異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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灰色の森の歩み

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二十歳の誕生日、僕はソファで寝ていた。ゲームの続きをしようと目を擦ると、視界は緑一色だった。いつもの部屋じゃない。薄暗い森の中だ。

頭の中は混乱でいっぱいだった。何が起きた?ゲームの悪夢か?いや、違う。肌に触れる湿った空気、鼻をつく土の匂い、鳥のさえずり…すべてがリアルすぎる。

パニックになった。叫んでみたが、自分の声だけが森に吸い込まれていく。スマホは圏外。持っていたのは、ゲームの攻略本と、空腹を満たすためのカップラーメン一つだけだった。

絶望が押し寄せた。神様はいない。チート能力もない。魔法も剣も使えない。僕はただの、ゲームばかりしていたニートだ。

とりあえず、森の中を歩き始めた。方向感覚は皆無。ただ、太陽を頼りに、なんとなく東へ向かっているだけだった。

日は暮れ始め、空は燃えるような赤色に染まった。恐怖が全身を支配した。森の中で一晩過ごすなんて考えられない。

急いで、木々の根元に小さな穴を掘って身を潜めた。寒くて、震えが止まらなかった。カップラーメンは食べるのを我慢した。明日のために取っておくべきだ。

夜空には無数の星が輝いていた。都会では見られないほどの美しい星空だった。しかし、その美しさは、僕の恐怖を和らげるには程遠かった。

夜の間、何度も獣の鳴き声が聞こえた。大きな影が木々の間を動き回る音もした。眠ることはできなかった。

朝焼けと共に森を歩いた。空腹と疲労で、足取りは重かった。倒れた木を避け、絡まるツルを払い除けながら、ひたすら前へ進んだ。

その時、地面に何かが落ちているのを見つけた。それは、塩の結晶だった。ほんの少しだけ。だが、僕にとってそれは、希望の光だった。

森の中で、塩は貴重品だと攻略本で読んだことがあった。傷の消毒や、保存食を作るのに必要不可欠なものだ。

さらに進むと、小さな小川を発見した。澄んだ水は、喉の渇きを癒してくれた。塩を少し舐めてみた。しょっぱい。生きている実感を感じた。

それから数日後、僕は森の中で、奇妙な生き物に出会った。それは、大きな犬のような姿をした、毛皮の生えた獣だった。見た目は獰猛そうだったが、意外にも、こちらを襲ってくる様子はなかった。

むしろ、警戒しながらも、距離を保って僕を眺めているようだった。その獣は、その後も何度か出会った。名前を「ハウンド」と名付けた。

ハウンドは、僕の歩く方向を理解しているようだった。時折、森の奥へと続く道を示すように吠えてくれたり、危険な場所を避けるように導いてくれたりした。

森は、想像以上に広かった。そして、危険に満ちていた。毒を持つ植物、鋭い牙を持つ獣、そして、何よりも、人間の影。

ある日、僕は森の中で、一人の男に出会った。彼は、古びた服を着て、険しい顔をしていた。男は、僕を睨みつけた後、一言だけ言った。

「この森から出るには、試練を乗り越えなければならん。」

男は、何も説明してくれず、去っていった。試練とは一体何なのか?

僕は、ハウンドと共に、森の中を彷徨い続けた。塩を大切に使い、食べられる植物を探し、危険を回避しながら。

そして、ある時、森の奥深くで、大きな洞窟を発見した。洞窟の入り口には、奇妙な紋様が刻まれていた。

それは、攻略本に載っていた、古代文明の遺跡の紋様だった。まさか、こんな場所に…

洞窟の中は、暗くて狭かった。しかし、その奥には、信じられない光景が広がっていた。それは、まるで、別の世界への入り口だった。

洞窟の奥深くで、僕は、再び男と出会った。彼は、森の番人、もしくは、この森を支配する存在なのかもしれない。

男は、僕に一つの試練を与えてきた。それは、この森で生き抜くための、究極の試練だった。


僕は、ハウンドと共に、その試練に挑む決意をした。ニートだった僕は、この森で、本当の強さを手に入れることができるのだろうか?


この森を抜け出すことができるのか?そして、この森の謎を解き明かすことができるのか?


それは、まだわからない。だが、僕は、歩き続ける。灰色の森を、希望を胸に。
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