった。十五年前、失った幸せが、今、目の前にある。彼女は、フィデルの胸に飛び込んだ。

「うん、結婚する。」

二人の結婚式は、森の中の小さな教会で行われた。参列したのは、ブランケル伯爵と、少数の親しい友人たちだけだった。しかし、それは、二人にとって、世界で一番幸せな日だった。

それから何年も経ち、レイチェルとフィデルは幸せな家庭を築いた。彼らの家には、いつも笑い声が響き渡っていた。十五年の時を超えた、奇跡のような恋物語は、静かに、そして幸せに幕を閉じた。  二人の間に生まれた子供たちは、レイチェルとフィデルを、そして、その奇跡の物語を、いつまでも語り継いでいくことだろう。
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