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4罠

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雨の降る日曜日の午後。
玲於奈は自室の白い絨毯の上にヨガマットを転がして広げた。
ここのところストレッチを疎かにしていた。
前後に左右の脚を開いて、
分厚い本を何冊か前足の下に敷く。
負荷がかかる。
180度から200度位に可動域が広がる。
柔軟な躰なんて最低条件なのに。
二重関節が羨ましい。


「あの。失礼。玲於奈さん」
ふいに声をかけられ眼をあげる。
白いパティーション越しに顔だけ出しているのは未華子だった。
「あの。実家に帰っていたの。遅くなったわ。ごめんなさい
あなたに謝りたかった。頼まれたお金。受け取れなくて。あら。忘れてないわよね。
あなたのパトロンの方からのよ。
だから。これ。代わりに用意させて頂いたわ」
厚みのある白い封筒を寄越した。
条件反射で受け取った。
封筒を持った手の未華子の腕の細いこと!
一週間姿をみなかった。
レイプされてそのショックでどこかの病院にでも入院したのかと思っていた。
それに「あなたのせいで!」とか自分を非難するだろうと予想していたのに。
育ちやら性格やらの『良さ』がここまでくると気味が悪い。

「顔色が悪いわ。未華子さん。真っ青よ。月曜のレッスンはでれそうなの?」
「ありがとう。心配してくれて。わたくし、もう少し実家にいるわ。
今日は荷物を少し取りに戻っただけよ」
「病気?」
「ええ。まあ。そうね」
「早く良くなって」
「ありがとう」
シャネルのバックを持ってドアを開けかけた未華子が戻って来て
「これ。迷惑じゃなかったら貰っていただけるかしら」
黒のセットアップもシャネルだった。
玲於奈の部屋の絨毯に黒いストッキングの膝をついて枯れ枝のように細い左の薬指からダイヤの指輪を外した。
玲於奈の右手を取ってなかば強引に指輪を握らせた。
相手が、ぽかんとしている間に「ごめんなさい。いらなかったら捨てて。
自分で出来なかったの。捨てられなくて。婚約者からもらったものなの。
もうダメなの。さよなら。ごきげんよう」
長い睫毛を閉じて自分の指輪を握らせた玲於奈のその手を自分の両方の手で包み込んで動かなかった。
それが玲於奈には途方もなく長い時間に感じられた。
―ーーーこの人。死ぬつもりなんじゃ。
ゆっくり睫毛を挙げた大きな瞳には零れるのを許さなかった涙が留まっていた。
「それじゃ」
立ち上がった未華子はバレリーナらしい歩調で歩み去った。

玲於奈には、50万円入った封筒と売れば数百万円のダイヤが残された。
ーーーーこれは戦利品。戦利品よ。そう。だって。あの子が弱いのが悪いんじゃない?
あたしだって売りを強要されるし、レッスンでもいやらしいことされる。
「それを乗り越えて生きてんのよ!!」わけもなく怒りがこみ上げて封筒もダイヤも本棚に向かって投げつけた。


校長自らが指導するレッスンは厳しかった。
その分面白さもあった。
バレエシューズで教室の端から端までの『シェネ合戦』は毎回だった。ピルエットの回転と違って両脚を使い腕はオーロラバージョンで左右に低く開いて、くるくる回り横へと直線に続けて進む。一回まわりきるときギリギリで顔も回す。
バレエをし知らない人からみると「どうして目が回らないの?」という感想ばかり返ってくる。
キメのポーズは各々好きなもので締める。
最期まで綺麗に沢山回転して行き着いた生徒が勝者だ。大きく成績に影響する。
公演や何かの折に賓客があると成績優秀者はお茶や食事を共にする。
それはとても栄誉あることだった。
シェネは得意の玲於奈が、あと少しでーーーーつ、くーーーーーその時、
教室のドアが開いて葛城清昭と西園寺翔が入って来た。
椅子に座って杖で床を叩く校長に耳元で何かささやいている。

パン。パンと校長の手が鳴った。

生ピアノの小林さんの手が止まる。
集中していた生徒たちも止まった。

嫌な予感。
玲於奈の嫌な予感は的中して、二人の男性職員は玲於奈を借りたいという。クララとくるみ割りの王子、ドロッセル・マイヤーの合わせをやりたいそう。
「玲於奈。第三スタジオへ」
溜息。
周囲のざわめき。
―ーーーあなたたち。代わってやってもいいのよ。特別扱いとかって妬むのは大間違いなんだからーーーー


玲於奈はパステルブルーのレオタードに同系色のパーカーを羽織った。
ソリストとファーストソリストに支給されるウエアだ。荷物を肩にかけ、
廊下もあるけるカバーシューズを履いて外にでる。

葛城の腕が玲於奈の薄い肩を抱いた。
きもい。

きゃっ!

早くもレオタードの上から丸見えの乳首を摘まんできた。

「いたい。痛いです」
俯く玲於奈の顔を覗き込んで
「本当かなぁ」西園寺翔がくすくす笑う。校長の甥でイギリス留学から帰って来ていた。
「本当です」バシッと答える「こんなのもう止めて下さい」

第三スタジオに着くと内側から葛城が鍵をかけた。
椅子を引き寄せて背もたれを前にして跨いで座りながら「アイディアがあってね」
「葛城先生は実に豊かな想像力をお持ちで。
コリオグラファーとしても優秀だ。
彼に教われる生徒はラッキーだね」
手で西園寺の御追従を制して葛城は
「実はね、王子とドロッセルマイヤー、それに美少女クララとで。パ・ドゥ・トロアを創りたい。
「そんな。勝手な!振りを変えるんですか!?」
「神聖冒涜。解ってる。今までのものはそのまま。
ただ新しい場面を付け足すんだよ。さあ。始めうよう」
西園寺は壁に備え付けのバーで体を暖め始めていた。
玲於奈はレッスンの途中から来たのだからウォームアップは要らない。
葛城はそれも飛ばして振り写しするという。
ーーーーバレエを馬鹿にしている。バレエに対して誠実さのかけらもない。



「いやっ!」
クララの曲げた左のふくらはぎと右脚の太腿を持って
葛城の扮するドロッセルマイヤーがリフトするという場面で葛城の右手はクララの股間を掴んで持ち上げた。
「大丈夫さ。本番はドレスのスカートの中だから誰にも判らない。
「そういう問題じゃないわ!降ろしてっ!降ろしてよ」
玲於奈の両脚が床に着いても、まだ葛城は玲於奈の股間を掴んでいる。

いやだ。離してっ!
必死に両手で男の手をどかそうとするがそこは力の差でどうにもならない。

きゃあああーーーいやっ!

掴んだ指がやわやわと蠢き出した。
葛城の指を一本一本開いてその手から逃れようと必死の玲於奈に
「可愛いね。玲於奈ちゃん。そんなに嫌なの?」
「助けて。助けてっ」
西園寺は、二人の周りをゆっくり歩き横に来ると
「クララが感動するときの腕はアン・オーからアロンジェだよね」
玲於奈は必死で葛城の手をどかそうとするがその玲於奈の腕を無理やり西園寺が上にあげた「ほら。もっと少女から大人になるクララの顔をしてご覧」
「うっ」
西園寺が玲於奈の両手を封じている間に
葛城の片脚が玲於奈の股を割って入り広がった彼女の脚を固定した。
後ろから開いた両手でゆっくりと手はウエストのラインへと這う。
両方の乳房をレオタードの上から揉まれる。段々激しく。
160cmそこそこに対して
190近い大柄な男二人に躰を押さえられた玲於奈は罠にかかった小動物だった。
どうすることもできない。
それでも無駄にもがいた。
「なんだ翔に照れてるのか?ハハハいつもはおとなしくやられてるくせに」

かッと顔が火照る。そうなのかも。西園寺翔は一目見た時から典型的なダンスノーブルでカッコいいと思った。
でも!
そうかといって強引に犯されるなんて!!

う。うううう。い。いいいや。ああああ、あっあああっーーーーー

自分でもこんなに嫌なのに。もう。いじられると条件反射で反応してしまう。
―ーーーーこ。こんなの

「いい躰だろう?翔?ここまで細いのに胸はあるんだからな」
耳朶を噛まれて、ぞっとする。
「そうですね先生。それに東洋人の肌はやっぱり綺麗だ」
「ロイヤルには美人しかいないだろ?」
「まあ。人間とは思えないプロポーションだよね。ほとんどが。
でも肌ががさついて汚いね。玲於奈ちゃんは何もかも合格」跪いた翔は
無理矢理開かされた玲於奈の恥部をレオタードの上から、すッと撫でた。
「いやぁ」
「ちゃんと視てやってくれ。クララの『女』を開発しないとな」
「イエス・サー」
もともとハイレグなレオタードはずらされファンデーションとタイツの上から翔の指が深く割れ目をなぞった。

ああっ

それだけでビクンと跳ねてしまいそうになるのを必死でこらえる。
「いいんだよ。素直なのがクララの役柄だ」
葛城がほれ!と自分の右膝を押して玲於奈のビーナスの丘を前に押し出した。
男にしては細い翔の指がゆっくりと動いた。
布越しでも男の指が花芽を嬲れば快感が指先まで走る。
もう。ダメ。
私は今までこんなことばかりされてとっくに「開発」されているーーーいやらしい女なんだわ私。
「濡れやすいんだね。実に可愛い。美しいクララ。ほら。こうしたらどう?
クリトリスはそのまま、いじってあげる」
男の舌先が加わってぐっしょり濡れたレオタードの上から秘所を責めた。
「これじゃ、可哀そうだ」ぐっとレオタードの股の部分を絞ってジョキジョキと布地が切られる音がする。
タイツもレオタードにもハサミが入った。

うううっ!

直に舐められる秘貝はぬらぬらと光るサーモンピンクで突起の芽は膨らんでいた。
「みないでっ!!あああっ!」
西園寺も葛城も、我慢の限界だった。

体重35キロのバレリーナは軽々と葛城に抱えられ西園寺翔は自分でしごいた男根を一気に根本まで挿入した。
「すっごい絞まるね。だからバレエガールって好きなんだよね。うっ。もう出そう。動かすよクララ」
まだ若い翔の腰使いは激しく乱暴だった。
あっという間に果てた。
「交代だ」
今度は西園寺に抱えられ、葛城がーーーー「ちょっと待った。このままじゃ面白くないな。いつもと同じだし。
後ろ向けて立てクララ」
脚を降ろされても立ってなどいられない男の精液と自分の愛液が散らばった床に伏した。
それでいい。
バックからやるわけねーーーうつろな玲於奈の顔に西園寺は自分の反り返った男根を近づけて来た。
咥えさせられる。

くっ!!

葛城が後ろの孔に自分の猛ったモノを押し込んできて玲於奈は暴れた。
いやだ。怖い!!そんなのやったことない!

だが抵抗すればするほど西園寺が玲於奈の頭を両手で押さえて自分へ奉仕しろと乱暴に黒髪を掴む。

うう。うううううっ。ううう。

涙がほろほろと零れ落ちる。

どれほどの時間が経ったのか玲於奈にはわからない。
葛城は「今日、全部は無理そうだ。かんべんしてやる玲於奈。次は絶対だからな」
と憎々し気に吐き捨て獣の体位で後ろからズブズブと自分のモノを華襞奥へ挿入した。
四つん這いのままの玲於奈の細い両腕を持って葛西が一気に引っ張る。玲於奈の背中が極限までたわむ。

容赦なく後から突かれ指し抜きが激しくなる。

二人の男の荒い息遣いが玲於奈の耳に厭わしく響く。



どくどくと体液が胎内に注がれてゆくのを体感すると同時に
玲於奈の瞳孔が開いて閉じた。


西園寺も同時にイッた。咥えていた口も解放され前のめりに玲於奈が倒れる。
唇からも男の体液が伝い落ちた。
「素敵だ。今年のクララは最高だよ」西園寺の高笑いが第三スタジオに響いた。
「ああ。今年の『クロウサギ』にどうかとね」
「グレイト!葛西先生。でも、なあ」
「なにか?」
「ウサギに選ばれたら、もうこの子で遊べなくなっちゃうな」



















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