異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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破滅の付与術師

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エストは、地面に倒れこんだ。冷たい土の感触が、彼の頬を伝う涙を吸い取った。たった今、彼は世界で一番大切なものを失った。幼馴染で、恋人だったアテナと、共に歩んできた冒険者パーティー「スターダスト」からの追放だ。

「邪魔なんだって… 僕が…」

エストは、スターダストのメンバーの中で唯一の付与術師だった。戦闘では仲間を強化する魔法を使い、雑用も全てこなしていた。世界一の冒険者になるという夢をアテナと共有し、そのために全力を尽くしてきたつもりだった。

しかし、アテナの冷たい言葉は、エストの心に深く突き刺さった。「パーティーの足を引っ張る」と。その言葉の裏には、アテナと、もう一人のメンバー、ダルとの密かな関係があった。ダルはエストの親友であり、アテナとの関係を応援していたはずなのに。裏切られた。全てが、嘘だった。

「……絶対に許さない」

エストは、その場で決意した。アテナとスターダストへの復讐を。そして、自分自身の力を証明するために。

それから数日後、エストは偶然、古びた魔法書を発見した。それは、自分自身に付与魔法をかける方法が記された、禁断の書物だった。危険を顧みず、魔法書に書かれた手順に従い、エストは自分の体へ、強化魔法を付与した。

最初は小さな変化だった。少しだけ速くなった足、少しだけ強くなった腕。だが、魔法の力は徐々に増していき、エストは想像をはるかに超える力を手に入れた。彼は、もはやただの付与術師ではなかった。

一方、エストが抜けたスターダストは、急速に衰退していった。アテナはエストの能力を過小評価していただけでなく、彼が担っていた雑用を誰もこなせなかったのだ。ダンジョン攻略は失敗続き、依頼はキャンセルされ、パーティーの評判は地に堕ちていった。

エストは、一人でダンジョンに潜り込み、次々と強敵を倒していった。彼の名は、迷宮の死神として、冒険者たちの間で囁かれるようになった。かつての仲間たちは、エストの圧倒的な力に驚き、恐怖を感じた。

ある日、エストは、かつての師匠である老魔術師、ギルバートと再会した。ギルバートは、エストの才能を見抜き、さらに強力な魔法を教えた。ギルバートは、エストの復讐心を利用しようとしたわけではなく、彼の中に眠る可能性を信じ、育てようとしていた。

ギルバートの指導の下、エストは最強の付与術師へと成長していった。彼は、自分自身に様々な魔法を付与し、状況に応じて自在に能力を変化させた。もはや、誰にも止められない存在になっていた。

そして、ついにエストは、アテナとスターダストに復讐を果たす時が来た。彼らが依頼を受けていた、危険なダンジョンへと向かった。

ダンジョン内部は、かつての仲間たちの悲鳴と、モンスターの咆哮で満ちていた。スターダストは、弱体化し、絶望の淵に突き落とされていた。

アテナは、エストの姿を見て、初めて自分の過ちに気づいた。しかし、後悔してももはや遅かった。エストは、アテナとダルを、容赦なく倒した。それは、復讐のためではなく、自分自身への証明のためだった。

エストは、スターダストの残りのメンバーを救出した。彼らは、エストの圧倒的な力と、真摯な態度に心を打たれ、彼に従うことを誓った。

エストは、新しいパーティーを結成した。かつての仲間たちと、新たに集まった優秀な冒険者たちと。彼らと共に、世界一の冒険者を目指して、新たな冒険を始めるのだった。

しかし、エストの心には、まだ満たされないものがあった。アテナへの復讐は果たした。だが、失われた友情と信頼を取り戻すことは、不可能だった。エストは、一人、静かに夜空を見上げた。彼の瞳には、複雑な感情が渦巻いていた。復讐の果てに手に入れた勝利は、本当に彼を幸せにしたのだろうか?  その答えは、まだ見つかっていない。そして、彼の新たな冒険は、これから始まるのだ。
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