【完結】他の人が好きな人を好きになる姉に愛する夫を奪われてしまいました。

山葵

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「アリシア様、手が止まっております!
・・・聞いてらっしゃいますか?」

「あーもう無理!!何でこんな事を覚えないといけないの!?  
 あー頭が爆発しそう!イライラするー!!!」

 もう毎日毎日、ザイル国の歴史だのなんだの、そんなの覚える必要あり?私は現代に生きているのよ、過去の話なんてどうでも良いじゃない!?


ブツブツと文句を言っていると窓の外からエドワードとシンシアの声が聞こえて来た。


「シンシア!今日は、一緒に街に買い物に行かないか?」

「私も本屋に行きたいと思っていましたの!出掛ける準備をしてきますので、応接室で待ってて頂けますか?」

・・・はぁぁ?何なのよっ!人が大変な目に合っているのに2人で仲良くお出掛けですって!
あぁーシンシアのくせにムカつく!!
そうだわ!!

「イリア先生、お花摘みに行ってきても宜しいでしょうか?」

そう言うとアリシアは、足早に反対の応接室に向かった。

「エドワード・・・」

泣きそうな顔をして応接室に入ると、驚くエドワードの顔が見えた。

「なっ・・・どうしたんだ、アリシア?
何か有ったのか?」

「・・・・・」

 私は何も言わずにエドワードに駆け寄り胸に抱きついた。

「ア、アリシア?」

「ごめんなさい…貴方はシンシアと婚約したのに…
私…気が付いたの…本当に好きなのは誰かって…
ご、ごめんなさい…こんな事を言っては…」

 そう告げ離れて去ろうとすると「アリシア」と腕を捕まれ抱き寄せられる。

アリシアは『チョロいわ』と心の中で笑っていた。

「エドワード 私もう戻らないと…。どうしても貴方の顔が見たくて抜けて来てしまったの…ごめんなさい…本当に ごめんなさい…」
 
ドアの所で振り返り「エド・・・」

「アリシア、俺は・・・」

言葉を待たずに部屋を出る。

これでエドワードは私の事が忘れられないわね!
ふふふ♪


「お待たせ致しました。・・・エド兄様どうかされましたか?」

「シ、シンシア、な、何でも無いよ・・・。
さあ行こうか…」

 エド兄様の顔色が悪い様に見えたのですが気のせいでしょうか?

 私達は街へと繰り出したのでした。


「ごめん…やっぱり今日は帰っても良いかな?」

「どこか具合でも悪いのですか?」

「本当に ごめんね・・・」

 まさかお姉様が絡んでいるなんて思いもしなかった。
 この日から、お姉様とエドワードは、この国を出るまで、皆に分からないように会っていた。

***

「エドワード、私がザイル国に行っても忘れないでね…」

「アリシア、サイード王子との結婚なんて止めて俺と一緒に・・・」

「エド 前にも話したでしょう!?私達は、決して一緒にはなれないと…今さらサイード王子との婚約を解消したらモルト家も私も、どうなるか分からないわ。ワイス家だって…。それに貴方にもシンシアがいるのよ。お願い分かって…嫁いでも私の心の中にはいつも貴方が居るわ!」

「好きだ!アリシア」

「・・・んんっ・・・エ、エド・・・
だ・・・だ・・めぇ・・・・・」

エドワードの胸に手を押し付け唇を離す。

「これ以上先に進んでは行けないわ、分かって
お願いエドワード」

「ごめん…」

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