私の好きなお兄様

山葵

文字の大きさ
36 / 39

36

しおりを挟む
だがアルベルトは、それ以上進める事はなかった。

リリアナのおでこにキスをすると そっと抱き寄せて

「明日も長旅だ。もう寝ないと身体が辛いよ」

自分の身体を心配してくれるアルベルトを見て、リリアナは、自分の行動に恥ずかしくなった。

「ごめんなさい。もう寝ますね…」

自分のベッドに戻り、布団の中に潜り、反省する。

私は何ていう事を…お兄様と想いが通じあったとは言え、あるまじき行動だった。

少し冷静にならなければ…。


その後の4日間は、何事もなく過ごした。

馬車の中でも、隣には座るが膝の上は遠慮させて貰った。


「お兄様、屋敷が見えてきましたわ!」

別荘に行っていたのは3週間だったようだが、とても長い間、留守にしていた様な気がする。

馬車が屋敷の入り口に着くと、お父様、お母様が出迎えてくれた。

「「リリアナ、おかえり」」

「ただいま戻りました。ご心配を御掛けして申し訳ございませんでした」

泣いているお母様を見ると、本当に心配を掛けたのだと、心が痛む。

居間に入り、記憶を失くしてしまっていた事を謝ると、2人はリリアナが元に戻った事に喜び、抱き締めてくれる。

でも…私は、これから聞かなくてはならない事がある。

それを聞く事で2人を悲しませないだろうか?

お母様を泣かせてしまわないだろうか?

「お父様、お聞きしたい事が有るのですが…」

「お前の聞きたい事は分かっている。だが、長旅で疲れただろう!?少し休んでから、話をしよう」

「分かりました。お気遣いありがとうございます」

私はマリーと共に自室に戻る事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されないと知った時、私は

yanako
恋愛
私は聞いてしまった。 彼の本心を。 私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。 父が私の結婚相手を見つけてきた。 隣の領地の次男の彼。 幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。 そう、思っていたのだ。

彼の過ちと彼女の選択

浅海 景
恋愛
伯爵令嬢として育てられていたアンナだが、両親の死によって伯爵家を継いだ伯父家族に虐げられる日々を送っていた。義兄となったクロードはかつて優しい従兄だったが、アンナに対して冷淡な態度を取るようになる。 そんな中16歳の誕生日を迎えたアンナには縁談の話が持ち上がると、クロードは突然アンナとの婚約を宣言する。何を考えているか分からないクロードの言動に不安を募らせるアンナは、クロードのある一言をきっかけにパニックに陥りベランダから転落。 一方、トラックに衝突したはずの杏奈が目を覚ますと見知らぬ男性が傍にいた。同じ名前の少女と中身が入れ替わってしまったと悟る。正直に話せば追い出されるか病院行きだと考えた杏奈は記憶喪失の振りをするが……。

「ばっかじゃないの」とつぶやいた

吉田ルネ
恋愛
少々貞操観念のバグったイケメン夫がやらかした

本を返すため婚約者の部屋へ向かったところ、女性を連れ込んでよく分からないことをしているところを目撃してしまいました。

四季
恋愛
本を返すため婚約者の部屋へ向かったところ、女性を連れ込んでよく分からないことをしているところを目撃してしまいました。

駄犬の話

毒島醜女
恋愛
駄犬がいた。 不幸な場所から拾って愛情を与えたのに裏切った畜生が。 もう思い出すことはない二匹の事を、令嬢は語る。 ※かわいそうな過去を持った不幸な人間がみんな善人というわけじゃないし、何でも許されるわけじゃねえぞという話。

幼馴染の許嫁

山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

もう捕まらないから

どくりんご
恋愛
 お願い、許して  もう捕まらないから

完結 彼女の正体を知った時

音爽(ネソウ)
恋愛
久しぶりに会った友人同士、だが互いの恰好を見て彼女は……

処理中です...