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12 アリシア視点
しおりを挟むサイードとザイル国に来てからの日々は大変だが、サイードに愛され、周りからもチヤホヤされて、アリシアは浮かれていた。
結婚式を目前にした、ある日、庭でサイードとお茶をしていると
「おとうさまぁ~」と叫びながら小さい男の子が駆け寄って来て、サイードに抱き付いた。
「アリ様いけません!」
と後ろから慌てて追いかけてくる侍女の姿が見えた。
「構わん!アリ、おいで。どうしたんだ?」
「おかあさまとさんぽしてたの。
おとうさまがみえたから、はしってきたの」
えっ?お父様?子供が居るなんて聞いてないんですけれど???
「サイード王子、アリが申し訳ありません。
アリ、謝りなさい!」
「おとうさま、ご、ごめんなさいっ!・・・う…うわぁーん」
「大丈夫だよ、アリ。ほら、もう泣かなくても良い。ユリアも怒るなっ!」
「申し訳ありません」
そう言うとアリシアの事をチラッと見る。
それに気が付いたサイードが
「あぁまだ2人共、会ったことがなかったなっ!
ユリア、こちらが第3王子妃になるアリシアだ。
アリシア、こちらが第1王子妃のユリアと息子のアリだ。お互いに仲良くしてくれればと思う」
「アリシア様、ユリアにございます。こちらが息子のアリ。アリ、ご挨拶なさい。」
「ア、アリです。」
「ユリア様、アリ様お初に御目にかかります、アリシアと申します。これからどうぞ宜しくお願い致します」
「・・・宜しく。
サイード王子、お楽しみの所、お邪魔してしまい申し訳ありませんでした。さぁアリ、行きますよ!」
そう言うと、まだサイードに抱っこされていたアリを無理矢理連れて行ってしまった。
はぁっ?何なの、あの女!人を馬鹿にしたような顔をしてっ!大体、サイードには謝ってたけれど私には謝罪なし???
はっ!それより
「サイード王子、私、子供が居るなんて聞いてなかったのですが?」
「んっ?言ってなかったか?
ユリアとの間に2歳のアリが、第2王子妃のカミラとの間には、女の子で1歳のモニカが居る。
カミラとモニカには今度、会わせる」
「・・・・・そうですか・・・」
まぁ第6王子でも、何が有るか分からないんだから、お世継ぎは必要よね!政略結婚でも、やる事はやるわよね…うん!これから2人の所で夜を過ごさなければ問題ない。
「サイード王子、これからは私だけを愛して下さいね♪」
「も、勿論…君を優先するようにする…」
ん?勿論の後、声が小さくて良く聞こえなかったわね?まぁ、良いかぁ!それよりも、私も男の子を産まないと。私の立場を確実にするにはお世継ぎを産まないとねぇ♪
結婚式なんて待ってられないわ!今日からサイードに頑張って貰わないとねぇ♪
「私…知らない国に来て、まだ慣れないし、仲の良い人も、まだ居なく…とても寂しいんです…サイード王子、慰めて下さいませんか…?」
涙目になりながら上目遣いでそう言えば、サイードはアリシアを抱きしめて口付けをする。
「今夜はアリシアの部屋に行くから、そのつもりでいてくれっ!」
ふふふっチョロい♪
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