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2章
58.
今日、リンダ一家は呼び出されている。
ナターシャは個別で領主館に呼び出した。
先ず叔父から今回の呼び出しの件についてノルトラ夫妻の行い、ハルトの学園での事を説明する。彼女は黙って聞いていた。
「今日、両親とハルトは王宮に呼ばれている。爵位剥奪の有罪だ。兄については山岳の教会送りだ。お前については領主がもし血縁関係と縁切できる意思があるなら従者候補として育てたいと申し出がある。但し平民落ちになるのは避けられない。どうしたい」
「私は今まで所詮お飾りの建前だけのリンダ家令嬢です。兄にはきっちりと仕送りがされてますが私のところには必要最小限だけでした。今の生活は自由にお小遣いを稼ぐ事も出来ない平民以下です。少しでもお金を稼ぐと兄が取り上げに来てましたので。あんな人達、縁切できるものならこちらからお願いしたい位です」
強く握りしめた手を震わしながら話す。
調査でわかっていた事だが本人から聞くとやはり生々しい。
「そうか、では領主からの申し出を受けるか」
「はい、謹んでお受けいたします」
「わかった。領主が直接話をしたいそうだが構わないか」
「はい、よろしくお願いします」
さて、私の出番だ。実はナターシャとは薬師と園芸の授業が一緒なのだ。向こうは全く気づいてなく、単なる講義仲間と思っている様で挨拶程度の会話しかない。
ヤンザンと共に部屋に入室した。ちなみにヤンザンも薬師、園芸の授業を選択している。
「こんにちは」
「えっ、何故貴女達がここにいるの」
かなり混乱している様なので先ずはお茶でも飲まして落ち着かせる。
「びっくりさせましたね。私、ミーナ・リュー・アズベリーです。学園では平民のミーナとして生活してますがね」
そこからヤンザンが秘書見習いである事を説明し、ナターシャに今後、薬師として私に従事して欲しいことやアズベリー領の奨学金の事など順番に説明していく。
真面目に聴き入っていたナターシャは大きく息をはいた。
「こんな近くにいらっしゃるのでしたらあの人達の行いなど筒抜けなのに納得が行きました。」
スッキリした顔立ちで此方に向き直る。
「領主様が望まれる薬師になれる様努力する事をお約束いたします。どうぞこれからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いね。で、学園では必ずミーナとして接してください。私の身の上はかなりの機密事項として取り扱ってます。私が成人するまでの間お互いのために魔法で縛らせてもらいますね」
その後、制約を済ませてしまう。
「ナターシャ、早速なんだけどグリーンスライムを従魔にしない?週末一緒に探しに行って従魔棟に引っ越しておいでよ」
「賛成ですが探すといっても森へ行かなくてはなりませんよね。危険ではありませんか?」
そこでわたしがAランクパーティの一員である事を説明し、護衛の訓練に見習いと毎週末出掛けて居るからと誘う。
少し考えた後ナターシャも冒険者登録したいと言うのでこの後、叔父と共にギルドに赴く事にした。
久しぶりのギルドの受付。叔父と一緒に入ったのでは目立つから少し遅れて中に入る。
「こんにちは。この子の登録をお願いします」
「はい、こんにちは。では此方をご記入下さい」
ナターシャは用紙に記入していく。描き終わりカードを受け取った。
「依頼を受けてランクを上げたら良いお小遣い稼ぎになるよ」
ヤンザンと3人でギルドを後にし一旦屋敷に戻った。
「明日、ファストと早速森に行こうね。今日は屋敷に泊まりなよ」
ヤンザンは寮に帰るとの事なので夕食を食べた後、馬車で戻っていった。
ナターシャとは薬草の話や薬師の事で話が随分盛り上がったが結構時間が遅くなりゴンドラに怒られた。
私は自室でナターシャは客間に慌てて戻ったのだった。
時は少し遡り、王宮に呼び出されていたリンダ夫妻とハルト。
「お父様、今日はどの様な要件で此方に来て居るのですか」
この後どうなるかも気っきもせず、テンション高くハルトが尋ねた。
「きっと重要な要件であろう。詳しくは此方で話すと伺っている」
案内の者が3人を呼びに来た。
通されたのは会議室だ。
中には王宮騎士団と宰相が座っている。
「これより書状を読み上げる」
不正の証拠に横領、ハルトについてはアズベリー公爵に対する不敬罪だ。
リンダ夫妻は青褪める。しかしハルトは全く状況が飲み込めていない。
「何故、僕が不敬罪に問われるのでしょうか。アズベリー公爵は今はいらっしゃいのでは。大体時期公爵はこの僕です。どなたか分かりませんが何故そんな事を言えるのでしょうか。その方を此方に呼んでください。その方のほうが不敬です。そう思いませんか。お父様。」
リンダは口をパクパクさせるが声にならない。
「ハルト、お前は大きな勘違いをしているので一つ教えてやろう。アズベリー領出身のミーナと言う今年の一年生は知っているか」
「はい、平民で全くの礼儀知らずの女生徒ですね。その癖、何も出来ないのに見習い候補になった。」
迷惑そうにハルトが話す。
「その、お前が迷惑そうに話す彼女こそがアズベリー公爵本人だ。」
意味が分からないと言わんばかりの顔をしている。
「去年、直接お会いしてるはずだ。その事に蓋をしてすっかり忘れて好き勝手言い放った結果だろ」
「ハルト、いい加減にしなさい。宰相申し訳ございません」
ハルトはイマイチ状況が飲み込めて居ないが周りは気にしていない。
この後、刑が言い渡され其々連行された。
呆気なく排除されたリンダ一家。
数日後、ミーナの元に結果だけが届けられたのだった。
ナターシャは個別で領主館に呼び出した。
先ず叔父から今回の呼び出しの件についてノルトラ夫妻の行い、ハルトの学園での事を説明する。彼女は黙って聞いていた。
「今日、両親とハルトは王宮に呼ばれている。爵位剥奪の有罪だ。兄については山岳の教会送りだ。お前については領主がもし血縁関係と縁切できる意思があるなら従者候補として育てたいと申し出がある。但し平民落ちになるのは避けられない。どうしたい」
「私は今まで所詮お飾りの建前だけのリンダ家令嬢です。兄にはきっちりと仕送りがされてますが私のところには必要最小限だけでした。今の生活は自由にお小遣いを稼ぐ事も出来ない平民以下です。少しでもお金を稼ぐと兄が取り上げに来てましたので。あんな人達、縁切できるものならこちらからお願いしたい位です」
強く握りしめた手を震わしながら話す。
調査でわかっていた事だが本人から聞くとやはり生々しい。
「そうか、では領主からの申し出を受けるか」
「はい、謹んでお受けいたします」
「わかった。領主が直接話をしたいそうだが構わないか」
「はい、よろしくお願いします」
さて、私の出番だ。実はナターシャとは薬師と園芸の授業が一緒なのだ。向こうは全く気づいてなく、単なる講義仲間と思っている様で挨拶程度の会話しかない。
ヤンザンと共に部屋に入室した。ちなみにヤンザンも薬師、園芸の授業を選択している。
「こんにちは」
「えっ、何故貴女達がここにいるの」
かなり混乱している様なので先ずはお茶でも飲まして落ち着かせる。
「びっくりさせましたね。私、ミーナ・リュー・アズベリーです。学園では平民のミーナとして生活してますがね」
そこからヤンザンが秘書見習いである事を説明し、ナターシャに今後、薬師として私に従事して欲しいことやアズベリー領の奨学金の事など順番に説明していく。
真面目に聴き入っていたナターシャは大きく息をはいた。
「こんな近くにいらっしゃるのでしたらあの人達の行いなど筒抜けなのに納得が行きました。」
スッキリした顔立ちで此方に向き直る。
「領主様が望まれる薬師になれる様努力する事をお約束いたします。どうぞこれからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いね。で、学園では必ずミーナとして接してください。私の身の上はかなりの機密事項として取り扱ってます。私が成人するまでの間お互いのために魔法で縛らせてもらいますね」
その後、制約を済ませてしまう。
「ナターシャ、早速なんだけどグリーンスライムを従魔にしない?週末一緒に探しに行って従魔棟に引っ越しておいでよ」
「賛成ですが探すといっても森へ行かなくてはなりませんよね。危険ではありませんか?」
そこでわたしがAランクパーティの一員である事を説明し、護衛の訓練に見習いと毎週末出掛けて居るからと誘う。
少し考えた後ナターシャも冒険者登録したいと言うのでこの後、叔父と共にギルドに赴く事にした。
久しぶりのギルドの受付。叔父と一緒に入ったのでは目立つから少し遅れて中に入る。
「こんにちは。この子の登録をお願いします」
「はい、こんにちは。では此方をご記入下さい」
ナターシャは用紙に記入していく。描き終わりカードを受け取った。
「依頼を受けてランクを上げたら良いお小遣い稼ぎになるよ」
ヤンザンと3人でギルドを後にし一旦屋敷に戻った。
「明日、ファストと早速森に行こうね。今日は屋敷に泊まりなよ」
ヤンザンは寮に帰るとの事なので夕食を食べた後、馬車で戻っていった。
ナターシャとは薬草の話や薬師の事で話が随分盛り上がったが結構時間が遅くなりゴンドラに怒られた。
私は自室でナターシャは客間に慌てて戻ったのだった。
時は少し遡り、王宮に呼び出されていたリンダ夫妻とハルト。
「お父様、今日はどの様な要件で此方に来て居るのですか」
この後どうなるかも気っきもせず、テンション高くハルトが尋ねた。
「きっと重要な要件であろう。詳しくは此方で話すと伺っている」
案内の者が3人を呼びに来た。
通されたのは会議室だ。
中には王宮騎士団と宰相が座っている。
「これより書状を読み上げる」
不正の証拠に横領、ハルトについてはアズベリー公爵に対する不敬罪だ。
リンダ夫妻は青褪める。しかしハルトは全く状況が飲み込めていない。
「何故、僕が不敬罪に問われるのでしょうか。アズベリー公爵は今はいらっしゃいのでは。大体時期公爵はこの僕です。どなたか分かりませんが何故そんな事を言えるのでしょうか。その方を此方に呼んでください。その方のほうが不敬です。そう思いませんか。お父様。」
リンダは口をパクパクさせるが声にならない。
「ハルト、お前は大きな勘違いをしているので一つ教えてやろう。アズベリー領出身のミーナと言う今年の一年生は知っているか」
「はい、平民で全くの礼儀知らずの女生徒ですね。その癖、何も出来ないのに見習い候補になった。」
迷惑そうにハルトが話す。
「その、お前が迷惑そうに話す彼女こそがアズベリー公爵本人だ。」
意味が分からないと言わんばかりの顔をしている。
「去年、直接お会いしてるはずだ。その事に蓋をしてすっかり忘れて好き勝手言い放った結果だろ」
「ハルト、いい加減にしなさい。宰相申し訳ございません」
ハルトはイマイチ状況が飲み込めて居ないが周りは気にしていない。
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呆気なく排除されたリンダ一家。
数日後、ミーナの元に結果だけが届けられたのだった。
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