異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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隠された聖女

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小さな村はずれの、ひっそりと佇む小さな小屋。そこには、リリアという名の少女が暮らしていた。リリアは、ごく普通の、どこにでもいるような少女だった。毎日、畑仕事をして、鶏の世話をし、夕暮れ時には、小さな窓辺で本を読んでいた。しかし、リリアには、誰も知らない秘密があった。前世、彼女は聖女と呼ばれ、国のために尽くしたのだ。そして、第二王子、エドワードと共に戦場で命を落とした。

エドワードとの死の間際、冗談半分で交わした「来世で結婚しよう」という言葉。まさか、本当に転生するとは、リリア自身も思ってもみなかった。今世は、平凡な農家の娘として生まれ変わったのだ。しかし、前世の記憶と、聖女としての力は、しっかりとリリアの中に残っていた。不思議なことに、聖なる力が宿る聖なる石が、彼女の胸元にいつも温かく触れていた。

ある日、村に騒ぎが起きた。王国の使者が、第二王子エドワードを探しにやって来たのだ。エドワードは、前世でリリアと交わした約束を覚えていたらしい。そして、リリアこそが、彼の運命の相手だと信じていた。使者は、村中を徹底的に探し回り、リリアの小屋にもたどり着いた。

「リリア・アシュレイ様、第二王子エドワード殿下より、お迎えに参りました」

使者の言葉に、リリアは驚きを隠せない。前世の記憶が蘇り、心臓がドキドキと音を立てた。エドワードとの約束など、どうでもいいことだ。彼女は今世では、平凡な人生を送りたいのだ。聖女として国に尽くすなんて、もう二度とごめんだ。王子の妻なんて、とんでもない。

「そんな… 誰かが私を間違えているんですよ!」

リリアは必死に否定するが、使者は全く聞き入れようとしない。エドワードからの強い命令だという。リリアは、必死に逃げようと考えた。小屋から飛び出し、森の中を駆け抜けた。しかし、エドワードの執拗な追跡は、容易に逃れることができなかった。

エドワードは、前世のリリアを深く愛していた。そして、彼女の記憶を頼りに、転生した彼女を探し当てたのだ。彼は、リリアを絶対に逃がす気はなかった。

森の中を逃げ回るリリアは、偶然にも、かつて聖女として働いていた聖堂の跡地を発見した。朽ち果てた聖堂には、不思議な力が残っていた。聖なる石の力が、聖堂の力を呼び覚ましたのだ。聖堂の壁には、聖女が持つ力が増幅される魔法陣が描かれていた。

魔法陣の中心で、リリアは聖女としての力を制御する方法を発見した。前世の記憶と聖なる石の力、そして魔法陣の力。これらを組み合わせることで、聖女の力は、彼女の意思で自由に操れるようになった。

逃げ続けるのではなく、エドワードと向き合うことを決めたリリア。彼女は、聖堂でエドワードを待ち受けた。エドワードは、リリアの聖女としての力を目の当たりにし、驚愕した。しかし、彼の愛は、揺らぐことはなかった。

「リリア、君を逃すわけにはいかない。前世の約束を、果たさせてくれ」

エドワードは、優しく、しかし力強くリリアに語りかけた。リリアは、エドワードの純粋な愛を感じ取った。そして、彼を拒む理由を見失ってしまった。

「…わかった。でも、聖女としてではなく、リリア・アシュレイとして、あなたの妻になる」

リリアは、条件をつけた。エドワードは、それを快諾した。前世の約束は、今世では、違う形になった。聖女としての義務ではなく、一人の女性として、一人の男性を愛する喜びを、リリアは知ったのだ。

二人は、小さな小屋を離れ、王城へと向かった。王城での生活は、想像以上に華やかで、大変なものでもあった。しかし、エドワードの深い愛情に包まれ、リリアは幸せを感じていた。前世の悲劇は、今世では、美しい物語へと変わっていったのだ。そして、リリアは、自分の力で、自分の幸せを掴んだのだった。  聖なる石は、彼女の胸元で、静かに輝き続けていた。
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