【完結】最後に微笑むのは…。

山葵

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ヒビト様とマリアの結婚式の日は、マリアにとても似つかわしく大雨。

招待されたご夫人達は、ドレスが汚れてしまう事を嘆いていた。

マリアだけでなく、お義母様も雨女なのよね。

式場へは、始まるギリギリに入り、目立たない様にしていた。

お父様にエスコートされたマリアが入場し、バージョンロードを歩き始める。

一番後ろの席で、2人が気が付く様に通路に近付き拍手する。

私に気が付いた2人は、一瞬歩みを止めて私を見たが、周りの視線に気が付き笑顔になって進んで行った。

お父様は、マリアから離れるとお義母様に耳打ちし、驚くお義母様の顔を見て私は笑ってしまった。

そうよね。領地に居ると思っていた私が元婚約者と婚約者を奪った義妹の結婚式に来るなんて驚きよね。

式が終わる直前に私は、そっと式場を抜け出す。

お父様とお義母様は、私を披露宴に出席させない様にし追い返そうとする事が分かっているから、私は会場を出て待機させていた馬車に乗り込む。

ここで披露宴が始まるまで待つのだ。

案の定、お父様達は、使用人に命じ、私を捜して追い返そうとしていた。

私が乗っていた馬車は、ダイナ伯爵家の馬車で気が付かれる事はなかった。

披露宴が始まった時刻に、私はダイナ伯爵家三男のロバート様にエスコートされ会場入りする。

「ヒビト様、マリア。本日は御結婚おめでとうございます」

「お義姉様!?」

「セザンヌ!?なぜ君がここに?」

「マリアから、招待状を頂きましたので姉として祝福させて頂こうと領地から出て参りましたの」

「マリア、本当に君が招待状を送ったのか!?」

「だ、だって…来るなんて思わないじゃない」

「確かに…」

「あら招待状が届いたのに、わたくしは来ては行けなかったのかしら?」

「普通の人は元婚約者の結婚式に来ないでしょ!?お義姉様は、どれだけ面の皮が厚いのよ!!」

私に気が付いたお父様とお義母様が慌ててやって来た。

「セザンヌ、なぜお前がここに居る!?」

またそれですか…。

「先程も、ヒビト様に説明した通り、マ、リ、アから正式に結婚式の招待状を頂きましたの。わたくしが参列するのは義姉として当然かと…」

「マリア、それは本当か!?」

「あぁ貴女は何て馬鹿な事を…」

「だって本当に参列するなんて思わないじゃない!?」

「「確かに…」」

周りの参列した貴族達は、面白いものでも見るように私達の様子をチラチラと見ている。

「まぁお父様、わたくしは、マリアの結婚式に参列してはいけなかったのですね…あぁロバート様、ご一緒していただいたのに、申し訳ございませんでした」

お父様は、そこでやっとロバート様の存在に気が付く。

「これはこれはダイナ伯爵家のロバート君ではないか…なぜセザンヌと一緒に?」

ダイナ伯爵家三男ロバート様は、王太子の側近を務めている。
さすがのお父様も、ロバート様の事はご存知だった様だ。
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