異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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七日間で好きと言わせる方法

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悪妖精、バーバラ。その名は、学院中を恐怖に陥れるほど悪名高かった。授業中にカエルに変えられたり、宿題が無限に増えたり、最悪の場合、呪殺されたりと、被害は多岐にわたる。そして今、そのバーバラが私、リリア・ベルモントに呪いをかけたのだ。

「七日以内に、レアンドロ・アルドナートに『好き』と言わせないと、死ぬよ?」

淡々と、しかし容赦なく告げられた宣告。レアンドロ・アルドナート。魔術学院きっての天才、そして、学院一の不良。金髪をオールバックに固め、革ジャンに身を包み、常に不敵な笑みを浮かべている。見た目も性格も、まさに昭和の不良そのもの。そんな彼に「好き」なんて、絶対に言わせられない。むしろ、言わせたら私の方が死ぬかもしれない。

レアンドロは、人嫌い、女嫌い、そして恐ろしいほどに暴力的な性格の持ち主。授業中に先生を吹き飛ばしたり、廊下で喧嘩したりするのが日常茶飯事。彼に近づくこと自体、命がけだ。

「どうしよう……先輩……助けて!」

唯一の頼み綱は、私の先輩、エミリー・グラント。彼女は、レアンドロを唯一制御できる人物だった。とは言っても、制御っていうか、ただ怖がられてるだけなんだけど。

エミリーは、私の必死の懇願を聞いて、ため息をついた。

「リリア……あんた、本当にアホだね。レアンドロに『好き』なんて言わせるなんて、不可能だよ」

「でも、死にたくないんです!」

「わかるけどさ……そもそも、なんでそんな呪いを受けちゃったの?」

「バーバラに、宿題をズルして提出したのを、見られたんです……」

エミリーは、私の愚かさに呆れながらも、最終的には手伝ってくれることになった。

「よし、作戦を立てよう。まずはレアンドロの弱点を探る必要があるな」

作戦会議の結果、レアンドロの唯一の弱点、それは「猫」であることが判明した。普段は冷酷無比なレアンドロも、猫の前では途端にデレデレになるというのだ。

作戦開始。エミリーは、彼女の飼い猫、モフモフをレアンドロの前に現れさせた。作戦は成功。レアンドロは、モフモフにメロメロになっていた。

しかし、猫を媒介にしても「好き」なんて言わせることは不可能だった。

残り時間は、刻一刻と迫る。絶望的な状況の中、私はあることに気づいた。レアンドロは、どんなに凶暴でも、誰かを傷つけることを嫌っている。

彼は、不良の仮面を被った、実は繊細な心の持ち主だったのだ。

私は、レアンドロに彼の過去を語り始めた。両親を早くに亡くし、孤独な少年時代を過ごした彼の苦しみを、彼の心の傷を、理解しようと努めた。

私の言葉は、レアンドロの心を少しずつ解きほぐしていった。彼の冷酷な表情は、少しずつ和らいでいく。

そして、七日目の夜。レアンドロは、初めて私を見つめ、静かに言った。

「……好きだ」

それは、普通の「好き」ではなかった。彼の過去、彼の孤独、彼の心の傷を理解した上で発せられた、「好き」だった。それは、友情であり、共感であり、そして、もしかしたら、愛情だったのかもしれない。

呪いは解けた。私は、死なずに済んだ。そして、レアンドロとの、奇妙な友情が始まった。

それからというもの、レアンドロは、以前ほど凶暴ではなくなった。授業中に先生を吹き飛ばすことはなくなったし、廊下で喧嘩をすることもなくなった。もちろん、猫を可愛がるのは相変わらずだが。

私たちは、時に喧嘩しながらも、互いを理解し、支え合うようになった。

バーバラの呪いは、私の人生を大きく変えた。しかし、それは決して不幸な出来事ではなかった。レアンドロとの出会い、そして、彼との友情は、私の心を豊かにしてくれたのだ。あの時、死なずに済んで本当に良かった。そして、あの時、レアンドロに「好き」と言わせようとした自分にも、感謝している。
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