異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

文字の大きさ
437 / 753

悪役令嬢、最強伝説

しおりを挟む
目を覚ますと、そこは豪華絢爛なベッドルームだった。見慣れない天井、重厚なカーテン、そして…鏡に映る、見慣れない自分がいた。

「…私、誰?」

慌てて鏡を覗き込むと、そこにいたのは金髪碧眼の美少女。いや、美少女というより、とんでもなく美しい少女だった。まるで絵画から飛び出してきたかのような、完璧な容姿。でも、この顔…どこかで見たことがあるような…。

記憶が断片的に蘇ってきた。私は、ただの普通の女子高生、名前は葵だった。そして、最近ハマっていた乙女ゲーム「悪役令嬢と七人の王子様」の悪役令嬢、シルヴィアに転生したらしい。

シルヴィアは、ゲームの中でも屈指の悪女。主人公を陥れようとして失敗し、次々と破滅フラグを回収していく、まさに「悪役令嬢」そのもの。追放、投獄、そして最後は処刑…と、散々な最期を迎えるキャラクターだった。

「…最悪じゃん!」

葵、いや、シルヴィアはため息をついた。せっかく異世界転生したのに、こんな悲惨な運命を辿るなんて耐えられない。でも、ゲームの知識がある。だったら、この状況を逆手に取ればいいじゃないか!

シルヴィアは、ゲームでは徹底的に嫌われ者だった。だから、逆に徹底的に「悪役令嬢」を演じてしまおう。主人公に負けないくらい、いや、主人公以上に悪辣で、嫌われ者になってしまおう。そうすれば、ゲームのシナリオ通りには行かないはずだ。

まず第一段階は、学園での評判を徹底的に落とすこと。

「ねえねえ、リリア。今日の授業、サボろうよ!」

シルヴィアは、親友(ゲームではライバル)のリリアに近づいた。リリアは、ゲームでは主人公に協力する、おっとりした性格の女の子だった。

「え?でも、先生怒るよ…」

「怒らせてもいいじゃない!だって、私、悪役令嬢だもの!」

シルヴィアは、わざと大声で叫んだ。廊下を歩く生徒たちが、みんなこちらを振り返る。

「…シルヴィア様、また何かやらかしましたか?」

慌てた様子で、執事が駆け寄ってきた。

「別に!ただ、友達と授業サボろうって言っただけよ!」

シルヴィアは、無邪気な笑顔で答えた。その笑顔は、誰が見ても不気味で、恐ろしいものだった。

それからというもの、シルヴィアはやりたい放題だった。授業中に寝ていたり、先生に反抗したり、生徒にいたずらしたり…。学園中が、シルヴィアを恐れるようになった。

しかし、不思議なことに、シルヴィアを嫌う者ほど、彼女に惹かれていく。まるで、黒魔術のような魅力が、シルヴィアから発せられていたのだ。

「シルヴィア様…その、お美しい…」

「ふふふ…お世辞でも嬉しいわ」

シルヴィアは、自分自身を「悪役令嬢」として演じているうちに、本当に悪役令嬢になってしまった。しかし、それはゲームの悪役令嬢とは違う、新しいタイプの悪役令嬢だった。

彼女は、誰にも予測できない行動をとり、誰にも心を許さなかった。しかし、その冷酷な振る舞いの裏には、誰にも理解できないほどの孤独と、深い悲しみがあった。

そして、ゲームの主人公、アリアが現れた。アリアは、想像以上に美しく、そして強い少女だった。シルヴィアは、アリアと対峙する中で、初めて自分の弱さを知った。

「…私は、あなたに勝てないわ」

シルヴィアは、アリアに敗北を認め、初めて涙を流した。それは、悔しさの涙でも、悲しみの涙でもなく、自分自身を受け入れた安堵の涙だった。

その後、シルヴィアはアリアと協力し、学園を襲う危機を救うことになる。そして、彼女は悪役令嬢としての道を捨て、新しい人生を歩み始める。

悪役令嬢としての運命を覆し、真の幸せを掴んだシルヴィアの物語は、こうして幕を閉じた。しかし、彼女の伝説は、これからも語り継がれていくことだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

タイム連打ってなんだよ(困惑)

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」  王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。  パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。  アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。 「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」  目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?    ※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。 『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。

最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました

チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。 完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。 【捕食】 それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。 ゴブリンを食べれば腕力を獲得。 魔物を食べれば新スキルを習得。 レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。 森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。 やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。 これは―― 最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...