剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

第2.5章 崩壊するゲーム

第138話 思い込みは身を滅ぼす

～訓練所～

「可笑しいだろ、なんでヒロインキャラが来るたびにここに来てるんだよ」

もしくは戦う事になっている、目と目があったら〇〇モンバトルとは違うんだぞ？

「力で捩じ伏せて従わせる、成る程、これがお前のやり方ね」

「…泣きべそかきながら人を煽るなよ、ハンカチあるけどいる？」

「いらないわよ！」

放課後の教室でメイディ達の逆鱗に触れたメジーナはフィオナ達に無理矢理ここに連れて来られて本気マジで集団リンチにされそうになった為、急遽きゅうきょクロウが戦う事になったのだ。

止めないとミオ達が本当にやりかねなかったので仕方ない。

「全く…なんで俺がお前を助けないといけないんだ」

「別に？助けてとは一言も言ってないけど？」

「じゃあ今から集団リンチされてくる？もう助けないけど？」

「ごめんなさい、本当に助かりました」

そう言って頭を下げる、コチラとしてはヒロイン達の醜みにくい争いを見たくなかったから止めに入ったのだが、ムカつく奴が痛い目に遭うのは正直『ザマァw』と思ってしまうのでこれ以上の擁護はしないつもりだ。

「まぁリュークに助けを求めればなんとかなるかもしれないけど、その代わりリュークの人生が詰むな」

「…なんでよ？」

「俺たちは貴族だけど、リュークは平民だ、この世界では平民と貴族の人権の差は…わかるだろ？」

中世ヨーロッパ風なので文化や価値観もそれに近い…訳でもないが、一応それをモチーフにしている。

平民と貴族では命の価値、言葉の重みなどが違う、たとえ平民が真実を話したとしても俺やミオ、シャルの様な公爵家の者が『嘘』と断定すればそれは嘘になる。

ムカつく話だが権力力がない者は虐げれられるのだ。

「下衆げすがっ！」

「何もしてないだろ？お前が変な事を言わなければ何も起きないんだから」

実際、クロウは関わろうとはしなかった、メジーナが勝手に来ただけで、リュークの推しである以上、面倒事はリュークに任せる事にしていた。

勝手に来て、勝手に煽って、勝手に死にかけて、勝手に文句を言っている、だからこそ面倒臭いのだ。

「と言うか俺はお前が集団リンチに遭うのを防いでその上でお前との勝負を受けようとしているんだぞ？」

「それが何よ？」

「どんな風にやられても文句は言うなよ？俺は男女平等で行くからな？」

女性差別だ、女性蔑視だと馬鹿みたいにほざく奴らが喜ぶ人種だ都合の悪い時だけ女の権利を使う奴に慈悲はない。

今回はまだ女の権利は使ってないが、使ったとしても無視してやる。

「上等よ、わたしだってそれくらいの覚悟は出来てるわ」

とは言えこの世界は魔物が存在し、女性でも冒険者になれるかなり平等な世界だ、日本なら考えられないが、ここなら普通の事だろう。

「分かった、
ならこの戦いの再確認だ、負けたら相手の言う事を一つ聞く、お前が勝ったら洗脳…とやらを解いてやる」

「貴方が勝ったら？」

「洗脳はしていないと理解してさっさとリュークの所へ行け、むっつりスケベ」

「スケベじゃないもん！」

取り敢えずこんなもんでいいだろう、相手は思い込みで挑んで来ている為、(自分クロウが)負けた時の要求は無いに等しい。

つまりこの戦いは勝っても負けても、利があるのはこちら側クロウにある。

…と思いたい
(元々洗脳なんてしてない為、洗脳を解いたと言って次の日も変わっていなければ洗脳を解いていないと思い込まれてまた面倒な事になりかねない。)

「良いわ、そんな減らず口もあっと言う間に黙らしてあげるわ！」

「その台詞セリフそっくりそのまま返してやるよ」

こう言う時男同士なら拳で語り合う、みたいな熱い展開になるのだが、男対女だと悪役がヒロインを痛ぶる展開みたいで少し気が重い(後久しぶりに悪役ぽい事が出来て嬉しい)。

「行くわよ！」

「来い」

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ちなみにリュークは平民達と課題をやっている(何してんだよ主人公…)