異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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フェルティとアクリウムの交響曲

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ジーフェス王子は、陽の国フェルティの王宮で、窓辺に腰掛けてため息をついた。彼の前に広がるのは、見渡す限りのオレンジ色の花畑。美しい景色のはずなのに、彼の心は鉛のように重かった。

もうすぐ、アクリウムの王女サーシャとの結婚式だ。政略結婚。フェルティとアクリウムの平和を保つため、彼とサーシャは駒のように扱われていた。正直、彼は嫌だった。自由を奪われたような気がして、息苦しかった。

サーシャについては、噂しか知らなかった。冷酷で、容赦なく、策略に長けた王女だと。そんな女性と、一体どうやって一緒に暮らせばいいんだ? ジーフェスは、頭に浮かぶサーシャの冷徹な顔を想像し、更にため息をついた。

一方、アクリウムの王宮では、サーシャ王女もまた、憂鬱な気分だった。彼女の部屋からは、紺碧の海と、それを囲む緑豊かな森が見渡せる。美しい景色のはずなのに、サーシャの心は、嵐の海のように荒れ狂っていた。

彼女は、兄であるアクリウムの国王から、フェルティとの政略結婚を強要されていた。兄は、彼女の感情など全く考慮せず、国益だけを考えていた。サーシャは、兄の冷酷な支配に苦しんでいた。愛のない結婚。考えただけで吐き気がしそうだった。

結婚式当日。フェルティの王宮は、華やかで賑やかだった。オレンジ色の絨毯が敷き詰められ、陽気な音楽が流れ、人々は笑顔で祝福をしていた。しかし、ジーフェスとサーシャの心には、その賑やかさが全く届いていなかった。

式が始まり、二人は誓いの言葉を交わした。互いの目を見つめながら、しかし、その瞳には、愛情など微塵も感じられなかった。式が終わると、二人は、それぞれの部屋に引きこもってしまった。

数日後、ジーフェスはサーシャに呼び出された。サーシャの部屋は、彼とは対照的に、落ち着いた雰囲気だった。海を思わせる深い青色の壁、そして、静かに揺れる白いカーテン。

「あなたと、話したいことがあるの」

サーシャは、普段の冷徹な表情とは違い、少し弱々しい表情で、そう言った。ジーフェスは、戸惑いながらも、彼女の言葉に耳を傾けた。

サーシャは、自分の過去を語り始めた。兄の支配、そして、自由を奪われた幼少期。彼女は、孤独と戦い、冷酷な心を作り上げてきたのだ。

ジーフェスも、自分の過去を打ち明けた。彼は、兄と姉に溺愛され、甘やかされて育ったが、その裏には、彼への過剰な期待と、自由を奪われる恐怖があった。

二人は、互いの心の傷を共有し合った。そして、初めて、お互いを理解し始めた。それは、愛というよりは、共感だった。しかし、その共感こそが、二人の心を繋ぎ始めた。

それからというもの、二人は少しずつ変わっていった。ジーフェスは、サーシャの冷たさの奥にある優しさに気づき、サーシャは、ジーフェスの優しさに触れ、心を開いていった。

王宮の生活は、相変わらず厳しかった。ジーフェスの兄と姉、そしてサーシャの兄は、相変わらず、二人を監視し、操ろうとしていた。しかし、ジーフェスとサーシャは、互いに支え合い、困難を乗り越えていった。

時には、激しい口論をすることもあった。しかし、その度に、二人は、互いの心を確かめ合い、より強い絆を築いていった。

彼らの結婚生活は、決して順風満帆ではなかった。しかし、二人の間には、少しずつ、温かい愛情が芽生え始めていた。それは、政略結婚から生まれた、奇跡の愛だった。そして、その愛は、フェルティとアクリウムの平和を守る、大きな力となっていくのだった。  彼らの物語は、まだ、始まったばかりだった。
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