異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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スキル「お約束」と、俺の破滅的冒険譚

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俺は、ゲームのしすぎで死んだ。いや、マジで。椅子に座ったまま、そのまま逝ってしまったんだ。目が覚めたら、そこは緑が生い茂る森の中。鳥のさえずりが耳に心地よく、空は青く澄み渡っていた。まるで絵葉書みたい。…って、おいおい、これってまさか…異世界転生!?

いきなり現れた、キラキラ光る魔法の玉みたいなのが俺に話しかけてきた。「貴方は、この世界に転生しました。スキルを一つ選んでください」って。スキル?ゲームみたいだな。どんなスキルがあるんだろ?ワクワクしながら選択肢を見てみると…「剣術」「魔法」「治癒魔法」「超人的な体力」…どれも強そうでいいな!

でも、俺が目にしたのは、それらよりもずっと下の方に小さく書かれていた、奇妙なスキルだった。「お約束」。

「お約束…?」

説明を読んでみると、「物語において、よくある展開を発生させる」スキルらしい。具体的には、「崖から落ちたら必ず助かる」「敵に囲まれたら必ず味方が現れる」「ピンチになったら必ずアイテムが手に入る」…みたいな、漫画やアニメでよくある、都合の良い展開が起きるらしい。

「…最強じゃん!」

他のスキルは、どれだけ頑張っても強くなれるか分からなかったけど、「お約束」なら、どんな状況でもなんとかなる。俺は迷わず「お約束」を選んだ。

転生した世界は、中世ヨーロッパみたいな感じ。魔法も普通に使われてて、剣と魔法のファンタジー世界そのものだった。俺はまず、村で生活することにした。

最初は順調だった。畑仕事で疲れて倒れそうになったら、「お約束」が発動!偶然通りかかった旅の商人から、スタミナ回復薬を貰った。森で熊に襲われそうになったら、「お約束」発動!熊が急に転んで、そのまま気絶した。

「お約束」すげー!これなら、どんな冒険だってできる!

俺は、勇ましい冒険者になることを決意した。冒険者ギルドに登録し、早速初めての依頼を受けることにした。依頼内容は、山奥の洞窟に住むゴブリン退治。

洞窟の中は、暗くてじめじめしていて、気持ち悪かった。ゴブリンは予想以上にたくさんいて、俺はあっという間に囲まれてしまった。…よし、ここで「お約束」!

…しかし、何も起きない。

「おいおい、マジかよ!?」

ゴブリンの棍棒が、俺の頭に降りかかった。痛っ!「お約束」は、どうやらピンチじゃないと発動しないらしい。

俺は、必死に逃げた。ゴブリンに追いかけられながら、崖っぷちまで追い詰められた。絶体絶命!ここで「お約束」!

…しかし、何も起きない。

俺は、崖から落ちた。

「うぉおおおおお!」

そのまま、谷底に落ちていく俺。…あれ?痛い…はずなのに?

「お約束」は、崖から落ちたら必ず助かる…って書いてあったはずなのに!

俺は、地面に激突し、そのまま意識を失った。

目が覚めると、俺は、ゴブリンの住処の入り口にいた。しかも、手にはゴブリンの棍棒が握られていて、周りにはゴブリンの死骸が転がっていた。

「…え?」

どうやら、俺は崖から落ちた衝撃で、超人的な力を得ていたらしい。ゴブリンを全滅させた後、記憶が飛んでたみたいだ。

「お約束」は、直接的な効果じゃなくて、間接的に助けになるような形で発動するのかもしれない。

その後、俺は「お約束」の力を借りつつ、数々の冒険をこなしていった。

「お約束」のおかげで、いつもギリギリのところで助かり、強くなっていった。

でも、一つだけわかったことがある。

「お約束」は、最強のスキルではない。

「お約束」は、俺を最強にするための、きっかけだったんだ。


結局、俺は「お約束」のおかげで、異世界最強の冒険者になったわけじゃない。でも、自分自身の力で、強くなったんだ。

「お約束」は、俺の冒険の、いいスパイスだったんだ。
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