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それは雨の降る鬱陶しい日の昼の事。
従姉妹のミリアが、先触れも出さずに、珍しく屋敷を訪ねて来た。
こんな雨の中を良く訪ねて来たものだと思い、それだけ何か大変な事でも有ったのかと心配になる。
侍女にお茶を淹れさせ、ミリアは一口飲むと私の方を見た。
「ねぇケイト。あなたとブルースは…そのー上手くいってるの?」
奥歯に物の挟まった言い方が、何かとても気になる。
「なぜそんな事を聞くの?」
ブルースとは、私の夫のブルース・モイスの事。
次男な為、実家のモイス伯爵家を継ぐ事はないが、母方の子爵家の伯父夫婦が子供に恵まれなかった為、ブルースが跡を継ぐ事になっている。
「別に上手く行っているのなら良いのよ。その…気にしないで…」
私達の夫婦仲を聞く為に、この雨の中を遣って来たのは何故だろうか?
「ミリア。何か言いたい事が有るのなら、はっきり言って頂戴?奥歯に物が挟まった様な言い方は、いつものミリアらしくないわよ?」
私は、ミリアが言い出すのを待っていた。
「実は私、イライザの所に遊びに行っていたのよ」
イライザとは、ギブソン侯爵夫人のイライザ様よね?
確かミリアとは、学園で仲良くなり結婚した後も、お互いの屋敷を行き来していると聞いていた。
「その領地でね…貴女の夫のブルースを見掛けたの」
「ブルースを?そんな筈無いわ。彼は今、お義父様に言われてモイス家の領地に行っているのよ。見間違いじゃないの?」
「見間違いでは無いわっ!その…彼は、女性とね…一緒に居たのよ…」
ミリアは、見間違いでは無いと言い切った。
見掛けただけなのに言い切れるのは何故なのだろう?
それに女性と一緒に…浮気をしていると言う事?
「女性と…?それ本当にブルースだったの?」
「間違いないわ。だってその女性は、マリアさんだったんだもの」
「はっ!?マリア?マリアって…」
「貴女の継母のマリアよ!」
私は目の前が一瞬、真っ暗になった。
継母のマリアは、私とブルースが結婚する1年前に、お父様と再婚した。
彼女は、男爵家に嫁いだが、5年経っても子供を授かる事が出来ずに離縁された。
私の母は、3年前に流行り病で亡くなっており、嫡男となる息子も居る事から、心から母を愛していたお父様は、再婚など考えてもいなかった。
だが、マリアの事を不憫に思ったマリアの両親は、お父様に泣き付いた。心優しいお父様は頼み込まれ断り切れず、マリアと再婚したのだ。
マリアは、私より10歳上で28歳。
まだ熟女として花ざかりと言うよう。
だからといって、義娘の夫に手を出すものか?
「これから、お義父様に会いに行ってくるわ。彼を領地に行かせたか確認してくる」
「ケイト。こんな雨の中に行かなくても…」
こんな雨の中、ブルースの浮気を知らせに来た貴女が、それを私に言うの?
「直ぐに馬車の用意を…」
私は出掛けるため、着替えをしに部屋に戻った。
従姉妹のミリアが、先触れも出さずに、珍しく屋敷を訪ねて来た。
こんな雨の中を良く訪ねて来たものだと思い、それだけ何か大変な事でも有ったのかと心配になる。
侍女にお茶を淹れさせ、ミリアは一口飲むと私の方を見た。
「ねぇケイト。あなたとブルースは…そのー上手くいってるの?」
奥歯に物の挟まった言い方が、何かとても気になる。
「なぜそんな事を聞くの?」
ブルースとは、私の夫のブルース・モイスの事。
次男な為、実家のモイス伯爵家を継ぐ事はないが、母方の子爵家の伯父夫婦が子供に恵まれなかった為、ブルースが跡を継ぐ事になっている。
「別に上手く行っているのなら良いのよ。その…気にしないで…」
私達の夫婦仲を聞く為に、この雨の中を遣って来たのは何故だろうか?
「ミリア。何か言いたい事が有るのなら、はっきり言って頂戴?奥歯に物が挟まった様な言い方は、いつものミリアらしくないわよ?」
私は、ミリアが言い出すのを待っていた。
「実は私、イライザの所に遊びに行っていたのよ」
イライザとは、ギブソン侯爵夫人のイライザ様よね?
確かミリアとは、学園で仲良くなり結婚した後も、お互いの屋敷を行き来していると聞いていた。
「その領地でね…貴女の夫のブルースを見掛けたの」
「ブルースを?そんな筈無いわ。彼は今、お義父様に言われてモイス家の領地に行っているのよ。見間違いじゃないの?」
「見間違いでは無いわっ!その…彼は、女性とね…一緒に居たのよ…」
ミリアは、見間違いでは無いと言い切った。
見掛けただけなのに言い切れるのは何故なのだろう?
それに女性と一緒に…浮気をしていると言う事?
「女性と…?それ本当にブルースだったの?」
「間違いないわ。だってその女性は、マリアさんだったんだもの」
「はっ!?マリア?マリアって…」
「貴女の継母のマリアよ!」
私は目の前が一瞬、真っ暗になった。
継母のマリアは、私とブルースが結婚する1年前に、お父様と再婚した。
彼女は、男爵家に嫁いだが、5年経っても子供を授かる事が出来ずに離縁された。
私の母は、3年前に流行り病で亡くなっており、嫡男となる息子も居る事から、心から母を愛していたお父様は、再婚など考えてもいなかった。
だが、マリアの事を不憫に思ったマリアの両親は、お父様に泣き付いた。心優しいお父様は頼み込まれ断り切れず、マリアと再婚したのだ。
マリアは、私より10歳上で28歳。
まだ熟女として花ざかりと言うよう。
だからといって、義娘の夫に手を出すものか?
「これから、お義父様に会いに行ってくるわ。彼を領地に行かせたか確認してくる」
「ケイト。こんな雨の中に行かなくても…」
こんな雨の中、ブルースの浮気を知らせに来た貴女が、それを私に言うの?
「直ぐに馬車の用意を…」
私は出掛けるため、着替えをしに部屋に戻った。
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