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13 アリシア視点
しおりを挟むアリシアは結婚後、直ぐに妊娠した。
サイード王子も周りも喜んだ!
が…妊娠初期は流産するといけないからとサイードが夜、アリシアの部屋を訪れる事がなくなってしまう。
不満に思いながらも自分を労ってくれているのだと信じて1ヶ月が過ぎた頃、散歩をしようと廊下を歩いていると使用人達の話し声が聞こえてきた。
「殿下は今日はカミラ様のお部屋に行くそうよ!」
「昨日はユリア様の所だったわよね?
王子妃3人同じ年にお子様が産まれたりしてー?」
「無いとは言えないんじゃない?」
はぁぁ?!どういう事?私の部屋に来ないで自分の部屋で大人しくしているのかと思っていたら2人の所に代わる代わる行っているってっ!!
ふざけるんじゃないわよっ!!!
アリシアは、サイードの執務室に向かい
「サイード王子、私だけを愛してると言ったのは嘘でしたの?私が妊娠したからと2人の所に行くなんて酷いわ!」
「嘘なんか言ってない!愛しているのはお前だけだ!だが、私も男だし…2人に対しても夫としての義務もある」
「義務?何ですの、それはっ!!
酷いですわ!裏切りですっ!! うぅぅ…」
「アリシア様、あまり興奮されてはお身体に良くありません。殿下も、まだ執務中ですし、部屋に戻られて冷静になられては…」と側近のダリルにとめられ部屋に帰されてしまった。
妊娠なんかするんじゃなかったわっ!他の2人に対抗心を燃やして妊娠したけれど、妊娠しない方がサイードは私を愛して甘やかしてくれてたんじゃない?あー失敗だったわー!
そんな事を考えながら窓の外を見ていると侍女のアニタが嬉しそうに庭師の所に駆け寄っていくのが見えた。
あら、あらっ!ちょっと良い男じゃない?
アニタの好きな人かしら?
もっと間近でみてみたいわねぇ~♪
「アニタ、貴方あの庭師とは付き合っているの?」
「奥様、見ていられたのですか?恥ずかしいです。
彼はカイドと言います。私の幼馴染みで、付き合っていはいません」
「そうなの?でもアニタはカイドが好きなのよね?」
「好きですが…カイドは私の事を妹としか見てないです…」
「私が協力するわ!大丈夫、任せて!!」
***
「いつも、ご苦労様!」
「奥様!労いのお言葉ありがとうございます」
あら?やっばり良い男じゃない!身体もがっしりしてるし、良いわねぇ~♪
「アニタの幼馴染みなんですってね?あの子は、とても良く働いてくれているのよ。とても明るくて良い子よね」
「奥様に、そんな風に言って貰えてアニタは幸せ者です!」
「ふふ、まるで家族の様な喜びようね」
「アニタは妹みたいなもので…」
「アニタが羨ましいわ…気にしてくれる人が居るなんて…私は、この国では親も兄弟も居ないし、親しい友人も居ないでしょ?何か有っても喜んだり相談したりする事も出来ないのよ…」
「奥様…俺なんかじゃ頼りないかもしれませんが、話す事で楽になるなら、いつでも聞きます。
あーすみません、余計な事を言いました。忘れて下さい」
「そんな事ないわ!!ありがとう、カイド!
カイドは、とても優しいのね。
今度、話を聞いてくれる?」
「俺で良ければ、いつでも聞きます」
今日は、ここまでね。徐々に親しくなりましょう♪
「奥様!カイドは、どうでしたか?」
「あぁー…妹としか見れないと…」
「そうですか…」
「アニタごめんなさい…役に立てなくて…」
「そんな奥様、謝らないで下さい!
分かっていたので大丈夫です。ありがとうございます」
カイドはアニタには勿体無い位、良い男。
彼は私にピッタリだわ~♪うんっ!良いかも♡
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