領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。

さっちさん

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1章

23.

「全くアイツらは自分の立場を理解してなさすぎる。ここが自分の屋敷みたいに振る舞いやがって」
かなり、ご立腹だ。叔父さんを宥めてとりあえず座らせる。
「で、急ぎの用事はなあに?」
物凄い形相で此方を睨むものだから思わずのけぞってしまった。
話の内容は非常に腹立たしく、急いで私を呼びつけたのもわかる。
なんと、収穫の舞の弦楽器の子が乗る馬車が盗賊に襲われて腕を怪我したらしい。内々にこの事を叔父にセスタスは伝えたのに何故か叔母が知っていて娘を代理に立てるといい騒いでいるとか。絶対仕向けたの本人に間違いない。収穫祭まであと一週間では変わりが探せないとわかっていてやっている。タチが悪い。
「それでだ、ミーナ。何かいい案は思いつかないか。正直俺では考えが及ばん」
私は思案した。
「そうね、折角の収穫祭を台無しにされても私利私欲に使われても納得いかないしな。仕方がないか。私が出るわ」
叔父さん目を丸くする。
「ミーナ様でしたら十分だと」
セスタスは満足そうだ
「お前、そんな事出来るのか」
「一応ね、元々領主の娘だし、ひと通りはマスターしてるよ。大体、母がなんと呼ばれていたか知っているでしょうに」
そう、母は音姫と呼ばれる程の腕前だったのだ。その母にスパルタに仕込まれたおかげで奏でれば恐らく右に出る物はいない。
「せっかくだし、その後の豊作の舞が霞む位の演奏をするよ。で、そうだ相談なんだけど時間も余り無いし、明日からでも音合わせしたいの。で、誰にも知れずに非公開で、当日まで叔母にはバレない様に上手くやって。練習場所は訓練場を使用するわ。セスタス、手配をお願い。あと、弦楽器だけど母様のを使いたいけどバレるの嫌だし、どうしようかな。当日は奏でる側は面を被るから素顔は見られないし大丈夫としてもさ、そうだ、此間ダンジョンで手に入れたのがある。明日、それで試してみるよ」
段取りは決まった。見てろ、叔母達には絶対邪魔させない。
私は使用人通路から屋敷の外に出て別邸に帰った。
アルト達に屋敷での出来事、叔母の事をはなす。明日から収穫の舞の稽古になる事も伝えた。
3人とは暫く別行動だ。夕方には帰宅するので食事はいるのか訪ねるといるとの事。毎晩、その時に報告会をする事になった。
明日は精霊石を取りに行くらしい。私の笛も引き取りをお願いした。
さぁ、明日から頑張って練習だ。
正直、久しぶりに弦楽器が弾ける事はすごく楽しみ。どんな子達と一緒に演奏するのかどんな舞を披露してくれるのか、今からワクワクしてる。
そんな気持ちで今日も就寝した。

翌朝、朝食の準備をし、先に済ませて訓練場に向かう。
中に入ると叔父さんが先に着いていた。
挨拶を済ませて他の子達を待っている
「今朝、姉にあてが出来たから心配要らないと伝えたら随分食いかかってきた。適当にあしらって置いたから大丈夫だろう。ここへは入れない様に入室許可のいる結界を施した。アッチは屋敷内で練習しているから鉢合わせも無いと思うぞ」
流石叔父さん、仕事が早い。
「ありがとうございます。ところでヤックルさんと話は付きましたか。昨日言い忘れてましたが王都に戻ったら、彼の子爵授与を申請すり事になったの」
本人から話を聞いていた様で叔父もこれに賛成との事。オーロラの事は任せても大丈夫だろう。
約束の時間が近づき、収穫の舞のメンバーが集まった。
叔父が今回の事を説明する。
「初めまして。ミーナと言います。今回、事情があり、内密に稽古する事になってしまってすいません。よろしくお願いします」
挨拶を済ませて早速練習する事にした。
明後日には、舞の先生も到着する。それ迄に音はある程度合わせておきたい。
先ずはお囃子の演奏を確認した。次に太鼓の演奏。そして私の弦楽器。みんなで各パートの音を確認、舞の子達は離れて練習している
「次は私とお囃子で演奏しましょう」
両方で奏でる。初めて合わすので少しぎこちない。
「では、太鼓と私でお願いします」
私の弦楽器に合わせて太鼓を鳴らす。
今度はお囃子と太鼓の番だ。
「じゃあ、みんなで一度演奏しましょう」
6人で音を奏でた。何回か演奏しているうちに少しずつぎこちないのがマシになってきた。しかし、完成にはまだ程遠い。
「いきなりはやっぱり綺麗に音がかさならないね。何か良い練習方法はないかな」
みんなに聞いてみる。するとお囃子の子が一人口を開いた。
「まず、音のテンポを決めませんか」
確かにそうだ。舞の子達も呼んで一番踊りやすいテンポを探る。それに合わせて演奏する事にした。

そうこうしているうちに舞の先生が来る日になった。
「おはようございます」
「「「おはようございます」」」
嬉しい。私が舞を教わった先生だ。
叔父から事情を聞いてくれている様で目配せだけで挨拶してくれた。
一度先生に今の完成度合いを見てもらう。
「ミーナさん、当日は魔力を入れるつもりですよね」
バレてる。実は当日、音に魔力を乗せて奏でる予定だったのだ。
「一度、ここで魔力を乗せて合わせてみては」
言われた通り魔力を乗せてみんなで演奏、舞を踊ってもらう。
「やっぱりね、魔力を乗せるとしっかり音が重なって申し分ない出来になっているわよ」
やった。お墨付きを貰えた。
「他の子達で魔力を乗せれる人は居てるかしら」
太鼓の子とお囃子の子が一人づつ少量ではあるが乗せる事が出来るみたいだ。
今度は三人魔力を乗せてみる。音に重圧感が出てさっきより更に良い出来になった。明日、明後日とこの方法で練習をし、前日はお休みとの事。これから間違いない仕上がりになりそうだ。祭当日がとても楽しみになった。
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