【完結】私を殺したのは誰?

山葵

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夕食が終わり、皆でお茶を飲んでいると突然お父様が満面の笑みで重大発表がある!と言った。

ジルフィード様の誕生日パーティーから1週間がたっていた。

重大発表が何なのかは話を聞く前に分かった。
ただ今回の相手が、どちらに決まったのか…。

「なんとコンバット侯爵からソフィアに婚姻の申し込みが来たっ!」

お母様もお兄様も喜んで「おめでとう」と祝福してくれている。
お父様の発表の言葉よりも隣のアリアナの事が気になっていた私は彼女に視線を向けた。

ほんの一瞬だったが顔を歪ませて舌打ちした様な?

けれどアリアナは直ぐに家族と共に笑顔で喜んでくれた。

私の見間違えだったのだろうか?

婚約してから私とジルフィード様は、お互いの家を行き来して距離を縮めていったが、何故か我が家で行われるお茶会にはアリアナが同席していた。

前の私は、無邪気に私も一緒にお姉様とお茶会したいです♪と言うアリアナに何の疑問も持たずに承諾してしまっていた。
今思えばジルフィード様に横恋慕していたアリアナは、私とジルフィード様を2人にしたくなかったのだろう。

もしかして隙有らば私からジルフィード様を奪おうとしていたのかも?

私の知らない所でジルフィード様を誘惑していた?

あと1ヶ月足らずで学園を卒業し、ジルフィード様は私と結婚してしまう。
ジルフィード様を手に入れる為ならば、姉であっても殺してしまおうと…。

いけない。アリアナは、そんな子ではないわ。
いくら疑心暗鬼になっているからと、実の妹まで疑うなんて…。

「ソフィア嬢?どうしたの?あっ、外だから寒くて風邪を引いたんじゃ…」

「まぁ、お姉様。大丈夫?直ぐに屋敷の中に入って暖まった方が良いわ。いくら天気が良くても、まだ外でのお茶は早かったのよ。……だから中でと言ったのに、ジルフィードが天気が良いから素敵な庭園で、なんて馬鹿な事を言い出すからっ…」

途中から独り言をブツブツと口にしていたアリアナだったが、直ぐにリナを呼ぶと私は屋敷の中に戻されてしまった。

一緒にジルフィード様も来るかと思えば、庭園でアリアナと2人で話しているのが見えた。

アリアナは、やはりジルフィード様の事を?

ジルフィード様は、アリアナの事をどう思っているのだろう。

「お姉様。ジルフィード様には今日は帰って貰ったわ。お姉様も、きちんと自分の意思を伝えないと駄目よ。無理してジルフィード様に付き合って身体を壊したらどうするの!?」

「………私が身体を壊したら、アリアナがジルフィード様の婚約者になれば良いじゃないっ!」

「お姉様っ!それ本気で言っているの!?お姉様は、ジルフィード様が好きなんでしょう?違うの!?侯爵家からの申し込みだからと我慢してるとか?」

騒ぎを聞き付けて、お父様、お母様、お兄様も来てしまった。

「アリアナは、ジルフィード様が好きなんでしょう!?本当は自分が婚約者になりたかったのよね?私が居なくなればと本当は思っているんじゃないの!?」

私の言葉に驚愕し顔色が悪くなるアリアナを見ていたが、1度吐き出した言葉達は戻る事はない。

本当は、アリアナを傷付けたくないのに。
アリアナに向けた言葉が自分の心を刺す。

「ジルフィード様と2人になりたいからと私を追いやって。そんなに私が邪魔?もしかして死んで居なくなれば良いと思ってる!?」

「ソフィア、止めなさい!」

パンッ!

お父様の言葉と同時に、頬をお母様に叩かれた。

「ソフィア、人には口に出して良い事と悪い事があると教えてきたはずです。今、あなたの発した言葉は言ってはいけない言葉。それも分からない位に愚か者になってしまってのですか?」

叩いたお母様が涙ぐんでいた。

冷静になり周りを見れば、お父様もお兄様も心配そうな顔をしている。

アリアナは、顔面蒼白で呆然としていた。

私は、なんていう事を言ってしまったのだろう。

自分の感情に流されて、人を思いやる事を忘れてしまっていた。

アリアナは、私の身体を心配してくれていたのに。

ジルフィード様と2人で話している姿を見たら、私の事が本当は邪魔なのではないかと勘ぐってしまった。

「アリアナ、ごめんなさい。あなたは私を心配してくれたのに、本当にごめんなさい。」

こんな私なんだもの、誰かに恨みを買っていたとしてもしょうがないのかも知れない。
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