転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん

文字の大きさ
27 / 207
ネクネクへ

27.

しおりを挟む
夕方、キマキマの街についた。
従魔が一緒に泊まれる宿を探すため、先にギルドに行く。受付で宿の場所を尋ねて向かった。
一番大きい部屋しか空いていなかったのでそこに泊まる事にした。
「アイザック、パーティの資金なんだけどプヨの調合した分を売って加えようかと思うの。小さいとは言え従魔の数も増えてきたし、この子達の養い分に当てようかなと思って」
「ククルがそうしたいなら好きにしたら良いよ。但し自分で調合する分は入れない様にな」
「わかった。ありがとう。でもポーションは冒険者としてのお仕事だから少し入れるね」
プヨの分は全額、私のポーションはアイザックと散々言い合いをして結局二割入れる事になった。条件としては今後上級を作れる様になってもその売り上げは入れない事と念押しされた。
了解し、今日の分をプヨに調合してもらう。この街はそんなに大きく無いが薬屋があるとの事なので明日そちらに卸しに行く事になった。

「ここかなぁ」
昨日ギルドで地図を貰っていたのでそれを頼りにやって来たがたどり着いた店は入るのを戸惑う様な雰囲気だ。
そっと入口をあける。中は薬草の匂いが漂っていた。
「すいません。どなたかいらっしゃいますか」
店先に人気が無いので中に向かって声を掛けてみる。
「はーい。今行きます」
男性の声が聞こえて、奥から人が出てきた。
うわぁ、今にも倒れそうな顔色の悪い青年だ。思わず後づさりうしろのアイザックにぶつかってしまった。
「何か御用ですか。」
声をかけられてビックリしてしまう。アイザックに背中を押されて少し前に出た。
「あの、薬の買取お願いしたいのですが」
前の街で他店で困らない様にと薬師ギルド所属者が発行できる紹介状を貰っていたのでそれを見せる。
「珍しい物を持ってますね。それじゃ薬を見せて貰えますか」
先ずは私が調合した薬を差し出した。
一つづつ丁寧に鑑定している。
「確かに品質には問題ないですね。買取は此方だけで良いですか」
「いえ、製作者が私の従魔の物があるので其方も見てもらえますか」
プヨが調合した薬を今度はカウンターに並べる。
「お願いします」
男性は一つづつ手に取り丁寧に鑑定していく。
「コレはエンジェルスライムですね。珍しい。従魔に合わせて貰う事は出来ますか」
「大丈夫かと思います。プヨ出てきて」
巾着を軽く叩くと中から出てきた。
「おおっ、コレはコレは。まだ、若い個体ですね。ボディがツヤツヤしている。」
今にも掴もうと手を伸ばしている男性。避ける様にプヨは肩に乗った。
「実は僕もエンジェルスライムを連れてるのです」
男性のローブから姿を表した。黄色のボディに少し眠たそうな目つきの子だ。プヨより少し大きい。
お互いの姿を見つけたエンジェルスライムは鼻を突き合わせた様な格好になっている。すると急にお互いの体をぶつけ合い始めた。
「えっ、なになに」
「これは珍しいですね。こうする事に寄って新しい個体が生まれるのです。ほらもうすぐですよ」
「へーそうなんだ」
3人で見守る。
パァンと眩い光がはなたれ、残されたのは黄色のエンジェルとプヨ、そして小さめの黄緑色したエンジェルスライムだ。
「うわぁ、すごい。なにこれ。」
「さて、この子は誰のところに行くかな。この様に生まれた個体は自然には帰らず人の側で生活するんだ」
生まれたての子はしばらくその辺を飛んでいたが、一度黄色の子とプヨのところにいき、そうして真っ直ぐ私のところに飛んできた。
「嘘だ。僕じゃ無いなんて」
男性が急に項垂れた。
どうやら私を選んだ様だ。
「一緒に着たいのかな」
#着たいみたいだよ#
プルが巾着から出てきて説明してくれる。
「ミニスライムまでいるのかい。羨ましい」
「じゃあ、一緒に行こうね。あなたの名前はパヨだよ。よろしくね」
額に契約紋が集まった
#よろちく#
「はぁ、ククル構わないがスライム持ちになったな」
呆れつつアイザックもみている。
「えへ、可愛いね」
「ククル君で良いのかな。名乗り遅れたが薬師のサックスと言います。でさ、なんでそんなにスライムいるの。普通一匹でも珍しいのに。なんでなんで」
詰め寄られて思わず仰反る。アイザックがそっと庇ってくれた。
「おい、怖がってるぞ」
「いや、だってさ、こんな小さい子がエンジェルスライム連れてるだけでもレアなのにミニスライムまでいるし、幼体は其方に言っちゃうし。ぼくのスライム計画が」
どうやらスライム愛好家の様だ。
ドン引きしながらなんとか声を出す
「と、とりあえず少し離れてください」
漸く一二歩引いてくれた。
「まぁ、個体がえらんだことだし仕方がないか。で、薬の買取だったね。エンジェルスライムが調合した物も問題なく買取できるよ。さっきの紹介状を出してごらん。スライム印を追加しておくよ。」
早速言われた通りにすると、スライムの印を付けてくれた。これがあると何処の薬屋でもどちらも買い取って貰える。
「ありがとうございます」
お礼を言ってまだ何か言いたそうなサックスさんを横目に店から退出した。
しおりを挟む
感想 133

あなたにおすすめの小説

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

処理中です...