調律師カノン

茜カナコ

文字の大きさ
上 下
6 / 35

6.入学式

しおりを挟む
 魔法学校に着くと、自分と同じくらいの年齢に見える子ども達が集まっていた。。
「新入生の皆さん、番号順に左から並んでください」
 入学式の案内を見ると、カノンは40番と書かれていた。
 誰かのしゃべる声が聞こえた。
「知ってるか? この並び順って、成績順なんだって」

 入学者は40人だった。先ほど聞こえてきた話が正しければ、カノンは一番成績が悪いということだ。
「やあ、君、素敵な色の目だね。金色なんて見たことないよ。僕の名前はベンジャミン。君の名前は?」
「カノン。よろしく」
 おしゃべりなベンジャミンは、後ろから二番目だ。

「そこ、静かにしなさい!」
 入学試験の時に見かけた先生が、カノンとベンジャミンを注意した。
「まったく。今から入学式だというのに……」
 茶色の目にこげ茶の髪をした教師は、眉間にしわを寄せている。
「まあまあ、アラン君。みんなワクワクしているんだろう」
 
「クリス学園長……」
 教師のアランはクリス学園長の言葉を聞き、黙った。
「さあ、みんな。王立魔術学園にようこそ! これから、いろいろなことを一緒に学んでいこう!」
 クリス学園長に続き、教師のアランが言った。

「一年生は二クラスに分かれる。だれがどのクラスになるのかは、掲示板に貼ってあるから確認するように」
 そのあと、学校生活について簡単な説明があり、聞くのが退屈になったころ、解散となった。
「カノン、君何クラス? 僕はBクラスだったよ」
「僕もBクラスだったよ、ベンジャミン君」

 二人はBクラスに入っていった。
「落ちこぼれがクラスにいると大変だろうな」
 嘲笑するように、Aクラスに入っていく学生がカノンに聞こえるように言った。
「今のは誰の声?」
 カノンはベンジャミンに聞いた。
「きっと、一番になっていたジーン・ハートだよ。最初に並んでるのを見たよ」

 教室の前で話していると、女の子が声をかけてきた。
「あの、中に入りたいんだけど……」
「ああ、ごめん。どうぞ。僕はベンジャミン。君は?」
「私はアデル。あなたもBクラス?」
「うん。このカノンもBクラスだよ」
「……よろしく」
 三人はBクラスの中に入っていった。

しおりを挟む

処理中です...