祭囃子

冬真

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2、狐

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 彼は人間ではなくキツネなのだという。
 
丘の方を指してあっちで自分と同じような者たちがお祭りをやっているから一緒に行こうと言う。
 
そんなはずはない、と思うがさっきまでいた人たちがいない。声も聞こえない。
どうやら違う世界に来てしまったようだった。
 
丘の上はやはり雑木林で奥には神社もあるらしい。
人間がいなくなって代わりにあちら側のヒトたちが現れた。

狐や動物の面を被ったヒトたちが参道をにぎわせている。

お祭りの準備をしているヒト。
座り込んでいるヒト。

祭り囃子が時折聞こえる。相変わらず街からの音が無い。

「まだお祭り始まらないね」とニコニコしている友人。
怖くなって僕は「いつ帰る? 」と聞いた。友人は「こっちに来たら楽しいから」と笑っている。

帰れない。 
帰り道が分からない。
 
なぜか街に降りる方法が分からない。
恐ろしくなった僕は、近くにいた人に声をかけてみた。

人間かもしれない。いや、人間のはずだ。

「こんにちは」、「駅にはどうやって行ったら…」、「あの…」
 
答えはない。
なにを誰に話しかけてみてもみな無言だ。それどころか僕の方を見ようともしない。
 
歩き回っているうちに次第に焦り始める僕。
ニコニコしながら愉快そうにその後をずっとついてくる友人。
 
なにか助言してくれる訳でも邪魔をしてくるでもなくただニコニコしている。
時々、そのうち慣れるよ、こっちでずっと一緒にいようと軽く言ってくる。
 
とうとう街に戻ることができずに丘の端まできてしまう。
祭り囃子が少し遠のく。
ちょっとした高台で眼下には街が見えた。

フェンスにもたれかかって街を見下ろした途端、「もう帰れないんだ」と急に悟った。
感情が高まったのか泣き始めてしまった僕。

その背に声がかかる。
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