領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。

さっちさん

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2章

55.

今日から4日間は護衛の仕事だ。
学園の広場にて他の護衛とも挨拶を交わす。幾つかの馬車に分かれて生徒は移動する為、私達護衛は各持ち場を馬でついて走った。
昼前、目的のダンジョンに到着。
各自昼食を取り、ダンジョンに潜る。目標は10階ボスまで。
ここは初級者ダンジョンの為5階以降は各階に転移の魔石がある。
期間は2泊3日三日後の夕方までにここに戻る事になる。
私達は最上学年の生徒グループが担当の様だ。
基本的には命の危険がない限り手出しはしない。
キョロキョロ周りを眺めているとファストの姿が確認出来た。
目が会い、軽く会釈する。
すると後ろからの妙な視線に気がついた。後を振り向くと綺麗なお姉さん方が此方を睨んでいる。
ファストはモテモテの様だ。とりあえず関わるのも面倒なので無視した。
改めて前を見ると急に後ろから髪束を引っ張られた。
「なぜ、貴女みたいな子供がこちらにいらっしゃるのですか。ましてやファスト様に色目を使い、お遊びではありません。早急におかえりなさい」
髪を引きながら叫ぶな。痛いじゃないか。
「何をやってる」
遠くから大声で怒鳴る声がする。
ワグリアが大股でこちらに来た。
「こんな時に何の騒ぎだ。そこの女子生徒何をしている」
「わ、私は子供が紛れているから注意をしただけですわ。」
慌てて手を離された為、前のめりに転びそうになるのをアルトが受け止める。
「急に其方が後から髪を引っ張ったのでしょう。言いがかりです」
涙目で訴えてやった。
「【紫】の皆様大変失礼致しました。こら、お前も謝罪しろ。わざわざ、Aランクパーティの方々にお越し頂いているのに何と失礼な。分をわきまえろ」
「こんな子供がAランクなんて紛い者ですわ。」
あっ、ワグリアの空気が変わった。
「良い加減にしろ。謝罪しないならお前はこの演習の参加を禁止する。良いな」
「そ、そんな。」
「当たり前だ。相手の実力もわからない輩がダンジョンに潜っても怪我をするだけだ。とっとと学園に帰って謹慎していろ」
「しゃ、謝罪すればよいのでしょ。先程は失礼な事をして申し訳ございませんでした」
口先だけよ。この言葉。この場は面倒なので謝罪を受ける事にした。
「ワグリア先生、もう良いです。時間の無駄なので」
私はこの場から立ち去る事にした。
改めて担当の子達に挨拶する。
先程の失礼な奴の次に出発みたいだ。

今日の目標4階までとの事で後からついていく。
特にトラブルもなく進めた。
「お疲れ様、中々良いペースで進めていると思う。明日からも気を抜かずに頑張りなさい」
アルトの言葉に皆、真剣に頷いた。
夜の不寝番は生徒と護衛のペアで行う。私は朝食担当なので一番最後だ。
早々とテントに潜って睡眠をとる。
今ここまで来ているのは、失礼な女子とウチの2パーティだけだった。
不寝番が回ってきたので身支度をしてテントから出た。
「おはようございます」
「おはようございます。よろしくお願いします」
相手の子と挨拶をし、朝食の準備を始める。
相手の子は不思議そうに此方を見ている。
「何をなさるのですか」
「朝食の準備です。朝はしっかり食べないと1日の動きが悪く成るから栄養のある手軽に食べれる物を準備するのです」
朝食の重要性を説明しながら準備をすすめる
「僕達もそうしてみます」
彼も隣で朝食の準備を始めた。
「あら、料理が、上手ですね」
「はい、作るのが好きで寮でも良く料理をしています」
嬉しそうに話しながらお互い手を動かす。
間もなく起床時間となりみんな起き出してきた。
学生の子達は朝食がある事にびっくりする。
「ミーナさんが準備してたし理由を聞いたら僕達もその方が良いだろうと思って」
私から聞いた事を周りの子達に伝えている。
此方は早々に朝食の席に着いた。
「「「「いただきます」」」」
四人で先に食べ出す
間もなく学年達も食べ出した。
食後少し休憩をしていると先に女子達が出発した。

「僕達も出発します」

次の階は5階のボス部屋だ。
下に降りたら扉が空いていたので中に入った。
ボス戦も難なくクリアする。
そこから7階迄は順調に進む。今日はここで終了だ。
翌朝、朝食も済ませて出発の準備をしているとジンから念話が届いた
『ミーナ、下がモンスターハウスになってる』
なにっ、大変だ。
直ぐにアルトに伝えて指示を仰ぐ。
「君達はここでこの後にくるパーティに下に降りない様話をしてくれ。ロトとサントスはここに残って護衛を。ミーナ、すぐに向かうぞ。ジン達を呼んでくれ」
「了解」
従魔達を呼ぶと直ぐに現れた。
学生達がジンの大きさに腰を抜かしそうになっている。
「この子達は私の従魔だし怖がらなくても大丈夫だよ」
とりあえず危険が無いとわかったのかコクコクと無言で首を縦にふる。
従魔達を影に入れてアルトと2人下の階に急いだ。
階段を降りきる手前で女子パーティと護衛達に出会す。
「どんな様子だ」
アルトの質問に護衛の冒険者が答えた。
「階段を上がってくる様子は有りませんがかなりの数がいます。」
「全員揃っているな。ここは我々で処理するから上に上がってウチの仲間に降りて来る様伝えてくれ。そのまま学生を連れて出る者と残って誘導する者に別れてとりあえず外の教員に知らせてくれ。」
恐怖心から青褪めた生徒を連れて上に上がってもらった。
間もなくするとロトとサントスが合流した。
さぁ、モンスターハウスの処理といきますか。
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