領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。

さっちさん

文字の大きさ
27 / 63
1章

27.

今日からアルトと二人ナタリア領に馬の買い付けの為、旅にでる。
今回は依頼とかでも無いのでゆっくり行くつもり。
「ミーナ、ところでお前馬に一人で乗れるのか」
今更だがもっともな質問だと思う
「一応乗れるよ」
アルトから疑いの眼差しが痛い
「そうか、ゆっくり練習したらいいと思うぞ」
あまり信用してくれて無い。
そりゃ、背が足りなくて自力で今まで馬に跨がれた試しがないけど乗りさえすれば大丈夫だ。そう自分に言い聞かせて納得した。
ヤトバ地区はナタリア領でも王都から一番遠い。今回は先にヤトバに行き、王都に戻りながら観光する事になった。主要都市であるクルナ地区にも立ち寄る予定。ここにアルトのお兄さんが滞在している。
途中の小さな村には寄らず5日目の午前中、ヤトバに到着した。
「とりあえず先に宿へ行こうか」
街は、そんなに大きくは無いが綺麗に整備されていて清潔感がある。街を中心にいくつもの牧場がある様で取り扱っているのも馬に限らず色々あるらしい。
宿にはとりあえず2泊の予定で部屋を取った。お子様扱いなのでアルトと同室だ。
早速、紹介してもらった牧場に行くことにした。良い子がいればいいのだが。
牧場に到着。責任者を呼んでもらい、紹介状を見せる。
「ナタリア様のご紹介でしたら喜んでお譲りさせて頂きますよ」
自分用の馬を選ぶ為、放牧地に来た。
「急に大きな音を出したり追っかけたりしない限りは大人しいから、近づいでも大丈夫だよ」
ぐるりと馬を見渡す。遠い位置に目を引く一頭がいた。
「あの奥にいる黒色の子はどうですか」
責任者のおじさんに尋ねてみた。
「アイツはちょっと気性が荒いので、難しいと思いますよ」
おじさんはそう言うが気になる。私はその子に近づいていく。
おじさんが止めようとする前に馬が此方に向かって急に走りだした。咄嗟の事で一瞬反応が遅れたが地面を蹴り上げ馬に飛び乗ってやった
「ほら、大人しくしなって。暴れても降りないよ」
立髪を掴み、馬を扱う。背中で宥めながら牧場内を走らせてみた。
「よしよし、良い子だ。そのままゆっくり速度を落として、あそこに止まってちょうだい」
アルトとおじさんのいるところまで誘導して止まらせた。
「私、この子にする」
アルトは苦笑い、おじさんはびっくりして固まっている。
馬から飛び降りた。
真っ黒の凛々しい面立ちの子だ。鼻からおでこにかけてだけ白がさす。
「にいちゃんよ。お嬢ちゃんこうは言っているが大丈夫か」
私に言ってもきかないと思ってかアルトに尋ねている。
「まあ、本人が良いと思う馬で良いんじゃないかな」
アルトは別に良いと思っているみたい。
「ミーナ、ホントにその馬で良いのだな」
私は頷く。この子に決まった。流石に鞍なしと言うわけにもいかないので合わせて貰って買うことにした。しかし、馬が鞍を合わさせない様で作業をしている従業員のひとが困っている。
「こら、ちゃんと合わさないと連れて帰らないよ」
一言、怒ってやると大人しくなった。よしよし、良い感じだ。
おじさんはもはや何も言わないとばかりに他の馬を連れて来てくれた。
マースに送る分だ。
「番三組はこいつらでどうだ。どれも若いが一度は出産を経験してるから大丈夫だろう。春が種付けの時期になるから、その頃にこちらから従業員を派遣して、指導するとしよう。」
大変有り難い申し出にお礼を告げた。
「あいつを手懐けるお嬢ちゃんの事だ。きっと他の子達も大事にしてくれるだろうから任しときな」
こうして私は自分の馬を手に入れた。
今日、この後最終の身体チェックをして明日には連れて行けるとの事。マースの分は二、三日中には此方を出発して連れて行ってくれる。
私はトーマスに急ぎの手紙を出し、迎える準備をする様に指示を出した。
宿に帰り、あの子の名前を考える。ジン達に聞いてみたところ『黒白』でこくはくで良いのではとの事。そうしよう。
「アルトさん、あの子の名前、『黒白』にするんだ。良いでしょう」
「あぁ、そのまんまだけどな」
笑いながら答えてくれた。
翌日、黒白を迎えるにいく。おじさんが直ぐに連れてきてくれた。
「お嬢ちゃん、大事にしたってくれや」
手綱をあずかりお礼をいって牧場を後にした。今日は乗り慣らす為に丘まで馬を走らせる事にした。
アルトの馬に合わせて黒白を走らせる。二頭とも気持ち良さそうだ。
「走らせる事は問題無さそうだな」
そうなのだ。乗って仕舞えばなんとでもなる。この子もかなり賢いので乗りやすい。但し乗る時が問題で鞍が無ければ昨日みたいに飛び乗れない事もないのだが鞍の分だけ更に高くなった為微妙に届かない。そもそもこの子、大型なのだ。大人の男性が所有しても十分なガタイだ。
誰かが一緒の時は良いのだが1人の時をどうにかしないといけない。
「そうなのよね。まぁ、また考えるわ」
気楽に流してみた。明日にはこの街を出て観光がてら王都に向かう。帰るまでに考えよう。
今日のところは宿に戻る事になった。宿で馬を預けて街を観光する事にした。
「ここの名物は煮込みの肉料理だ。なかなか美味しいぞ」
屋台で勝手貰って食べた。すごい美味しい。中に野菜もたっぷり入っていて食べ応えがある。今度作ってみよう。
「アルトさん他には名産とか無いの」
硝子細工が有名らしくお店に連れて行ってもらった
「かわいい。たくさんあるぅ」
大はしゃぎな7歳児。店員さんが微笑ましく見ている。
「ミーナもそうしていると子供らしいな。ほら、あんまり騒いでいたらその辺の商品壊すぞ」
アルトさんに注意され、それでもソワソワしながら店内を見て回った。
私はドラゴンの置物とグラスを2つ買う事にした。
アルトも何か購入したようだ。
宿に戻り今日買ったドラゴンをみんなに見せる。
ガイヤが大喜びで咥えて飛び回る。
「壊さないでよ」
みんなで大はしゃぎしながらも気がついたら寝てしまっていた様だ
アルトが風呂から戻る頃にはそこら辺にゴロゴロ転がって寝ている。溜息を吐きながら順番にベットに連れて行った。

感想 15

あなたにおすすめの小説

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

繰り返しのその先は

みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、 私は悪女と呼ばれるようになった。 私が声を上げると、彼女は涙を流す。 そのたびに私の居場所はなくなっていく。 そして、とうとう命を落とした。 そう、死んでしまったはずだった。 なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。 婚約が決まったあの日の朝に。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

逆行転生、一度目の人生で婚姻を誓い合った王子は私を陥れた双子の妹を選んだので、二度目は最初から妹へ王子を譲りたいと思います。

みゅー
恋愛
アリエルは幼い頃に婚姻の約束をした王太子殿下に舞踏会で会えることを誰よりも待ち望んでいた。 ところが久しぶりに会った王太子殿下はなぜかアリエルを邪険に扱った挙げ句、双子の妹であるアラベルを選んだのだった。 失意のうちに過ごしているアリエルをさらに災難が襲う。思いもよらぬ人物に陥れられ国宝である『ティアドロップ・オブ・ザ・ムーン』の窃盗の罪を着せられアリエルは疑いを晴らすことができずに処刑されてしまうのだった。 ところが、気がつけば自分の部屋のベッドの上にいた。 こうして逆行転生したアリエルは、自身の処刑回避のため王太子殿下との婚約を避けることに決めたのだが、なぜか王太子殿下はアリエルに関心をよせ……。 二人が一度は失った信頼を取り戻し、心を近づけてゆく恋愛ストーリー。

醜いと虐げられていた私を本当の家族が迎えに来ました

マチバリ
恋愛
家族とひとりだけ姿が違うことで醜いと虐げられていた女の子が本当の家族に見つけてもらう物語