【完結】他の人が好きな人を好きになる姉に愛する夫を奪われてしまいました。

山葵

文字の大きさ
13 / 30

13 アリシア視点

しおりを挟む
 

 アリシアは結婚後、直ぐに妊娠した。
サイード王子も周りも喜んだ!

 が…妊娠初期は流産するといけないからとサイードが夜、アリシアの部屋を訪れる事がなくなってしまう。

 不満に思いながらも自分を労ってくれているのだと信じて1ヶ月が過ぎた頃、散歩をしようと廊下を歩いていると使用人達の話し声が聞こえてきた。

「殿下は今日はカミラ様のお部屋に行くそうよ!」

「昨日はユリア様の所だったわよね?
王子妃3人同じ年にお子様が産まれたりしてー?」

「無いとは言えないんじゃない?」

はぁぁ?!どういう事?私の部屋に来ないで自分の部屋で大人しくしているのかと思っていたら2人の所に代わる代わる行っているってっ!!
ふざけるんじゃないわよっ!!!

アリシアは、サイードの執務室に向かい

「サイード王子、私だけを愛してると言ったのは嘘でしたの?私が妊娠したからと2人の所に行くなんて酷いわ!」

「嘘なんか言ってない!愛しているのはお前だけだ!だが、私も男だし…2人に対しても夫としての義務もある」

「義務?何ですの、それはっ!!
酷いですわ!裏切りですっ!!   うぅぅ…」

「アリシア様、あまり興奮されてはお身体に良くありません。殿下も、まだ執務中ですし、部屋に戻られて冷静になられては…」と側近のダリルにとめられ部屋に帰されてしまった。


 妊娠なんかするんじゃなかったわっ!他の2人に対抗心を燃やして妊娠したけれど、妊娠しない方がサイードは私を愛して甘やかしてくれてたんじゃない?あー失敗だったわー!

 そんな事を考えながら窓の外を見ていると侍女のアニタが嬉しそうに庭師の所に駆け寄っていくのが見えた。

 あら、あらっ!ちょっと良い男じゃない?
アニタの好きな人かしら?
もっと間近でみてみたいわねぇ~♪

「アニタ、貴方あの庭師とは付き合っているの?」

「奥様、見ていられたのですか?恥ずかしいです。
彼はカイドと言います。私の幼馴染みで、付き合っていはいません」

「そうなの?でもアニタはカイドが好きなのよね?」

「好きですが…カイドは私の事を妹としか見てないです…」

「私が協力するわ!大丈夫、任せて!!」

***

「いつも、ご苦労様!」

「奥様!労いのお言葉ありがとうございます」

あら?やっばり良い男じゃない!身体もがっしりしてるし、良いわねぇ~♪

「アニタの幼馴染みなんですってね?あの子は、とても良く働いてくれているのよ。とても明るくて良い子よね」

「奥様に、そんな風に言って貰えてアニタは幸せ者です!」

「ふふ、まるで家族の様な喜びようね」

「アニタは妹みたいなもので…」

「アニタが羨ましいわ…気にしてくれる人が居るなんて…私は、この国では親も兄弟も居ないし、親しい友人も居ないでしょ?何か有っても喜んだり相談したりする事も出来ないのよ…」

「奥様…俺なんかじゃ頼りないかもしれませんが、話す事で楽になるなら、いつでも聞きます。
あーすみません、余計な事を言いました。忘れて下さい」

「そんな事ないわ!!ありがとう、カイド!
カイドは、とても優しいのね。  
今度、話を聞いてくれる?」

「俺で良ければ、いつでも聞きます」

今日は、ここまでね。徐々に親しくなりましょう♪

「奥様!カイドは、どうでしたか?」

「あぁー…妹としか見れないと…」

「そうですか…」

「アニタごめんなさい…役に立てなくて…」

「そんな奥様、謝らないで下さい!
分かっていたので大丈夫です。ありがとうございます」

 カイドはアニタには勿体無い位、良い男。
彼は私にピッタリだわ~♪うんっ!良いかも♡

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】少年の懺悔、少女の願い

干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。 そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい―― なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。 後悔しても、もう遅いのだ。 ※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。 ※長編のスピンオフですが、単体で読めます。

私の婚約者とキスする妹を見た時、婚約破棄されるのだと分かっていました

あねもね
恋愛
妹は私と違って美貌の持ち主で、親の愛情をふんだんに受けて育った結果、傲慢になりました。 自分には手に入らないものは何もないくせに、私のものを欲しがり、果てには私の婚約者まで奪いました。 その時分かりました。婚約破棄されるのだと……。

婚約解消は君の方から

みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。 しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。 私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、 嫌がらせをやめるよう呼び出したのに…… どうしてこうなったんだろう? 2020.2.17より、カレンの話を始めました。 小説家になろうさんにも掲載しています。

【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。

西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。 私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。 それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」 と宣言されるなんて・・・

お飾りな妻は何を思う

湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。 彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。 次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。 そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。

(完結)私が貴方から卒業する時

青空一夏
恋愛
私はペシオ公爵家のソレンヌ。ランディ・ヴァレリアン第2王子は私の婚約者だ。彼に幼い頃慰めてもらった思い出がある私はずっと恋をしていたわ。 だから、ランディ様に相応しくなれるよう努力してきたの。でもね、彼は・・・・・・ ※なんちゃって西洋風異世界。現代的な表現や機器、お料理などでてくる可能性あり。史実には全く基づいておりません。

君を自由にしたくて婚約破棄したのに

佐崎咲
恋愛
「婚約を解消しよう」  幼い頃に決められた婚約者であるルーシー=ファロウにそう告げると、何故か彼女はショックを受けたように身体をこわばらせ、顔面が蒼白になった。  でもそれは一瞬のことだった。 「わかりました。では両親には私の方から伝えておきます」  なんでもないようにすぐにそう言って彼女はくるりと背を向けた。  その顔はいつもの淡々としたものだった。  だけどその一瞬見せたその顔が頭から離れなかった。  彼女は自由になりたがっている。そう思ったから苦汁の決断をしたのに。 ============ 注意)ほぼコメディです。 軽い気持ちで読んでいただければと思います。 ※無断転載・複写はお断りいたします。

貴方の事なんて大嫌い!

柊 月
恋愛
ティリアーナには想い人がいる。 しかし彼が彼女に向けた言葉は残酷だった。 これは不器用で素直じゃない2人の物語。

処理中です...