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お母様の実家は、お母様の叔父さん達が継いでいて戻る事は出来ない。
離縁されれば、お母様は住む所も頼る所も無いのだ。勿論、僕も。
ふっと思い出す。
お母様の亡くなったお父様、つまり僕のおじいちゃんがザンブル侯爵と懇意にしていたはず。
ザンブル侯爵は、お母様を娘の様に可愛がっていて、前に会った時に「何か困った事があったらザンブル侯爵家を頼れ!」と言っていたっけ。
それにザンブル侯爵は、騎士団の総団長。
お母様を裏切ったお父様に仕返し出来るんじゃない!?
僕は、セバスにザンブル侯爵と連絡を取って欲しいと頼んだ。
僕は、最悪ここに残る事は出来る。
せめてお母様だけでも侯爵家に住まわせて貰えないかと頼んだのだ。
僕がザンブル侯爵に内密で会った数日後に、お父様は、お母様に離縁を言い渡した。
離縁される理由が分からないお母様は、お父様に泣いてすがったが、お父様は、何も言わずに僅かなお金と離縁状を突き付ける。
まあ理由なんて言えないよね。
自分が不貞をして相手が妊娠したなんてさっ。
そんなのバレたら、こんな端金じゃあ慰謝料にもならないもんね。
「明日までに書いて出ていけ。ライナスは、嫡男だから私が引き取る予定だが、ライナスがお前と行くと言うのなら除籍する。」
「僕は、お母様と一緒に行きます。」
「はっ!?平民になる事を選ぶか。もう少し賢い子だと思ったが…。好きにするが良い。」
僕達は、次の日にバンス子爵家を後にした。
お父様は、前の日から出掛けて帰って来なかったから知らないけれど、僕達をザンブル侯爵家の馬車が迎えに来てくれていた。
僅かな荷物とお金だけ持って出て行くと思っていたお母様は、驚いていたけれど、僕は、お母様と僕の荷物を全て持ち出した。
その他の物も屋敷の皆が協力してくれたから、結構家財も持ち出せたよ。
逆に屋敷の中がガランとしちゃった。
慰謝料代わりなんだから、当然だよね♪
侯爵家に向かう途中で、必要な物を残して全て売り払った。
バンス子爵家での思い出なんて要らないからね。
これから生きていくのには、お金はいくら有っても困らないからね。
ザンブル侯爵家に着けば、侯爵も侯爵夫人も快く受け入れてくれた。
当面はザンブル侯爵家でお世話になって、その間に住む家とお母様には仕事を探して貰う事になる。
子爵家でも、あの人が副団長になるまでは、そんなに裕福ではなかったから、最低限の使用人と共にお母様も家の仕事をしていた。
街でもきっと働けるはず。
その日の晩餐は豪華でビックリした。
さすが侯爵家。
久し振りのお母様との再会で、シェフが張り切ったのだとか…。
こんな豪華な料理は、これが最後だろう。
僕が味を噛み締めながら食べていると侯爵がお母様に、これからもここで暮らす様に告げる。
本当に甘えて良いのかな?
次期侯爵である子息は了承しているのかな?
「おじさま、それはお断り致します。私達は、すぐに家を借りて出ていきます。それまでの少しの間だけ、申し訳御座いませんが、宜しく…」
扉が乱暴に開き、がたいの良い男の人が入ってきた。
「クラリスっ!」
「ロバート様。ご無沙汰しておりました。お父様のご厚意に甘え、少しの間…」
「何を言っているのだ!君が、ここを出て行く必要はない。自分の屋敷だと思ってここに住めば良いんだ。しかしバンスの奴、クラリスとライナスを追い出すなんて!」
ロバート様は、第1騎士団の団長を務めている。
王族の警備をする騎士団の花形だ。
ちなみにバンス子爵は、第5騎士団で街などの警備にあたる仕事をしている。
第1から第5までの全てを指揮しているのが総団長のザンブル侯爵だ。
食事を終えると侯爵夫人がお母様を居間に連れ出してくれた。
「ライナス。良く私を頼ってくれた。」
「ザンブル侯爵様。僕の頼みを聞いて頂き、ありがとうございます。」
僕は、父であったバンス子爵の事を知っている限り話した。
「マリア・ダン、また厄介な女に掴まったものだ。父上、彼女は、なぜ騎士団に入隊出来たのですか?確かに女性としては腕は良いですが、素行が問題有りかと。」
「ダン男爵の娘か…確か、第4団長の推薦で来たはず。腕も要領も良いからと…少し調べてみるか。」
「そうですね。彼女は、入隊してから仕事よりも男に言い寄る方が忙しいと噂です。最近、聞かなくなったのはバンスが釣れたからでしょう。第1騎士団から始まって、釣れたのは第5騎士団の既婚者。我が団員が誰も相手にしなかったから放置していたのが失敗でした。ごめんね、ライナス。」
「謝らないで下さい!性悪女に引っ掛かったバンス子爵が悪いのです。」
自分の父親をバンス子爵と呼ぶ事を不思議に思っていたので、僕はお母様と一緒に出た事で縁を切られた事、そんな人を父と呼びたくないと告げた。
侯爵もロバート様も憤慨していたけれど、僕としては、あんな男と縁が切れて清々している。
「ライナスは賢いね。本当に6歳?」と言うけれど、僕は正真正銘6歳だよ。
離縁されれば、お母様は住む所も頼る所も無いのだ。勿論、僕も。
ふっと思い出す。
お母様の亡くなったお父様、つまり僕のおじいちゃんがザンブル侯爵と懇意にしていたはず。
ザンブル侯爵は、お母様を娘の様に可愛がっていて、前に会った時に「何か困った事があったらザンブル侯爵家を頼れ!」と言っていたっけ。
それにザンブル侯爵は、騎士団の総団長。
お母様を裏切ったお父様に仕返し出来るんじゃない!?
僕は、セバスにザンブル侯爵と連絡を取って欲しいと頼んだ。
僕は、最悪ここに残る事は出来る。
せめてお母様だけでも侯爵家に住まわせて貰えないかと頼んだのだ。
僕がザンブル侯爵に内密で会った数日後に、お父様は、お母様に離縁を言い渡した。
離縁される理由が分からないお母様は、お父様に泣いてすがったが、お父様は、何も言わずに僅かなお金と離縁状を突き付ける。
まあ理由なんて言えないよね。
自分が不貞をして相手が妊娠したなんてさっ。
そんなのバレたら、こんな端金じゃあ慰謝料にもならないもんね。
「明日までに書いて出ていけ。ライナスは、嫡男だから私が引き取る予定だが、ライナスがお前と行くと言うのなら除籍する。」
「僕は、お母様と一緒に行きます。」
「はっ!?平民になる事を選ぶか。もう少し賢い子だと思ったが…。好きにするが良い。」
僕達は、次の日にバンス子爵家を後にした。
お父様は、前の日から出掛けて帰って来なかったから知らないけれど、僕達をザンブル侯爵家の馬車が迎えに来てくれていた。
僅かな荷物とお金だけ持って出て行くと思っていたお母様は、驚いていたけれど、僕は、お母様と僕の荷物を全て持ち出した。
その他の物も屋敷の皆が協力してくれたから、結構家財も持ち出せたよ。
逆に屋敷の中がガランとしちゃった。
慰謝料代わりなんだから、当然だよね♪
侯爵家に向かう途中で、必要な物を残して全て売り払った。
バンス子爵家での思い出なんて要らないからね。
これから生きていくのには、お金はいくら有っても困らないからね。
ザンブル侯爵家に着けば、侯爵も侯爵夫人も快く受け入れてくれた。
当面はザンブル侯爵家でお世話になって、その間に住む家とお母様には仕事を探して貰う事になる。
子爵家でも、あの人が副団長になるまでは、そんなに裕福ではなかったから、最低限の使用人と共にお母様も家の仕事をしていた。
街でもきっと働けるはず。
その日の晩餐は豪華でビックリした。
さすが侯爵家。
久し振りのお母様との再会で、シェフが張り切ったのだとか…。
こんな豪華な料理は、これが最後だろう。
僕が味を噛み締めながら食べていると侯爵がお母様に、これからもここで暮らす様に告げる。
本当に甘えて良いのかな?
次期侯爵である子息は了承しているのかな?
「おじさま、それはお断り致します。私達は、すぐに家を借りて出ていきます。それまでの少しの間だけ、申し訳御座いませんが、宜しく…」
扉が乱暴に開き、がたいの良い男の人が入ってきた。
「クラリスっ!」
「ロバート様。ご無沙汰しておりました。お父様のご厚意に甘え、少しの間…」
「何を言っているのだ!君が、ここを出て行く必要はない。自分の屋敷だと思ってここに住めば良いんだ。しかしバンスの奴、クラリスとライナスを追い出すなんて!」
ロバート様は、第1騎士団の団長を務めている。
王族の警備をする騎士団の花形だ。
ちなみにバンス子爵は、第5騎士団で街などの警備にあたる仕事をしている。
第1から第5までの全てを指揮しているのが総団長のザンブル侯爵だ。
食事を終えると侯爵夫人がお母様を居間に連れ出してくれた。
「ライナス。良く私を頼ってくれた。」
「ザンブル侯爵様。僕の頼みを聞いて頂き、ありがとうございます。」
僕は、父であったバンス子爵の事を知っている限り話した。
「マリア・ダン、また厄介な女に掴まったものだ。父上、彼女は、なぜ騎士団に入隊出来たのですか?確かに女性としては腕は良いですが、素行が問題有りかと。」
「ダン男爵の娘か…確か、第4団長の推薦で来たはず。腕も要領も良いからと…少し調べてみるか。」
「そうですね。彼女は、入隊してから仕事よりも男に言い寄る方が忙しいと噂です。最近、聞かなくなったのはバンスが釣れたからでしょう。第1騎士団から始まって、釣れたのは第5騎士団の既婚者。我が団員が誰も相手にしなかったから放置していたのが失敗でした。ごめんね、ライナス。」
「謝らないで下さい!性悪女に引っ掛かったバンス子爵が悪いのです。」
自分の父親をバンス子爵と呼ぶ事を不思議に思っていたので、僕はお母様と一緒に出た事で縁を切られた事、そんな人を父と呼びたくないと告げた。
侯爵もロバート様も憤慨していたけれど、僕としては、あんな男と縁が切れて清々している。
「ライナスは賢いね。本当に6歳?」と言うけれど、僕は正真正銘6歳だよ。
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