【完結】他の人が好きな人を好きになる姉に愛する夫を奪われてしまいました。

山葵

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サイード王子が学園を卒業するので、お姉様は、学園を辞めた。
卒業式の次の日には、ザイル国へと旅立つ。

 今日は、モルト伯爵家とワイス侯爵家の全員揃っての最後の食事会だ。

「アリシアが居なくなると寂しくなるわねぇ…」

「サイード王子と幸せになるんだよ!」

「王子に可愛がって貰うのよ!」

「ありがとうございます。私…王子妃として向こうに行っても頑張ります。必ず幸せになりますわ!」

 お姉様、私は貴方が好きでは有りませんでした。
嘘は付くし、人が好きな人を取るのが好きで…でも居なくなるのは寂しい…。

「お姉様どうかサイード王子と幸せになって下さいね!」

「ありがとうシンシア!貴方もエドワードと幸せになってね!」

 エドワードが本当に好きなのは私だけれどね!
それに気が付かない馬鹿なシンシア♪


 食事が終わりお父様、お母様達はお酒を呑みながら話をしていた。

 レオン兄様は、相変わらず本を読んでいる。

 私達は、5人で話をしているとお姉様が

「あっ!そうだわ忘れるところだった!
 ごめんなさい、忘れない内にやってしまいたい事があるので部屋に戻ってくるわ」と出ていった。

 それから5分位して エドワードが

「雉打ちに行ってくる」と言って席を立った。


「アリシア!」

「エドワード!」

「・・・ん・んんっ・・・・」

「離れなくない!」

「私もよ…でも無理なの…私達は愛し合って居ても結ばれることは出来ない…。あぁエドワード…どうか、どうか私の事を忘れないで…私の心は、いつまでも貴方のものよ。」

「あぁー俺もだよアリシア!永遠に愛している!!」

 2人の家族が、婚約者が側に居る家での秘密の恋が2人を燃え上がらせる。

でも、本当に恋をしているのはエドワードだけ。
アリシアはシンシアが好きなエドワードだから近づいただけ。
旅立てばエドワードなど気にもしなくなるのだ。

***

「お父様、お母様、今までありがとうございました。どうか身体に気を付けて…。
シンシア、アルフレッド お父様、お母様を宜しくね!2人とも元気でね!
手紙を書きますね…さようなら」

 お姉様は、満面の笑みを浮かべて、サイード王子と共にザイル国へと旅立って行った。
 

 3ヶ月後にお姉様の結婚式が行われ、式には、我が家からはお父様が出席した。

 帰国したお父様が嬉しそうに
「アリシアは、ザイル国の民に祝福されて、幸せな顔をしていた。とても綺麗だったよ!」とワイス侯爵家との食事会で話した。

 エドワードの顔が一瞬 強張ったが、それに気が付く者は誰も居なかった。
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