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5.勉強会
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「それでは行ってきます」
「無理をしないでね」
私はお母様に見送られ、馬車でブレイク家に向かった。
クライブとレミの住むブレイク子爵家は洒落た作りの大邸宅だった。
入口の門を過ぎると道の脇にそびえる木々の葉は色づき散り始めている。
馬車が建物の入り口で止まった。ブレイク家の召使が馬車の扉を開け、私の手を取ってくれた。
「いらっしゃいませ、リーズ・フェルミー様。お待ちしておりました」
「今日はよろしくお願いいたします」
私は馬車を降り、案内に従って屋敷の中に入った。
階段を上り、二階に上がってすぐの部屋の前で召使は立ち止まりドアをノックした。
「リーズ・フェルミー様がいらっしゃいました」
「まあ! ちょっと待ってくださいね」
可愛らしい声が聞こえ、ドアが開かれた。
「リーズ様、ようこそ。パール様はもういらしてますの。二人でおしゃべりをしていたところですわ」
「遅れて申し訳ありません、レミ様。ご招待有難うございます」
私は部屋の中を見た。深緑色のカーテンが束ねられている窓から光が差し込んでいる。
部屋の中央に置かれた、六人は並べそうな重厚な木の机の隅に本が重ねられている。
そして奥の方の席にパールたんが座っている。パールたんは立ち上がり、私に向かって微笑んだ。
「リーズ様、お元気になられて良かったです」
「パール様!」
私はパールたんに飛びつきたいのを我慢して、にっこりと微笑んだ。
「さあ、こちらへどうぞ」
レミ様がパールたんの向かいの席の椅子を引いてくれた。
「ありがとうございます」
私は席に着き、手提げ袋からノートを取り出した。
顔を上げ廊下の方を見ると、空いたままのドアから中を覗き込む女性に気づいた。
「皆さん、揃っているようですね」
紺色のシンプルなドレスを身にまとった女性は穏やかな笑みを浮かべている。
「ケイシー先生」
レミ様とパールたんが声を上げた。私も目礼をする。
「今日は歴史について学びましょう」
ケイシー先生は入口に近い席に座り、左手に抱えていた本を広げた。ケイシー先生が本を読み、私たちはそれを聞く。ときどき先生は私たちに質問をして、私たちが答えるとケイシー先生は満足そうに頷いた。
「さあ、今日はここまでにしましょう」
「ありがとうございました」
ケイシー先生が部屋を出るとレミ様が言った。
「ああ、疲れちゃった。ねえ、リーズ様、パール様、お時間はまだ大丈夫かしら?」
「私は大丈夫です」
パールたんがレミ様に言うと私も頷いた。
「私も大丈夫ですよ」
「それじゃあ、お茶を用意させましょう」
レミ様はメイドを呼びお茶の準備をするように言った。
「勉強って、疲れちゃいますよね」
レミ様がため息交じりに言った。
「でも、新しいことを知るのは楽しいです」
パールたんがほんのり頬を染めて言う。私はパールたんの可愛さに顔が緩まないよう気をつけながら頷いた。
「レミお嬢様、お茶をお持ちいたしました」
「ありがとう」
レミ様は机の上のノートや本を棚に戻した。空いた机の上に紅茶とクッキーが並べられた。
「さあ、いただきましょう」
レミ様はそう言って私達に紅茶とクッキーをすすめた。
私は紅茶を一口飲んだ。心地よい香りがひろがる。
「リーズ様、お見舞いに行けず申し訳ありませんでした」
レミ様の言葉に私は首を振る。
「こうして元気になっていますし、気にしないでください」
「お兄様が、『私がリーズ嬢の様子を見てくる。お前は留守番をしなさい』って」
レミ様は口をとがらせている。
「お兄様はリーズ様のことをお好きだから……」
「私のうわさ話かい? レミ」
開けたままのドアからクライブが顔を出した。
「クライブ様!」
パールたんの顔が赤く染まった。
「無理をしないでね」
私はお母様に見送られ、馬車でブレイク家に向かった。
クライブとレミの住むブレイク子爵家は洒落た作りの大邸宅だった。
入口の門を過ぎると道の脇にそびえる木々の葉は色づき散り始めている。
馬車が建物の入り口で止まった。ブレイク家の召使が馬車の扉を開け、私の手を取ってくれた。
「いらっしゃいませ、リーズ・フェルミー様。お待ちしておりました」
「今日はよろしくお願いいたします」
私は馬車を降り、案内に従って屋敷の中に入った。
階段を上り、二階に上がってすぐの部屋の前で召使は立ち止まりドアをノックした。
「リーズ・フェルミー様がいらっしゃいました」
「まあ! ちょっと待ってくださいね」
可愛らしい声が聞こえ、ドアが開かれた。
「リーズ様、ようこそ。パール様はもういらしてますの。二人でおしゃべりをしていたところですわ」
「遅れて申し訳ありません、レミ様。ご招待有難うございます」
私は部屋の中を見た。深緑色のカーテンが束ねられている窓から光が差し込んでいる。
部屋の中央に置かれた、六人は並べそうな重厚な木の机の隅に本が重ねられている。
そして奥の方の席にパールたんが座っている。パールたんは立ち上がり、私に向かって微笑んだ。
「リーズ様、お元気になられて良かったです」
「パール様!」
私はパールたんに飛びつきたいのを我慢して、にっこりと微笑んだ。
「さあ、こちらへどうぞ」
レミ様がパールたんの向かいの席の椅子を引いてくれた。
「ありがとうございます」
私は席に着き、手提げ袋からノートを取り出した。
顔を上げ廊下の方を見ると、空いたままのドアから中を覗き込む女性に気づいた。
「皆さん、揃っているようですね」
紺色のシンプルなドレスを身にまとった女性は穏やかな笑みを浮かべている。
「ケイシー先生」
レミ様とパールたんが声を上げた。私も目礼をする。
「今日は歴史について学びましょう」
ケイシー先生は入口に近い席に座り、左手に抱えていた本を広げた。ケイシー先生が本を読み、私たちはそれを聞く。ときどき先生は私たちに質問をして、私たちが答えるとケイシー先生は満足そうに頷いた。
「さあ、今日はここまでにしましょう」
「ありがとうございました」
ケイシー先生が部屋を出るとレミ様が言った。
「ああ、疲れちゃった。ねえ、リーズ様、パール様、お時間はまだ大丈夫かしら?」
「私は大丈夫です」
パールたんがレミ様に言うと私も頷いた。
「私も大丈夫ですよ」
「それじゃあ、お茶を用意させましょう」
レミ様はメイドを呼びお茶の準備をするように言った。
「勉強って、疲れちゃいますよね」
レミ様がため息交じりに言った。
「でも、新しいことを知るのは楽しいです」
パールたんがほんのり頬を染めて言う。私はパールたんの可愛さに顔が緩まないよう気をつけながら頷いた。
「レミお嬢様、お茶をお持ちいたしました」
「ありがとう」
レミ様は机の上のノートや本を棚に戻した。空いた机の上に紅茶とクッキーが並べられた。
「さあ、いただきましょう」
レミ様はそう言って私達に紅茶とクッキーをすすめた。
私は紅茶を一口飲んだ。心地よい香りがひろがる。
「リーズ様、お見舞いに行けず申し訳ありませんでした」
レミ様の言葉に私は首を振る。
「こうして元気になっていますし、気にしないでください」
「お兄様が、『私がリーズ嬢の様子を見てくる。お前は留守番をしなさい』って」
レミ様は口をとがらせている。
「お兄様はリーズ様のことをお好きだから……」
「私のうわさ話かい? レミ」
開けたままのドアからクライブが顔を出した。
「クライブ様!」
パールたんの顔が赤く染まった。
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