1 / 2
1
しおりを挟む
それはグラベルド伯爵家に届いた1通の手紙から始まった。
国王陛下より、お義父様への呼び出し状。
両親と共に、シャロンお義姉も登城せよとの御達しだった。
家族全員、とても嫌な予感しかしない。
何故なら、国王陛下とバラドーラ側妃が、バーロック第1王子の婚約者を本格的に探しに入ったと聞いていたからだ。
他家の貴族ならば、もしや我が娘が!と国王陛下からの手紙に喜んだのだろうけれど、グラベルド伯爵家は違った。
なぜならシャロンお義姉様には、近々婚約する予定のカイバルン侯爵家嫡男ライナス様が居たからだ。
幼馴染みであった2人は、相思相愛の間柄。
留学しているライナス様の帰国後に、国王陛下へ婚約許可を貰う事に決まっていた。
後3ヶ月でライナス様も帰国する。
それなのに、このタイミングで、まさかの国王陛下の呼び出し。
本当に嫌な予感しかしない。
国王陛下への謁見の為に登城した両親とシャロンお義姉様を、どうか私達の思い過ごしで有ります様にと祈りながらアロンお義兄様と帰宅を待っていた。
馬車から降りてきたシャロンお義姉様の青い顔を見て、私達の予想通り最悪の事態が起きたのだと理解した。
「国王陛下の命により、シャロンとバーロック第1王子との婚約が決まった。」
「なぜシャロンなのですか?伯爵家である我が家よりも王家に相応しい高位貴族令嬢が居るではないですか?」
「バラドーラ側妃の希望だそうだ。シャロンの優秀な所が目に留まったのだろう。バーロック殿下の不足する部分を補って欲しいと言われた。」
「不足部分?ならば殿下の執務全てをシャロンが行なう様になるではないですか?それに殿下は、女性関係にもダラシないとの噂です。そんな男に…」
「アロン!少し口が過ぎる。不敬罪で捕らわれるぞ!」
「僕だって場を弁えて発言します。この場だからこそ言えるのです!父上は、あんな男にシャロンを嫁がせて良いとお考えですか?シャロンが不幸になると分かっているのに、あんな男にシャロン嫁がせるのですか!?」
「誰があんなのに娘を嫁がせたいなどと思うか。王命でなければ辞退している。国王陛下も、バーロック殿下には悩まされていると聞くが、やはり我が子可愛さなのだろう。足りない分は王妃になる者が補えば良いとのバラドーラ側妃の言葉に頷いたそうだ。」
お義母様に抱かれ、泣き崩れるシャロンお義姉様。
私に何か出来る事はないのだろうか?
この家に、家族として迎え入れてくれたグラベルド家の人達に恩返しが出来たなら…。
ふとある計画が浮かんだ。
駄目元で試してみたい。
上手く行けば、シャロンお義姉様を幸せに出来るのでは無いだろうか。
「お義父様。上手く行くかは分かりませんが試してみたい事が有ります。聞いて頂けますか?」
国王陛下より、お義父様への呼び出し状。
両親と共に、シャロンお義姉も登城せよとの御達しだった。
家族全員、とても嫌な予感しかしない。
何故なら、国王陛下とバラドーラ側妃が、バーロック第1王子の婚約者を本格的に探しに入ったと聞いていたからだ。
他家の貴族ならば、もしや我が娘が!と国王陛下からの手紙に喜んだのだろうけれど、グラベルド伯爵家は違った。
なぜならシャロンお義姉様には、近々婚約する予定のカイバルン侯爵家嫡男ライナス様が居たからだ。
幼馴染みであった2人は、相思相愛の間柄。
留学しているライナス様の帰国後に、国王陛下へ婚約許可を貰う事に決まっていた。
後3ヶ月でライナス様も帰国する。
それなのに、このタイミングで、まさかの国王陛下の呼び出し。
本当に嫌な予感しかしない。
国王陛下への謁見の為に登城した両親とシャロンお義姉様を、どうか私達の思い過ごしで有ります様にと祈りながらアロンお義兄様と帰宅を待っていた。
馬車から降りてきたシャロンお義姉様の青い顔を見て、私達の予想通り最悪の事態が起きたのだと理解した。
「国王陛下の命により、シャロンとバーロック第1王子との婚約が決まった。」
「なぜシャロンなのですか?伯爵家である我が家よりも王家に相応しい高位貴族令嬢が居るではないですか?」
「バラドーラ側妃の希望だそうだ。シャロンの優秀な所が目に留まったのだろう。バーロック殿下の不足する部分を補って欲しいと言われた。」
「不足部分?ならば殿下の執務全てをシャロンが行なう様になるではないですか?それに殿下は、女性関係にもダラシないとの噂です。そんな男に…」
「アロン!少し口が過ぎる。不敬罪で捕らわれるぞ!」
「僕だって場を弁えて発言します。この場だからこそ言えるのです!父上は、あんな男にシャロンを嫁がせて良いとお考えですか?シャロンが不幸になると分かっているのに、あんな男にシャロン嫁がせるのですか!?」
「誰があんなのに娘を嫁がせたいなどと思うか。王命でなければ辞退している。国王陛下も、バーロック殿下には悩まされていると聞くが、やはり我が子可愛さなのだろう。足りない分は王妃になる者が補えば良いとのバラドーラ側妃の言葉に頷いたそうだ。」
お義母様に抱かれ、泣き崩れるシャロンお義姉様。
私に何か出来る事はないのだろうか?
この家に、家族として迎え入れてくれたグラベルド家の人達に恩返しが出来たなら…。
ふとある計画が浮かんだ。
駄目元で試してみたい。
上手く行けば、シャロンお義姉様を幸せに出来るのでは無いだろうか。
「お義父様。上手く行くかは分かりませんが試してみたい事が有ります。聞いて頂けますか?」
199
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
婚約破棄、別れた二人の結末
四季
恋愛
学園一優秀と言われていたエレナ・アイベルン。
その婚約者であったアソンダソン。
婚約していた二人だが、正式に結ばれることはなく、まったく別の道を歩むこととなる……。
殿下は私を追放して男爵家の庶子をお妃にするそうです……正気で言ってます?
重田いの
恋愛
ベアトリーチェは男爵庶子と結婚したいトンマーゾ殿下に婚約破棄されるが、当然、そんな暴挙を貴族社会が許すわけないのだった。
気軽に読める短編です。
流産描写があるので気をつけてください。
聖夜は愛人と過ごしたい?それなら、こちらにも考えがあります
法華
恋愛
貴族の令嬢であるメイシアは、親同士の政略によってランディと婚約していた。年明けには結婚が迫っているというのに、ランディは準備もせず愛人と過ごしてばかり。そんな中迎えたクリスマス、ランディはメイシアが懸命に用意した互いの親族を招いてのパーティーをすっぽかし、愛人と過ごすと言い出して......。
そんなに協力する気がないなら、こちらにも考えがあります。最高のプレゼントをご用意しましょう。
※四話完結
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
何か、勘違いしてません?
シエル
恋愛
エバンス帝国には貴族子女が通う学園がある。
マルティネス伯爵家長女であるエレノアも16歳になったため通うことになった。
それはスミス侯爵家嫡男のジョンも同じだった。
しかし、ジョンは入学後に知り合ったディスト男爵家庶子であるリースと交友を深めていく…
※世界観は中世ヨーロッパですが架空の世界です。
幼馴染、幼馴染、そんなに彼女のことが大切ですか。――いいでしょう、ならば、婚約破棄をしましょう。~病弱な幼馴染の彼女は、実は……~
銀灰
恋愛
テリシアの婚約者セシルは、病弱だという幼馴染にばかりかまけていた。
自身で稼ぐこともせず、幼馴染を庇護するため、テシリアに金を無心する毎日を送るセシル。
そんな関係に限界を感じ、テリシアはセシルに婚約破棄を突き付けた。
テリシアに見捨てられたセシルは、てっきりその幼馴染と添い遂げると思われたが――。
その幼馴染は、道化のようなとんでもない秘密を抱えていた!?
はたして、物語の結末は――?
好きな人ができたなら仕方ない、お別れしましょう
四季
恋愛
フルエリーゼとハインツは婚約者同士。
親同士は知り合いで、年が近いということもあってそこそこ親しくしていた。最初のうちは良かったのだ。
しかし、ハインツが段々、心ここに在らずのような目をするようになって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる