私の好きなお兄様

山葵

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お兄様が別荘を離れて2日後の事…。

侯爵邸を離れる前に門番と揉めていた馬車が止まっている事に気が付く。

「前触れも無く来られては困ります。それに、今、アルベルト様も不在の為、面会を許可する事は出来かねます。どうぞお引き取りを…」

執事補佐で屋敷より付いてきてくれたカイドが対応してくれているが、相手が退かないようだ。

一体、あの方は誰なのかしら?

別荘まで訪ねて来るという事は…わたくしの知り合いなのでしょうか?

なかなか退かないよう相手にカイドも門番も困っている。

「マリー、あの方は、わたくしに会いに来られたのかしら?ならば、会うとカイドに伝えて頂戴」

「お嬢様、それは駄目で御座います。そんな事をしたらアルベルト様に私達が叱られて仕舞います」

ふぅー。これは余程、わたくしに会わせたく無い人の様ね…。

なぜ?

言っても駄目なら、此方から行けば良いわね!

「お嬢様、駄目で御座います!!」

マリーごめんね…。わたくしは、あの方に会わないといけない気がするの…。

門に着くとカイドが驚き、マリーを睨んでいる。

馬車の扉が開き、お兄様と同じ歳くらいのご令嬢が出てきた。

「やっと会う事が出来たわ。まったく、こんな所まで、わたくしに足を運ばせるなんて…迷惑な事ねぇ」

何を言っているのだろう?

誰か、この方を此処に呼んだのだろうか?

わたくしはカイドを見ると首を横に振っていた。

勝手に来られて、この言い種なのですね…。

迷惑を掛けている事を分からないなんて、何て失礼な令嬢なのでしょう…。

一体この方は何の為に此方に?

誰に会いに来たのでしょう?

私?それとも…
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