異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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器用貧乏の開拓者

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入学式の日、僕は絶望した。

王立開拓学園。憧れの学園生活が始まるはずだったのに、現実の僕は「無職」という肩書きを背負わされ、クラスメイトから嘲笑の的になっていた。能力開花の儀式で得たステータスは、器用さだけが異常に高く、他は全て最低値。スキルは「器用貧乏」と、これ以上ないほど皮肉な名前だった。

「はぁ…、こんなはずじゃなかったのに…」

入学式の賑やかさは、僕の耳には届かなかった。クラスメイトたちは、僕を「役に立たない」「邪魔」だと罵り、あっさりと「特別養成学級」という、いわば落ちこぼれ専用のクラスへ追放した。

特別養成学級には、僕以外誰もいなかった。

一人、ぽつんと机に座り、僕は「器用貧乏」というスキルについて考え始めた。説明書きには、特に何も書いてなかった。ただ、その名前からして、どうにも役に立たなそうなスキルだった。

しかし、試しにステータス画面を見てみると、何かを発見した。

「器用さ」の項目の下に、小さな文字で「変換可能」と書いてあったのだ。

まさか…まさかこんな隠し機能があったなんて!

早速、僕は「職業:木こり」を選んでみた。すると、驚くべきことに、僕のステータスが変化した。器用さが少し減り、代わりに「体力」と「腕力」が増えたのだ。

それからというもの、僕は様々な職業に転職し始めた。木こりで得た木材を使って大工になり、立派な家を建てた。その家には、自分が作った家具や、自分で採集した鉱石で作った装飾品が飾ってあった。

次に、鑑定士に転職して、森で拾った石が実はレアアイテムだと判明。それを売って、さらに快適な生活を送れるようになった。

ちょっかいをかけてきたクラスメイトには、戦斧使いに転職して、軽く一発殴ってやったりもした。彼らには、僕の凄さが全然理解できないようだった。

ダンジョン探索にはレンジャーに、罠の解除には忍者に転職。ソロで、なんでもこなせるようになっていた。

ある日、森の中で迷子になっていた幼馴染みの聖女、リリアに出会った。彼女は僕の活躍を目の当たりにし、僕に憧れるようになった。

それからというもの、彼女はしょっちゅう森にやってきて、僕と一緒にご飯を食べたり、森の散策をしたりするようになった。

さらに、有名な美女錬金術師、エミリアにも出会った。彼女は僕の器用さを高く評価し、僕に様々なアイテムを作ってくれるようになった。

僕の活躍は学園中に知れ渡り、かつて僕を嘲笑ったクラスメイトたちは、今更ながら後悔していた。

彼らは、僕と同じように、様々なスキルやステータスを得ていたが、それぞれが専門分野に特化しすぎており、総合的な能力が低かった。

そのため、生活に必要な物資の調達や、学園生活に必要な作業がままならず、どんどんと困窮していった。

彼らの家は、掘っ立て小屋のまま。食事も満足に取れず、学園内での居場所も失っていく一方だった。

一方、僕は、リリアとエミリアと、森の中に、自分たちで作った素晴らしい家を建て、幸せな日々を送っていた。

「器用貧乏」なんて、最初から名前負けだったんだ。

あの時、僕を追放したクラスメイトたちは、今頃何を思っているのだろうか。今更遅いけどね。
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