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ホッとしたのも束の間、王妃様より私宛にお茶会の招待状が届きましたわ。
絶対に負けない!と意気込んで王妃宮へ向かいました。
「ブラヴァス侯爵令嬢。ご機嫌よう。早速で悪いんだけれど、貴女、クーレンと結婚しない?まぁ2つ歳上だけれど、その位なら問題ないでしょうし…。貴女がクーレンと婚約してくれれば、陛下もクーレンを許し、辺境の地で謹慎など考え直してくれるはず。クーレンは、あの男爵令嬢に騙されたのよ。あの子は優しいから困っていた男爵令嬢を放っておけなかったの。ね、賢い貴女なら分かるでしょう?王妃のわたくしが…」
「止めないかっ!」
扉が開き、国王陛下とお父様が入って来た。
「あ、あなた…なぜ此方に?」
「ブラヴァスからシャーリア嬢がお前に呼ばれたと聞いてな。もしやと思って来てみれば…。はぁー親子共々…。バトレシア、そなたはどうやら病んでいる様だ。クーレンと共に辺境の地に向かい、そこで療養すると良い。ブラヴァス、直ぐに手配を!」
王妃は、国王陛下に縋り、辺境の地への療養を取り止めて欲しいと懇願したが、聞き入れては貰えず、その場に泣き崩れた。
このまま、この場に留まるのは…どうしましょう?
お父様は陛下の指示で行ってしまわれましたし、黙ってお暇する訳にも行きませんし…。とオロオロしていると、優しい声が聞こえた。
「父上、シャーリア嬢をお連れしても宜しいでしょうか?この様な場に居させては彼女が可哀想です。」
陛下が頷いてくれたので、私はギルハルト王太子殿下と王妃宮から王宮へと移動した。
出来れば、このまま帰して欲しかったのだけれど、そんな我が儘は言えませんよね。
「義母上が迷惑を掛けた。それにクーレンもだ。君が何度も注意してくれたと聞いている。あの馬鹿達からの嫌がらせも。謹慎、廃嫡、勘当、修道院送り位では、君の傷が癒せるとは思っていない。けれど、その傷を一生掛けて私に癒やさせては貰えないだろうか?」
はいっ!?一生、傷を癒やす?ギルハルト王太子殿下が?な、何で!?
「そ、それは、どういう事でしょうか?」
「私は、義弟と違って、まだ婚約者が決まっていなくてね。父上にも責付かれてはいるんだが、国母となる者だ。家柄だけでなく、人柄や性格も大事だろう?それに精神も強くなければならない。簡単には決められなくてね、そんな訳で義弟に先を越されてしまったんだ。けれど、そのお陰で理想の人を見付けられた。シャーリア・ブラヴァス侯爵令嬢、どうか私と結婚して欲しい。」
「おおっ、ギルハルト、やっと決めたかっ!ブラヴァス侯爵令嬢か、うん、さすが我が息子。良い令嬢を選んだなっ。シャーリア嬢とはなぁ~ブラヴァス、お前も反対はせんだろう?」
「御意」と言いながらも渋い顔をしているお父様。
マーガレットの王族への輿入れがなくなり、ホッとしたのも束の間、まさかシャーリアが王太子から結婚の申し込みをされるなんて思いも寄らなかっただろう。
けれど、王太子からの申し込み。
国王陛下も認めてしまっているとなれば、断る事など出来ない。
マーガレットが不幸になる事も、我がブラヴァス侯爵家が取り潰される事もなくなったから良いとしよう。
「それに、ブラヴァスから忠告された滋養強壮の茶を止めたら、何故か身体の具合が良くなってな。聞けばシャーリア嬢から言われたとか…。バトレシアの生家ブンドル侯爵家からの貢物だったのだが、まさかなぁ…。」
そう、お父様にお願いしたもう1つの事が、ブンドル侯爵家からのお茶を調べて欲しいという事だった。
夢の記憶で、陛下の体調が悪くなり床に着くようになった時に、お父様がバトレシア王妃がブンドル侯爵家から取り寄せたお茶が怪しいと疑っていた。
陛下の右腕のブラヴァス侯爵家を陥れ、国王陛下を亡き者にした後に、ギルハルト王太子も何らかの手を打って廃嫡もしくは暗殺し、クーレン殿下を王位に就かせようとしたのだろう。
全てはバトレシアとブンドルが考えた企み。
その後、企みが暴かれたブンドル侯爵家の家門全て処刑され、ブンドル侯爵家も取り潰し。
バトレシア王妃とクーレン殿下は、極寒の地で流行病にかかり病死と発表されたが、2人は毒杯を賜った。
予想外だったのは、運命が変わった事で、私がギルハルト王太子殿下の婚約者になったこと。
皆が幸せになるのなら、それも良いのかなぁ?
End
最後まで読んで頂き ありがとうございます。
絶対に負けない!と意気込んで王妃宮へ向かいました。
「ブラヴァス侯爵令嬢。ご機嫌よう。早速で悪いんだけれど、貴女、クーレンと結婚しない?まぁ2つ歳上だけれど、その位なら問題ないでしょうし…。貴女がクーレンと婚約してくれれば、陛下もクーレンを許し、辺境の地で謹慎など考え直してくれるはず。クーレンは、あの男爵令嬢に騙されたのよ。あの子は優しいから困っていた男爵令嬢を放っておけなかったの。ね、賢い貴女なら分かるでしょう?王妃のわたくしが…」
「止めないかっ!」
扉が開き、国王陛下とお父様が入って来た。
「あ、あなた…なぜ此方に?」
「ブラヴァスからシャーリア嬢がお前に呼ばれたと聞いてな。もしやと思って来てみれば…。はぁー親子共々…。バトレシア、そなたはどうやら病んでいる様だ。クーレンと共に辺境の地に向かい、そこで療養すると良い。ブラヴァス、直ぐに手配を!」
王妃は、国王陛下に縋り、辺境の地への療養を取り止めて欲しいと懇願したが、聞き入れては貰えず、その場に泣き崩れた。
このまま、この場に留まるのは…どうしましょう?
お父様は陛下の指示で行ってしまわれましたし、黙ってお暇する訳にも行きませんし…。とオロオロしていると、優しい声が聞こえた。
「父上、シャーリア嬢をお連れしても宜しいでしょうか?この様な場に居させては彼女が可哀想です。」
陛下が頷いてくれたので、私はギルハルト王太子殿下と王妃宮から王宮へと移動した。
出来れば、このまま帰して欲しかったのだけれど、そんな我が儘は言えませんよね。
「義母上が迷惑を掛けた。それにクーレンもだ。君が何度も注意してくれたと聞いている。あの馬鹿達からの嫌がらせも。謹慎、廃嫡、勘当、修道院送り位では、君の傷が癒せるとは思っていない。けれど、その傷を一生掛けて私に癒やさせては貰えないだろうか?」
はいっ!?一生、傷を癒やす?ギルハルト王太子殿下が?な、何で!?
「そ、それは、どういう事でしょうか?」
「私は、義弟と違って、まだ婚約者が決まっていなくてね。父上にも責付かれてはいるんだが、国母となる者だ。家柄だけでなく、人柄や性格も大事だろう?それに精神も強くなければならない。簡単には決められなくてね、そんな訳で義弟に先を越されてしまったんだ。けれど、そのお陰で理想の人を見付けられた。シャーリア・ブラヴァス侯爵令嬢、どうか私と結婚して欲しい。」
「おおっ、ギルハルト、やっと決めたかっ!ブラヴァス侯爵令嬢か、うん、さすが我が息子。良い令嬢を選んだなっ。シャーリア嬢とはなぁ~ブラヴァス、お前も反対はせんだろう?」
「御意」と言いながらも渋い顔をしているお父様。
マーガレットの王族への輿入れがなくなり、ホッとしたのも束の間、まさかシャーリアが王太子から結婚の申し込みをされるなんて思いも寄らなかっただろう。
けれど、王太子からの申し込み。
国王陛下も認めてしまっているとなれば、断る事など出来ない。
マーガレットが不幸になる事も、我がブラヴァス侯爵家が取り潰される事もなくなったから良いとしよう。
「それに、ブラヴァスから忠告された滋養強壮の茶を止めたら、何故か身体の具合が良くなってな。聞けばシャーリア嬢から言われたとか…。バトレシアの生家ブンドル侯爵家からの貢物だったのだが、まさかなぁ…。」
そう、お父様にお願いしたもう1つの事が、ブンドル侯爵家からのお茶を調べて欲しいという事だった。
夢の記憶で、陛下の体調が悪くなり床に着くようになった時に、お父様がバトレシア王妃がブンドル侯爵家から取り寄せたお茶が怪しいと疑っていた。
陛下の右腕のブラヴァス侯爵家を陥れ、国王陛下を亡き者にした後に、ギルハルト王太子も何らかの手を打って廃嫡もしくは暗殺し、クーレン殿下を王位に就かせようとしたのだろう。
全てはバトレシアとブンドルが考えた企み。
その後、企みが暴かれたブンドル侯爵家の家門全て処刑され、ブンドル侯爵家も取り潰し。
バトレシア王妃とクーレン殿下は、極寒の地で流行病にかかり病死と発表されたが、2人は毒杯を賜った。
予想外だったのは、運命が変わった事で、私がギルハルト王太子殿下の婚約者になったこと。
皆が幸せになるのなら、それも良いのかなぁ?
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