【完結】妹が私の婚約者を好きなの 。お願い。譲ってぇ~ ♪と言ってきました

山葵

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「お姉様ぁ~。私~ブラン様を好きになってしまったの~。お願い~、私にブラン様を譲って~♪お姉様には、私の婚約者のリヒト様を譲るわぁ~」

屋敷に訪ねて来たブラン様との御茶会に無理矢理侵入して来たかと思えば…。

私の物を昔から欲しがる妹。
婚約者は、物では無いのだけれど、妹には人も物も一緒なのだろう。

「お父様に言いなさい。お父様が良いのであれば、私は構わないわ」

筆頭侯爵家の我が家が言い渡せば伯爵家のブラン様もリヒト様も了承するしかない。

「お姉様は~、ブラン様の事は好きでは無いのぉ?あんなに楽しそうに話しいたのに~?」

妹は、私がブラン様に好意を寄せているのか探っているのだ。

私の言葉一つで彼女の興味は変わるのだ。

「ブラン様は、とても良い方だもの、もちろん好意を抱いているわ。…でも…でも、ミレンダが、リヒト様よりもブラン様を好きだと言うならば、私はブラン様をミレンダに譲るわ…」

「ごめんなさいね♪私~ブラン様がリヒト様よりも好きなのぉ~。大丈夫。お姉様は、リヒト様が、きっと幸せにしてくれるわ。真面目で面白みもないけれど。じゃあ、私、お父様に頼んでくるわねぇ~♪」

ミレンダは、嬉しそうにスキップしながらお父様の居る執務室へと向かって行った。

両親に甘やかされ育てられたミレンダ。

婚約者の変更も問題なく進むのだろう。

「ダイアナ姉上。またミレンダ姉上に取られてしまいましたが本当に良かったのですか?今回は物ではなく婚約者ですよ?それも婚約者の交換なんて…」

私とミレンダとの会話が聞こえてしまったのだろう。
弟のアルベルが声を掛けてきた。

「私が譲らなければ、ミレンダは、また大暴れして泣き喚くわよ!?」

「良い歳をして『譲る』と言うまで幼子の様に泣き喚くのはいい加減やめて欲しいですね。我が姉ながら情けないです」

そう、甘やかされて育てられたミレンダは昔から欲しい物は全て手に入れてきた。
駄目だと言われれば、手に入るまで泣き喚き暴れるのだ。
それは15歳になった今でも続いている。

「それに、私はブラン様とは合わなかったのよね…。彼はナルシストで、自分が1番なのですもの。話していても、自分の事ばかりでつまらないし、自分の為ならお金に糸目を付けないのも無理。それに比べてリヒト様は真面目で、素晴らしい人よ。私は、婚約者がリヒト様に変わるのなら嬉しいわ」

そう、これは私のミランダへの復讐なのだ。
今まで、私の好きな物を全て奪ってきたミランダへの復讐。

程無くして、私とミレンダの婚約者は交換された。



私とミランダは1年後に予定通り結婚した。

リヒト様と結婚した私は、不器用だけれど、私を大切にし、とても愛してくれるリヒト様と幸せに暮らしている。


一方、ミレンダは…。
ミレンダの事よりも自分自身にお金と時間を掛けるブラン様は、結婚してからも変わらず自分が1番だった。
ブラン様から愛される事もなく、我が儘も聞いて貰えず、ストレスを溜めたミランダは、それを発散する為に買い物で憂さ晴らしをしていた。

ブラン様は継いだ伯爵家の執務もせずに人任せにしていたら、金を持ち逃げされ、アッという間に借金地獄に落ち、伯爵家は没落。

平民になる前にと離縁して戻ってきた妹は、弟アルベルによって両親と共に領地に引き込まされたのだった。



End

*****

最後まで読んで頂き ありがとうございます。

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