領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。

さっちさん

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1章

20.

ムートンへ向けて出発した。
私は相変わらずアルトに乗せてもらっている。
「自分用の馬が欲しいな。ジンに乗るのも良いけど街道だも目立つもん」
大体、あの子は大人しく街道を走ってくれない。今も道から外れて森の中で狩をしながらついて来ている。
「ウチの領地が馬の育成を得意としてるから親父にでも言えば良い牧場を紹介してくれると思うぞ」
「そうなんだ。じゃあ今度連れていって」
ナタリア領地は王都の南側。アズベリーとは反対方向だ。戻ったら連れて行ってもらおう。
「ムートンに着いたら手紙で知らせておく。帰ったら馬を買いに行くとしよう」

そのまま旅は順調に進み、6日後、ムートンに到着した。

街の門に並ぶ。貴族門を通れば直ぐに入れるのだか騒がれても面倒なので一般門で順番をまつ。
15分程で入れた。門番さんがカードを見て一緒目を見開いたが何も言わず通してくれた。
そのまま、領主館を目指す。街の奥地、小高い丘の上にある。
館に到着するとトーマスが出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ。皆様もようこそおいでくださいました。さあ、中へどうぞ。兄もお待ちしております。」
トーマスは執事のセスタスの弟だ。
馬を預け中に入る。
「「「おかえりなさいませ」」」
使用人達が一斉に頭を下げて出迎えてくれた。
「ミーナ様おかえりなさいませ。アルト様ロト様マリア様ようこそお越しくださいました。どうぞごゆっくりお寛ぎくださいませ」
「セスタス、出迎えありがとう。とりあえずみなさんを部屋へご案内差し上げて。私は自室を使います。庭に従魔達がいるから後で中に入れてあげてね。アルトさん、私はとりあえず少しセスタスと話がしたいのでゆっくりしていてもらえますか」
「あぁ、わかった。そうさせてもらう。今日は特に予定も無いし、夕食まで街でも観光してるから気にせず話をしててくれ」
アルト達は二階の客室に私は三階の自室に向かった。此処の屋敷はプライベート空間が三階に固まっており、結界が施されている。領主の許可した者しか入ることは出来ず、使用人も一部の者しか許可をしていない。それだけ重要な場所となる。私は執務室へと場所を移した。
「セスタス、聴いているとは思うけどオーロラとマースが新たに領地として加わったわ。数日後、オーロラ地区に向けて出発する予定よ。叔父からヤックル宛の手紙を預かってきたわ。帰りは一緒に戻る予定ですからそのつもりで。」
3週間後に収穫祭が控えている。舞に参加する子供や各主要人物は領主館に滞在する。部屋の順調もあるだろうからこの事を伝えた。
「畏まりました。その様に手配いたします。ご帰宅後はミーナ様達は屋敷に滞在されますか」
「屋敷内だと他の方達から目立つものも面倒だし、別館を使用するわ。身の回りは自分達でするから祭が終わるまでほっといて貰って大丈夫よ」
「お気遣いありがとうございます。ではその様にさせて頂きます」
私は祭期間の滞在リストや他の書類に目を通した。
「あと数年は領主として参加するつもりはないし、面倒事は叔父さんに任せて久しぶりに祭を楽しみたいの。必要が有れば手伝いはするからその時は言って」
「畏まりました。ミーナ様、先日引き取りました子供について少しご相談がございます」
セスタスの話によるとアリスについては幼い事もあってか養女にと申請があったとの事。マイクについては実は随分トーマスに懐いているらしく出来れば養子に迎えたいとのこと。リリアについてはやはり学園への入学を強く希望しているそうで合わせて叔父に話をする予定となっているらしい。
「わかったわ。今回の滞在中に孤児院を訪ねる予定だったから一度本人達と話をしてみる。それと一つ相談なんだけどトーマスにマースの事協力して貰いたいと考えているのだけど」
マースの件は私が任された。だから私の信用できる人をおきたい。
「そうですか。今となってはミーナ様も此方にいらっしゃる事もごさいませんし、本人が了承するのなら私としては弟の出世、喜ばしい事です」
トーマスは元々私の教育係だ。今となってはその必要もあまりない。本人に一度話をしてみる事にした。
トーマスを呼び、3人で話をする。
「マイクを連れて行く許可がエドワード様より降りるのでしたらあの子の出身地でもありますので喜んでお受け致します」
叔父の到着後、許可を貰えるなら受けてくれるとの事。心強い限りだ。
叔父は祭近くにならないとこないので一旦この話は置いておく事にした。
セスタスに精霊石の加工についても聞いてみる。やはり私が思った通り、街の鍛冶屋で一軒加工出来る所がある様だ。明日、アルト達と行く事にしよう。
話も終わり、自室にいく。
元々は両親が使用していた部屋を自分用にし、私の部屋だったところはそのままに、もう一部屋を叔父が滞在中に使用している。この屋敷の三階は執務室、私の部屋、叔父の部屋、元私の部屋それ以外に後2部屋あり、二階には客間として10室以上はある。1階は応接室、プライベートリビング、来客用リビング、パーティルーム、会議室等々、領主館として必要な部屋がある。風呂は客室には各それぞれに備えてあり、三階も同様。各階に大入浴場も備えている。使用人スペースも合わせると結構な広さだ。もっと小さい頃家の中でよく迷子になったものだ。懐かしい。自室のソファでぼんやりしていると夕食に呼ばれた。
プライベートリビングに行くとすでに三人が揃っていた。
「お待たせしました」
私が席についた事で食事が始まる。
「しかし、広い屋敷だな。お前ほんとにお嬢様だな」
ロトが感心している。たわいも無い話をしながら食事は進んだ。
明日、鍛冶屋に行く事をはなし、各々部屋へと戻った。
翌日、4人で鍛冶屋に向かう。トーマスが案内してくれた。
店に入ると一人の男性がカウンターに座っている。
「いらっしゃいってなんだトーマスか。なんか用か。」
偏屈そうなおじさんだ。
「こんにちは。こちらでなんでも加工してもらえると聞いたのですが」
後にいた、私達に気付いたようで此方を向く。
「あぁ、たしかになんでも加工はするが貴族様のわがまま品に付き合うきは無い」
なかなかはっきりとしている。トーマスが連れてきたから貴族だと思ってり見たいだ。
「わがままと勝手に決めつけないでほしいな。お前にこれが加工出来るか聞きたいだけだ。無理なら他をあたる」
アルトが突っ掛かり気味に石を見せると店主は目を見開いた。
「お前達どこでこれを。いや、そんな事はどうでもいい。是非、俺にやらせてくれ。いや、やらせてください」
随分な態度の変わり様だ。
「全部で3つある。各々に合わせて加工出来るか」
「あぁ、大丈夫だ。土台の金属は何を使う?相性が良いのはミスリル辺りだが。何か希望はあるか」
その後はトントン拍子に話が進み、三人と店主が色々相談している。
ある程度決まった様で仕上がりまで10日から二週間かかるとの事だ。
「私はこれを双刀剣にして貰いたい。少し長めと、それより10㌢程短いのと」
説明しながらこないだ手に入れたミスリルのインゴットを渡す。
「こりゃまた。いいぞ。他に希望はあるか」
細かい指定をしていき、最後に採寸された。もし、素材が余る様なら横笛も作って貰える様にお願いする。
こっちも同じ納期で加工してくれるとの事。収穫祭辺りで取りに来る事を伝え、店を後にする。完成が楽しみだ。

領主館に戻り、明日以降の打ち合わせ。オーロラに向けては明日出発する事となった。
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