異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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無能の印と最強の剣聖

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生まれたときから、俺は「無能の印」を刻まれていた。

生まれたばかりの赤ん坊の俺の額には、奇妙な紋様が浮かび上がっていたらしい。家族は皆、それを忌み嫌うように見ていた。母親の涙ぐんだ顔、父親の肩を落とす姿、そして姉の冷めた視線。俺にはそれがよく分からなかった。だって、俺はただ寝て、飲んで、泣いていただけだった。

それから数年後、俺は自分の「無能の印」が、周囲の人間を不幸にする力を持っていると知った。俺の近くにいると、不幸が降りかかるらしい。作物が枯れる、家畜が死ぬ、事故に遭う…。そんな噂が村中に広がり、俺は村八分にされた。

「かわいそうに。よりにもよって『無能の印』だなんて…」

村の子供たちは、俺を指さして笑った。石を投げつけた。俺はただ、黙ってそれを受け止めるしかなかった。

そんなある日、俺は森の中で奇妙な石を見つけた。それは、まるで心臓が鼓動しているかのように、微かに光っていた。その石に触れた瞬間、俺の体中に電流が走るような感覚が走った。そして、俺の額の「無能の印」が、輝き始めた。

その日から、俺は変わった。

今まで、どんなに頑張っても、何もできなかった。石を拾うのも、木に登るのも、下手くそだった。だが、その石に触れた後、俺は驚くほどの力を手に入れた。剣を握ると、まるで体が剣の一部になったかのように、自由に操れるようになった。魔法も使えるようになった。炎を操り、風を呼び、大地を揺るがす。

俺の力は、想像をはるかに超えるものだった。

村人たちは、俺の力を恐れ、そして畏れた。かつて俺を嘲笑った子供たちは、今や俺の前にひざまずき、助けを求めた。しかし、俺は彼らを許さなかった。彼らが俺に与えた傷は、決して癒えることはない。

俺は、天墜の塔を目指した。

その塔は、七層構造になっていて、各層は大陸ほどの広さがあるという。伝説によると、塔の最上階には、世界を救う力があるとされている。

塔の最初の層は、危険な魔物の巣窟だった。だが、俺にとっては、ただの散歩道だった。剣を振るい、魔法を放ち、魔物を次々と倒していく。その姿は、まるで神のようだった。

二層目、三層目… 俺のレベルは、どんどん上がっていった。しかし、七層に到達した時、俺は奇妙な現象に遭遇した。

レベル99。

これ以上、レベルが上がらない。俺は最強の剣聖になってしまったのだ。

だが、俺は満足しなかった。もっと強くなりたい。もっと、全てを掌握したい。

その時、俺は思い出した。

前世の記憶を。

俺は、かつてこの塔の七層に到達し、最強の剣聖として名を馳せた存在だった。そして、レベル99に到達した俺は、最後の手段として転生を選んだのだ。レベル99のステータスを保ったまま、レベル1からやり直すという、前代未聞の転生。

しかし、その転生によって、俺は「無能の印」を刻まれた。それは、最強の証である「上限突破の印」だったのだ。

俺は、この印を隠して生きてきた。しかし、もう隠す必要はない。

俺は、天墜の塔の頂上を目指す。そして、この世界の全てを、自分の手で変えてみせる。

「無能の印」は、もはや俺にとって、恥じるべき印ではない。それは、俺の誇りであり、最強の証なのだ。

塔の頂上を目指し、俺は歩き続ける。かつて、俺を嘲笑った者たち、そして、この世界を支配しようとする者たちを、全て打ち砕くために。

俺の剣は、世界の全てを斬り裂く。


そして、俺は、新たな伝説を刻む。
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