領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。

さっちさん

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1章

30.

スタードにオーロラとアローンの定期便の事を話した。
「成る程な。確かにそれが実現したらお互いろいろと利益は見込めそうだな。ミーナはどの様な商品を運ぶつもりだ」
「そうですね。私の領地は北、アローンは南、栽培している食料が違うのでそれは取り入れたいです。ただ、それだけだと利益とまではいかないので焼物や硝子細工も入れたいですね。後は馬もお願いしたいです。此方からは農業用の牛馬ならだせますよ。」
こんな感じで話を進めれる。
「細かいことはオーロラの責任者にお願いしようとは思ってますが」
基本あの街はヤックルに任せている。提案はしてもそこまで。後はお願いするつもりだ。
結局、後日ヤックルを連れてアローンに訪れる事になった。ナタリア伯爵にはお兄様やり知らせてくれるそうだ。
気になっていたはなしも済んだのでぼちぼち愛しのベッドに会いたいなぁと考えているとスタードが騎士に突き出した男達の報告をしてくれた。
結局、雇主は分からずで他に仲間が居るかも不明。とくにこれといった有力な情報はない。
「すまないな。もう少し詳しく調べられたらよかったのだが大した情報が引き出せ無かった。また、襲われるかも知れないからアルトもしっかりミーナを守ってやれよ」
アルトが乾いた笑をする。失礼な奴だ。ジト目で睨んでいるとスタードが不思議そうに此方の様子を伺っている。
「兄さん、この子も【紫】のメンバーだ。守るよりむしろやりすぎない様に見張るほうが大変なんだ」
むっ、やり過ぎたことなんてないはずだ、多分。
「そんな事しないもん」
拗ねてみたがまった相手にしてくれない。
「そう言えばそうだったな。ただ、用心に越したことはないから、気を抜かない様にな」
頷きながら考える。しかし、誰の差金だろうか。気になる。目的も分からないし、手の打ちようがない、今のところは。しばらく様子を見てみよう。王都に近づけたくない様な言い回しだったし、またそのうち仲間が現れるだろう。
私は考えつつも、そろそろ眠たくなってきたので部屋に戻る事にした。

翌朝、外が騒がしいので目が覚めた。窓から庭を覗いてみると、何かあったのかバタバタしている。
私は着替えて庭にでてみた。アルト兄弟も丁度出てきた様だ。
「おはようございます。スタードさん、アルトさん。何かあったのですか?」
「ミーナ、おはよう。今朝、いつものように馬番が馬達を放牧に出したら急に一頭が暴れ出して他の馬まで興奮状態で手が付けづらくて途方に暮れていたらしい。それで使用人がどうしようかと呼びにきたので庭にでてきたんだ」
成る程な、、、暴れ馬、、、もしかしてもしかしなくても
「アルトさん、もしかしてですか」
無言で頷く。あぁ、またか。
私は早足で放牧場に向かった。後をアルトとスタードが着いてくる。
「スタードさん、ここは任せてもらえますか?」
「ミーナ、何をするつもりだ?一人でどうにかできる事でもないぞ」
「大丈夫です」
私はそう言い残してジンに跨がり、問題児いや問題馬のところまでかけていく。
「こら黒白、また迷惑かける様な事していい加減にしなさい」
叫びながら背に飛び乗る。立髪を掴んで落ち着かせた。後から頭をしばいてやる
「もう、大人しく待ちなさいって言ったでしょ。置いてったりしないから街にいている間は賢くここの人の言う事きいて頂戴」
黒白は項垂れて大人しくなった。
後から追ってきたスタードと馬番はびっくりしている。アルトは呆れているが。
「ミーナ、大丈夫か。しかし中々大胆な事をするな。こっちがびっくりしたぞ」
「兄さん、この馬はミーナの言う事ならちゃんと聞き分けるんだ。初めっからこんな感じだし、その子も大概なお転婆だから気にしてたらキリがないぞ」
アルトの言いようがどうかとは思うがとりあえず落ち着いたしよしとしよう。
スタードも馬番も呆れた様に何も言わない。私は背から降りて馬番に黒白を渡した。また、暴れそうなら呼んで欲しいと伝えておいた。
「アルトさん、お腹空いたよ」
素直に今の気持ちを伝えると苦笑いしつつも食堂に行こうかと歩き出した。
私はその後をついていく。
席に着いて朝食を頂く。
スタードに今日の予定を聞かれアルトが答える。ギルドに行って旅の間に溜まった素材を売り捌き、街の観光をするみたいだ。
久しぶりの街の観光だし、今日は冒険者の服装ではなく娘らしくワンピース着てみた。それを見ていたメイドがせっかくだからと髪を編み込んでくれる。普段は邪魔になるから一つに束ねているが今日はサイドアップにしてくれた。腰まで長さがあるので少し邪魔になるけどたまにはよいか。
玄関ホールに行くとアルトが待っていた。
「今日はちゃんと女の子にみえるな」
褒めて貰えたと捕らえておこう。
今日は徒歩で出かける。ギルドは屋敷から10分程のところにあった。
ギルドに入ると不躾な視線が向けられる。慣れた事なので特に気にせずアルトの後を着いていく。買取カウンターで素材を出して査定してもらう。しばらく待つと受付担当が呼びにきた。
「お待たせしました。こちらにどうぞ」
再びカウンターに行くと金額が提示され、それなりの金額になったので半分ギルドカードに入れて貰った。アルトも同じ様に処理してもらっている。
そこにガタイの良い男性が近づいてきた。
「こちらのギルドに来られるのは初めてですね。私はここのギルドマスターでラモスと言います。もし、時間があるなら少し話をしませんか」
如何やらギルドカードを見て此方の事を知ったようだ。アルトが私の反応を伺っているので軽く頷いた。
「今日は特に予定は無いのですが休養日です。急ぎでないのなら明日にでも改めますが」
アルト的には今日は折角なので観光を優先するみたいだ。
「では、明日の午後からでもお越し頂けますか」
ギルドマスターからの誘いを明日にして街に出た。
「さあ、ミーナどこが見て回りたい」
アルト曰く、年頃の子供なら遊びたいだろうと気を利かせてくれている。
私は市場に行きたいと答えた。
「ここは王都も近いから色んな商品が流通してるぞ」
確かに色々売っている。私はアチコチに目移りしながら食材を購入した。
次に商業地区にやってくる。
武器や防具屋を横目にある雑貨屋さんが気になりそこに入る事にした。
「沢山あるね」
ウキウキで店内を見てまわる。紙や筆といった文房具も多く学園用に購入する事にした。
「気に入ったのがあってよかったな」
頭を撫でられた。私は好みの物が手に入ってご機嫌だ。
「リリアにお揃いの筆を買ったんだ」
ビーズで可愛く飾られた色違いを購入。私はオレンジ、リリアはピンクだ。
荷物を収納にしまい、次は屋台でご飯を食べる事にした。
私はハムのラップサンドとスープをアルトはホットドッグと串焼き、スープを購入する。公園のベンチに座り並んで食べた。
「ハムが美味しい。アズベリーは加工肉が余りないから中々食べる事ができなかったの」
ハムや腸詰といった加工肉が好きな私にとっては流通の少ないアズベリーでなんとか普及したいと考えるがいい案が浮かばない。
「定期便が運行されるなら利用するのも良いかもな」
アルトがサラッと言った言葉にハッと気が付いた
「ほんとだ。全く考えてなかった」
また、一つ目標が出来た。
午後からは街の外れにある花の温室に連れて行って貰い屋敷に帰宅した。
今日は久しぶりにゆっくりできて楽しかった。
「アルトさんありがとうございます」
私はお礼を言って夕食まで休憩する為部屋に帰った。
時間になったので夕食に向かう。アルトが先に部屋にいた。今日はスタードが遅くなるとの事で二人での食事だ。明日の予定を決めて寝る事にした。午前中は屋敷に滞在、昼食後ギルドに向かう事になった。
翌朝、食事を済ませて放牧場へと訪れた。黒白を呼ぶと嬉しそうに走ってくる。
「昨日は大人しく出来た様ね」
褒めながら撫でてやると目を細めて喜んでいる。その後、背に飛び乗り牧場内を走らせる。嬉しいみたいで張り切ってる様子が背中に居てもわかる。
ある程度走らせたので下りようと入口まできたら馬番の人が近づいてきた。
「ミーナさんはよくその子を操れますね。大した物ですよ」
感心した様に褒められた。
「ありがとうございます。でもこの子頭は良いので一度手懐けてしまうと扱いが楽ですよ。今も馬具無しで乗ってましたが此方が落ちない様に気にしながら走ってくれてますし」
うんうんと頷きながら降りるのに手を貸してくれた。
その後、屋敷に戻り昼食までに着替えを済ませて食事をとる。
食後アルトと共にギルドに向かった。
感想 15

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