異世界ファンタジーまとめ【短編集】

テタの工房

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竜色の家族旅行

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真夏の昼下がり、僕は公園のベンチでアイスを食べていた。突然、目の前が白く光り、耳をつんざくような音がした。気がつくと、そこは緑が生い茂る、見たこともない森だった。

「うわぁ…どこ…?」

辺りを見回しても、知っている景色は一つもない。公園のベンチどころか、日本にいる気配すら感じられない。パニックになりそうになったその時、小さな影が僕の足元に現れた。

それは、鱗の生えた小さな手を持つ、緑色の肌をした少女だった。少女は、大きな翡翠色の目をクリクリとさせて、僕を見上げていた。

「…お父さん?」

少女の言葉に、僕は思わず吹き出した。冗談だろう。まさか、こんな場所で「お父さん」呼ばわりされるとは思わなかった。でも、少女の真剣な表情を見て、冗談じゃないと悟った。

「…えっと、お父さんって…?」

「うん!お父さん、私を助けてくれたんだもん!」

少女は、嬉しそうに僕の腕に抱きついた。どうやら、彼女は僕を「お父さん」と認識しているらしい。僕は、この奇妙な状況を理解しようと必死だった。

その後、少女はリューシエという大陸にいることを教えてくれた。どうやら、彼女は「ドラゴニュート」と呼ばれる種族で、名前は「ティア」というらしい。ティアによると、僕は彼女を助けた英雄らしいが、正直なところ、何をどうしたのかさっぱり記憶がない。

ティアに連れられて森を抜けると、そこには奇妙な生き物たちが暮らす、賑やかな街が広がっていた。ティアは、僕の妹や仔猫が一緒に転移してきた可能性があると話し、一緒に探すことになった。

妹を探す旅は、予想以上に波乱万丈だった。世界に八体しかいないという伝説の竜と遭遇したり、街の名士や王家の関係者と知り合ったり、様々な種族の人々と友達になったり。

ある日、ティアと森を歩いていると、美しい女性が男装をして馬車を修理していた。彼女は、故郷を追われた未亡人だと名乗り、自分を「リリア」と名乗った。リリアは、驚くほどの腕前で機械を操り、僕たちを助けてくれた。

その後も、鬼人の戦士、獣人の商人、小人の魔法使い、妖精や精霊、エルフといった様々な種族の仲間が増えていった。彼らは皆、僕を「お父さん」と呼ぶティアを可愛がり、僕を快く受け入れてくれた。

旅を続けるうちに、僕は「色彩強化」というスキルを手に入れた。この世界では、色が大きな力を持っているらしく、僕のスキルは、色に関する能力を大幅に強化する効果があった。

ある日、僕たちは、大陸を揺るがすほどの魔物の襲来に遭遇した。その魔物は、あらゆる色を吸収し、世界を闇に染めようとしていた。絶体絶命の状況で、僕はティアや仲間たちを守るため、自分のスキルを最大限に解放した。

僕の放った、七色の光は、魔物を圧倒的な力で撃退した。世界は、再び美しい色彩を取り戻した。

騒動の後、人々は僕を「色彩の英雄」と呼ぶようになった。僕は、妹や仔猫は見つかっていないものの、たくさんの仲間と出会い、かけがえのない家族を得た。

ティアは、僕の腕の中で眠りについた。リリアは、僕の肩に頭を預け、静かに笑っている。鬼人や獣人、小人も、僕の周りに集まって、賑やかに話している。

僕は、この世界で、本当に幸せな家族を手に入れたんだと実感した。異世界転移は、決して楽しいものではなかったけれど、この奇妙な家族と出会えたことで、僕の運命は大きく変わった。

これからも、この賑やかな家族と共に、リューシエ大陸を旅していく。もしかしたら、いつか妹や仔猫も見つかるかもしれない。そして、この世界に、もっとたくさんの色を添えていきたい。  僕の、竜色の家族との物語は、まだ終わらない。
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