領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。

さっちさん

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1章

29.

今、船で移動している。魔物が襲ってくるポイントがあるらしい。恐らく住処が近くにあるのだろう。
二隻で移動しているが私達の乗っている方に組合長がいる。
「もうすぐ、ポイントに到着する」
アルトと私は戦闘準備に入った。
急に波が荒くなったと思ったら魔物が現れた。大型のクラーゲンだ。こいつは表面の弾力性が強くてなかなか剣が刺さらない。納得だ。
「ミーナ、とりあえず魔法で攻撃してくれ。」
言われた通り魔法を放つ。
「アイスショットLv7」
クラーゲンの頭が一気に凍った。
そこにアルトが剣で攻撃する。私も、双刀剣をもち、攻撃に加担する。
クラーゲンの頭が割れた。
船乗り達は呆気なく終わった戦いを呆然と眺めていた。
突然、船乗り達が騒ぐ。
「また、きたぞ」
どうやらクラーゲンは一体では無かったようだ。立て続けに海から三体姿を現せる。
私とアルトは一体づつ順番に仕留めていく。
三体目の討伐が終了した。
はぁ、やっと終わった。流石に4体は体力的にきつい。
討伐したクラーゲンは街に持ち帰って食用に解体するみたい。
私達は港へと戻った。
組合長の執務室に招かれる。今回の討伐に対する報酬の件だ。
「正直、4体も居るとは思わなかった。依頼は1体のつもりで出していたから上乗せしたいと思う。ただ、4倍となると、直ぐに支払うというが財政的に正直厳しい。どうしたものか」
予測以上の事で組合長が嘆いている。私はアルトにこっそり定期便の運用を報酬にしても良いか聞いてみた。好きにしたら良いとの事なので早速組合長に交渉する。
「報酬の件で一つ提案と言うかお願いがあるのですが」
組合長ラースにオーロラへの定期便について話をする。
「確かに、貴女の言う様にこちらにも利益のある話だとは思うがあそこの港は領主が変わったところで許可がとれるかどうか。ナタリアの領主にも一度お伺いを立ててみないと話を進める訳にいかないし」
そっか、私自身の事を伝えて無かった。改めて、アズベリーの領主である事、アルトがナタリア領主の身内であり、許可はこちらで取ることなど説明した。
ラースはびっくりしていたがそれならと討伐の報酬替わりにこの話を受けてくれるらしい。
ナタリア領主の許可が取れ次第、再度こちらに訪れるのでその時に運用方法を取り決めする段取りで話がついた。
私達は依頼の完了報告をしにギルドに寄って宿に帰る事にした。
明日にはこの街を出発して、アルトのお兄様がいるクルナを目指すことになった。
翌日、屋台で昼食と魚の干物を購入し、黒白に乗って街を出発。
アルトの後をついて行く。途中、休憩を挟み今日の野営地に到着した。
「今日はここの野営地までにしよう」
ナタリア領は整備が行き届いてるので屋根のあるところで休む事ができる。
無料で幾つが使えるロッジがあるのでその一つに入った。
「今日は時間も少し早いので夕食作るね」
ちょっと気分転換に料理でもしようとアルトに声を掛け、台所へと向かった。
夕食に肉の塩煮込みを作る。
アルトは薪を拾いに出て行った。どうやらジンがついていくみたいだ。他の子達は台所の近くで寛いでいる。
塩煮込みを作りながら、収納に入れておく作り置きの料理も仕込んだ。
いつの間にかアルトも帰ってきて暖炉に火を入れてくれている。ナタリアは比較的暖かいのだが夜になると少し冷える。
私は出来上がった料理をテーブルに並べた。
席に着いて食べる頃には日も暮れてほかのロッジにも人の気配がする。
食後、リビングで寛いでいると外で物音がする。アルトとカーテンを少し空けて覗いてみた。
冒険者同士の喧嘩の様だ。関わるのも面倒なのでそのままそっとカーテンを閉める。何処にでもいるものだ。馬鹿な奴は。そうこうしているうちに眠たくなったので就寝した。
翌朝、朝食の用意をしているとドアをノックする音がした。
「ほっとこう。面倒事はごめんだ」
私もそう思う。しばらくすると音も止んだので気にせず朝食にした。
さて、そろそろ出発だ。
ロッジ内に忘れ物もない。今日中にはクルナに着くらしいので気合いを入れて出発した。
順調に進んではいるもののロッジを出た時から誰かにつけられている。当然アルトも気付いている様で馬を寄せてきた。
「ミーナ、アイツらどうする、ずっと後を付けてきているが撒くか」
「どうする?相手の目的がわからないし、付かず離れず街の側まで連れて行ってから処理する?」
狙いが分からないから手の出しようが無い。仕方がないのでそのまま街の側まで行く事にした。
街が見えて来たので後を揺さぶる。すると引っかかってきた。
「なにか用か」
アルトが牽制しながら問いかけると1人が前に出てきた
「お前らを王都に近づけるなととある方から頼まれた。ここで一生止まって貰おう」
どうやら、雇われの始末屋のようだ。
アルトと2人呆れ顔で見合わせる。
生捕にして、騎士団に突き出すのが良さそうだ。
相手は5人、一気に蹴りを付けてやった。全く骨の無い相手だ。そのままロープで拘束し、街の入口まで連れて行き、騎士団に渡した。アルトが事情を説明すると快く引き受けてくれた。
私達はそのまま街にはいり、お兄様の屋敷に向かう。
到着すると丁寧に出迎えてくれた。私は客室にアルトは自分の部屋があるようでそちらに案内して貰った。お兄様が留守にしている様で夕食時には帰宅するとの事。それまではゆっくりする事になった。メイドがお茶とお菓子を用意してくれたので暫く部屋で寛いで待っているとどうやら寝てしまっていたようで夕食の時間にメイドに起こされた。
私は準備をし、リビングに向かう。
部屋に入るとアルトとアルトによく似た男性が話をしていたが此方に気が付いて振り向いた。
「長旅お疲れ様です。私、ナタリア領、次期領主のスタード・ナタリアと申します」
「ご丁寧にありがとうございます。はじめまして、アズベリー領主、ミーナ・リュー・アズベリーです。ミーナとお呼び下さい。今回は滞在中お世話になります。」
お兄様、まさかの領主でちょっとびっくりした様で一瞬固まった。しかし、すぐに復活。
「私の事もスタードとお呼び下さい。」
なかなか、落ち着いた対応をしてくださるので冒険者として普段は振舞っている旨伝えて気軽に接して欲しいとお願いした。
了解してもらえた様で笑顔を返される。とりあえず、夕食をいただいた。夕食後、サロンに移動してお茶をいただきながら話をする事になった。
私は兄弟が会話しているのを眺めている。話をするのが久しぶりみたいでお酒を交わしながらの構図が絵になる2人だ。
まずはスタードに説明する事にした。
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