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お母様と僕がバンス子爵家を去ってから1年が過ぎていた。
僕達は、まだザンブル侯爵家で暮らしている。
「さあ出来ましたよ!」
「ナミ。どう僕は格好いい?」
「ええ。ライナスお坊っちゃまは、とても格好いいですよ!」
今日は、国立記念日。
王家主催のパーティーが王宮で開催されるんだ。
タキシードに着替えて髪をセットして貰えば、いつもの僕じゃないみたい。
そろそろ出発の時間だとナミに言われて玄関ホールに急げば、綺麗にドレスアップしたお母様とタキシード姿のお義父様が待っていた。
「うわぁ~!お義父様もお母様もとても素敵です!」
「うふふ。ライナスも素敵よ。髪を上げて貰ったのね。」
「はい。格好いいですか?」
「ああ格好いいぞっ!」
お義父様は、わざと頭を撫でようとする。
「うわぁー!止めて下さい。折角のセットがぁー!」
そう僕にお義父様が出来た。
僕達は、1ヶ月前に家族になったんだ。
離縁をされたお母様を侯爵家の嫡男で第1騎士団の団長のロバート様が娶るとなると世間がうるさい。
周りも反対したし、お母様も困惑していた。
僕も、お母様にはバンス子爵との事があったから、幸せになって欲しい。
次期ザンブル侯爵家当主のロバート様と結婚なんてしたら、妬みや蔑み嫌がらせ等でお母様が嫌な目に合ったらと思うと心配でならなかった。
ロバート様の側を離れ、お母様と2人で街で暮らそうと話していた。
平民となり、身分に合った人と再婚する方が、お母様は幸せになれると僕は思っていたからね。
僕達の思考を読んでか、ロバート様は、僕達を必ず守るからと言って何度もお母様に結婚を申し込んだ。
最初は断っていたお母様も、何度も求婚するロバート様に了承した。
お母様も、いつからかロバート様に好意を寄せていたらしい。
お母様が選んだのなら僕は何も言う事はない。
ロバート様と共にお母様を守っていくんだ。
最初は五月蝿かった社交界も今ではお母様をザンブル次期侯爵夫人と受け入れている。
これもお義父様や、ザンブル侯爵夫妻のお陰だろう。
勿論、お母様の努力の賜物でもある。
パーティー会場でお母様と一緒に過ごしていると後ろから声を掛けられた。
「クラリス?あぁライナス。」
その声は、昔、聞いた事がある。
振り向きたくない相手だ。
「お前達も、このパーティーに来ていたのか?…ガイヤ伯爵家に身を寄せたのか?そうか…。なあクラリス。もう1度やり直さないか?伯爵家にいても肩身の狭い思いをしているのだろう?ライナスが戻ればバンス子爵家も継げるし…」
王家主催のパーティーには、貴族しか参加出来ないから、僕達がガイヤ伯爵家に身を寄せたのだと勘違いした様だ。
「バンス。私の妻と息子に何か用か!?」
お義父様、ナイスタイミングです!!
僕達だけじゃ対応出来ませんからね。
「これはザンブル第1団長。えっ?妻?息子?」
「なんだ!?お前、知らなかったのか?我が息子のロバートとクラリスは、先月めでたく結婚をしたのだぞ!ライナスもロバートと養子縁組し、我が孫になった。結構、話題になったのだが、ああ、お前は離縁するので忙しかったか。」
お義父様と一緒に現れたザンブル侯爵は、総団長だ。
バンス子爵は、顔を青ざめていた。
「バンス。お前、副団長を下ろされたらしいなっ。ダン男爵令嬢と結婚してから弛んでいると言われていたが…まあなんだ…子供が産まれショックだったのは分かるが、団の上に立つものが秩序を乱すのは許される事ではない。また一からやり直せ。」
そう言うと、僕達に目配せして、僕達は、立ち尽くすバンス子爵を残し立ち去った。
マリア・ダンは、出産予定日よりも1ヶ月以上早く子供を産んだ。
早産だった割には、子供は大きく、なぜか髪の色も瞳の色も、マリアともミハイルとも違った。
そう、その髪の色と瞳の色は第4団長にそっくりだったのだ。
第4団長は、マリアが入隊する前から関係が有りマリアに騎士団に入りたいとお願いされ推薦した。
入隊してからのマリアは、玉の輿に乗る!と言って第1騎士団の隊員に言い寄ったが相手にされず、第2、第3、第4と…。他の男に言い寄りながらも第4団長との関係は続き、やっと第5騎士団の副団長のバンス子爵が毒牙に掛かった。
高位貴族を狙っていたが、掴まえたのは子爵で既婚者。
それでも男爵家よりは良いかとクラリスから奪い取ったのだけれど、予期せぬ妊娠。
まだ第4団長とも関係があったから、どちらの子か分からない。
私に惚れているミハイルなら、違っても何とかなるわよ!と思ったけれど、さすがにミハイルも馬鹿ではなかった。
マリアに子供の父親を聞き出すと第4騎士団に乗り込んで団長をボコボコにしてしまった。
バンス子爵は、副団長を下ろされ1ヶ月の謹慎処分。
第4団長は、騎士団を辞めさせられた。
その後、ミハイルに離縁され追い出されたマリアは、ダン男爵も縁切りされ平民になり、今では娼館で働いているとか。
産まれた子供は、第4団長の奥方が早々に里子に出したという。
月日が流れ僕も10歳になった。
お義父様は、ザンブル侯爵家を継ぎ当主となり、引退したお祖父様の後の総団長になっていた。
僕も、ザンブル侯爵家に来てから剣の鍛練をしていて、将来は騎士団に入隊したいと思っている。
お祖父様もお義父様も、僕にザンブル侯爵家を継がせてくれようとしているけれど、弟のブライアンが継ぐのが正しいと僕は思っている。
だから、何としても騎士団に入らないとね。
お母様は、お義父様と結婚してから弟のブライアンと妹のミシェルを産んだ。
お母様は、いつも笑っている。
お義父様の愛に包まれて、とても幸せそうだ。
家族5人、いつも笑顔が溢れている。
あの時、僕が前ザンブル侯爵を頼ったのに間違いはなかった。
お母様が、幸せになれて本当に良かったと思う。
End
*****
最後まで読んで頂き ありがとうございます。
僕達は、まだザンブル侯爵家で暮らしている。
「さあ出来ましたよ!」
「ナミ。どう僕は格好いい?」
「ええ。ライナスお坊っちゃまは、とても格好いいですよ!」
今日は、国立記念日。
王家主催のパーティーが王宮で開催されるんだ。
タキシードに着替えて髪をセットして貰えば、いつもの僕じゃないみたい。
そろそろ出発の時間だとナミに言われて玄関ホールに急げば、綺麗にドレスアップしたお母様とタキシード姿のお義父様が待っていた。
「うわぁ~!お義父様もお母様もとても素敵です!」
「うふふ。ライナスも素敵よ。髪を上げて貰ったのね。」
「はい。格好いいですか?」
「ああ格好いいぞっ!」
お義父様は、わざと頭を撫でようとする。
「うわぁー!止めて下さい。折角のセットがぁー!」
そう僕にお義父様が出来た。
僕達は、1ヶ月前に家族になったんだ。
離縁をされたお母様を侯爵家の嫡男で第1騎士団の団長のロバート様が娶るとなると世間がうるさい。
周りも反対したし、お母様も困惑していた。
僕も、お母様にはバンス子爵との事があったから、幸せになって欲しい。
次期ザンブル侯爵家当主のロバート様と結婚なんてしたら、妬みや蔑み嫌がらせ等でお母様が嫌な目に合ったらと思うと心配でならなかった。
ロバート様の側を離れ、お母様と2人で街で暮らそうと話していた。
平民となり、身分に合った人と再婚する方が、お母様は幸せになれると僕は思っていたからね。
僕達の思考を読んでか、ロバート様は、僕達を必ず守るからと言って何度もお母様に結婚を申し込んだ。
最初は断っていたお母様も、何度も求婚するロバート様に了承した。
お母様も、いつからかロバート様に好意を寄せていたらしい。
お母様が選んだのなら僕は何も言う事はない。
ロバート様と共にお母様を守っていくんだ。
最初は五月蝿かった社交界も今ではお母様をザンブル次期侯爵夫人と受け入れている。
これもお義父様や、ザンブル侯爵夫妻のお陰だろう。
勿論、お母様の努力の賜物でもある。
パーティー会場でお母様と一緒に過ごしていると後ろから声を掛けられた。
「クラリス?あぁライナス。」
その声は、昔、聞いた事がある。
振り向きたくない相手だ。
「お前達も、このパーティーに来ていたのか?…ガイヤ伯爵家に身を寄せたのか?そうか…。なあクラリス。もう1度やり直さないか?伯爵家にいても肩身の狭い思いをしているのだろう?ライナスが戻ればバンス子爵家も継げるし…」
王家主催のパーティーには、貴族しか参加出来ないから、僕達がガイヤ伯爵家に身を寄せたのだと勘違いした様だ。
「バンス。私の妻と息子に何か用か!?」
お義父様、ナイスタイミングです!!
僕達だけじゃ対応出来ませんからね。
「これはザンブル第1団長。えっ?妻?息子?」
「なんだ!?お前、知らなかったのか?我が息子のロバートとクラリスは、先月めでたく結婚をしたのだぞ!ライナスもロバートと養子縁組し、我が孫になった。結構、話題になったのだが、ああ、お前は離縁するので忙しかったか。」
お義父様と一緒に現れたザンブル侯爵は、総団長だ。
バンス子爵は、顔を青ざめていた。
「バンス。お前、副団長を下ろされたらしいなっ。ダン男爵令嬢と結婚してから弛んでいると言われていたが…まあなんだ…子供が産まれショックだったのは分かるが、団の上に立つものが秩序を乱すのは許される事ではない。また一からやり直せ。」
そう言うと、僕達に目配せして、僕達は、立ち尽くすバンス子爵を残し立ち去った。
マリア・ダンは、出産予定日よりも1ヶ月以上早く子供を産んだ。
早産だった割には、子供は大きく、なぜか髪の色も瞳の色も、マリアともミハイルとも違った。
そう、その髪の色と瞳の色は第4団長にそっくりだったのだ。
第4団長は、マリアが入隊する前から関係が有りマリアに騎士団に入りたいとお願いされ推薦した。
入隊してからのマリアは、玉の輿に乗る!と言って第1騎士団の隊員に言い寄ったが相手にされず、第2、第3、第4と…。他の男に言い寄りながらも第4団長との関係は続き、やっと第5騎士団の副団長のバンス子爵が毒牙に掛かった。
高位貴族を狙っていたが、掴まえたのは子爵で既婚者。
それでも男爵家よりは良いかとクラリスから奪い取ったのだけれど、予期せぬ妊娠。
まだ第4団長とも関係があったから、どちらの子か分からない。
私に惚れているミハイルなら、違っても何とかなるわよ!と思ったけれど、さすがにミハイルも馬鹿ではなかった。
マリアに子供の父親を聞き出すと第4騎士団に乗り込んで団長をボコボコにしてしまった。
バンス子爵は、副団長を下ろされ1ヶ月の謹慎処分。
第4団長は、騎士団を辞めさせられた。
その後、ミハイルに離縁され追い出されたマリアは、ダン男爵も縁切りされ平民になり、今では娼館で働いているとか。
産まれた子供は、第4団長の奥方が早々に里子に出したという。
月日が流れ僕も10歳になった。
お義父様は、ザンブル侯爵家を継ぎ当主となり、引退したお祖父様の後の総団長になっていた。
僕も、ザンブル侯爵家に来てから剣の鍛練をしていて、将来は騎士団に入隊したいと思っている。
お祖父様もお義父様も、僕にザンブル侯爵家を継がせてくれようとしているけれど、弟のブライアンが継ぐのが正しいと僕は思っている。
だから、何としても騎士団に入らないとね。
お母様は、お義父様と結婚してから弟のブライアンと妹のミシェルを産んだ。
お母様は、いつも笑っている。
お義父様の愛に包まれて、とても幸せそうだ。
家族5人、いつも笑顔が溢れている。
あの時、僕が前ザンブル侯爵を頼ったのに間違いはなかった。
お母様が、幸せになれて本当に良かったと思う。
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