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3.俺としようよ ☆
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言葉にした瞬間、背中でふっと笑う呼吸が聴こえた。
「お望みどおりに」
言葉と同時に僕の中心をキュッと握られる。
「あっ・・・」
与えられた快楽が嬉しくてうわずった声をあげた。自身の声さえも快楽が絡めとる。
「あっ、んっ、はやせっ」
左手が竿を上下に扱い、右手の手のひらで円を描くように先端への優しい刺激が与えられる。その優しい刺激が強い快楽になり、支えていた腕が崩れた。
崩れた体を支えられベッドに寝かされると、生暖かい口の中に中心を導かれる。
中心が脈打つ。
「もう・・・いくっ」
言葉と同時にビクビクっと体を震わせた。
快楽が走り抜け、滲んだ視界に広がるのは虚無。
その辺にある布団でイッたばかりの中心を隠しながら罪悪感に包まれた。
また早瀬を汚してしまった。
あの手が僕にこんな風に触れることなどないのに。
「あーあ、またそんな顔して」
「そんな顔ってどんな顔だよ」
佐倉に視線を送ることもなく、むしろ顔を背けたまま言う。
「痛そうな顔。気持ちいいことしたんだから、風呂あがりみたいにさっぱりとした顔しろよ」
「生憎、佐倉みたいに単純じゃないんでね」
いつの間にか脱がされていたTシャツを探し出し、服を着ていると「ここにいないやつのことを考えながらするから、そんな顔になるんだよ」と声が聞こえた。
そして次の瞬間、佐倉の顔が至近距離にあった。
「俺としようよ。俺と」
「何言って・・・んっ」
唇を塞がれ続きの言葉は宙に消えた。
空気を求め、口を少し開けた瞬間に舌が侵入する。
「さ・・・くら・・・んっ、やめっ」
口の中をかき混ぜられ、舌を舐められ、下唇の内側を優しくなぞられた時には力が抜けた。
「いいね、最中に初めて俺の名前呼んだ」
佐倉が僕を見る。僕の目を、目の中を覗き込むように見ている。そのままベッドに押し倒された。佐倉の茶色の髪の毛が窓から差し込む街灯に照らされ、いつもより黄色味がかっていた。
切れ長の奥二重、眉毛と目の間隔が近くて、キリッと整えられた眉毛が男らしさを強調する。整った顔立ちなのは認める。早瀬がふわっと咲くルノワールのような絵なら佐倉はフェルメールの描く光と闇だ。
僕の上にまたがる様にして佐倉が服を脱いだ。鎖骨のラインから胸の筋肉、腹筋。鍛えすぎでもなく、程よい脂肪と筋肉の凹凸を光と影が色づける。
「きれい・・・」
思わず呟くと、また口づけられた。
首元に顔をうずめられると早瀬の香りが舞う。だがそれも一瞬だけで、この快楽を与えているのは俺だと言わんばかりに顔をあげた佐倉の目に捕らわれる。
耳にキスをし、唇にキスをし、首筋、鎖骨。
ようやく着た服をまたはぎとられ、乳首を噛まれてまた声をあげた。
「あっ・・・ん」
「渉・・・」
早瀬はこんな声で、こんな呼び方で僕を呼ばない。
佐倉の手が僕のモノに触れる頃には先ほど吐き出したにもかかわらず僕のそれは固くそそり立っていた。2、3回軽く撫でられただけで、甘い声が漏れる。
不意に僕のモノに同じような質感のモノがあてがわれ、本能的にそれが佐倉の中心部だと悟る。
「渉も触って」
佐倉の手と僕の手
中心と中心
手を動かすたびにヌチュ、ヌチュっと粘度を持つ音が響き、恥ずかしさに顔をうずめればドクドクと佐倉の心臓の音が聞こえる。
汗ばむ肌、早くなる呼吸。
誰だ、これは。こんな佐倉を僕は知らない。
僕の中心をこすられているからか、佐倉の中心が僕の指の間をこすっているからか、ヌチュヌチュと耳を犯す音のせいか、佐倉の呼吸のせいか。
どうにかなってしまいそうだ。
「あっ、んんっ・・・・やっ・・・佐倉っ」
開放を求めて佐倉を見れば、余裕なく眉間に皺を寄せた佐倉の顔があった。汗ばんだ体が色香を増す。
「渉っ」
名前を呼ばれた瞬間、いや、本当は佐倉の余裕のない顔をみた瞬間に体が跳ねた。言葉を吐き出す間もなくドクドクッと白濁を吐き出す。
あんな風に名前を呼ばれたのは初めてだ。
僕を求められたような気がした。
「たーか、ふふーん、なー」
大学の校内。制作室へと移動している最中に苅部が怪しい声で僕を呼んだ。普段ボサボサの髪の毛を今日はきっちりと結び、キレイに剃った髭。苅部がこういう姿をしているときは十中八九、面倒な頼みごとをされる。
「僕、今日は忙しいから」
「でも確かバイトじゃないよね?」
チェック済みかと視線を送ると苅部がにこやかに肩を組んできた。
「君の親友にチャンスを与えてあげたいとは思わないかね!?制作ばかりの寂しい俺に温かな春を運んであげようとは思わないかね?」
「・・・つまり合コンに参加しろと?」
「そうっ、そうなのっ。やっと声をかけてもらった合コンなのに、男が一人どーしても足りなくて。このままじゃ、女の子たち、別の男チームと合コンするって」
苅部は頼む、と僕のTシャツを掴んで目をうるっとさせた。
「そんな顔しても僕には効かないよ」
「そんなぁ、殺生な・・・。あ、じゃあ、ガーラ・テレベア美術館のチケットでどう?」
ガーラ・テレベア美術館。最近できた美術館で美術館自体が美術物として建築されており、今人気の美術館だ。ひとりひとりにじっくり芸術を堪能して欲しいとの館長の思いから、一日のチケットの販売枚数が決まっており、なかなか入手するのが難しいチケットになっている。
「9月5日のチケット。いけなくなった人から譲ってもらったんだけど、3千円で譲ってもいいよ」
「2500円にしてよ。それなら合コンに行ってもいい」
「おっけー。じゃ、交渉成立ね。講義が終わったら迎えに行く!チケットは飲み会終わりに渡すよ」
「わかった」
空がほんのり夜の色味を出してきた頃、苅部に連れていかれたのは学生がよく行く低価格の居酒屋だ。座敷に座布団がぽんぽんと置かれ大雑把に区切られた空間に女子が5人並んで座っている席があり、その向かいに男が4人並んでいた。
「あ、あそこだ」
苅部が視線を送る。
「4人いるじゃん。男が一人多くなるし僕、いらないんじゃない?」
「あぁ、それは大丈夫。一人は幹事で、俺たちを引き合わせたら帰るって言ってた」
「そうなんだ」
残念なような気持ちになっていると、こっち、と手をあげた人物を見て僕は目を大きくした。
佐倉・・・!?
驚いたのは佐倉も同じだったようで一瞬目を見開いたが次の瞬間にはいつもの佐倉に戻っていた。
「空いてるとこ座って。ドリンク何にする?」
「俺はビール!」
「高橋君は?」
「あぁ、えっと」
他のみんなはもうドリンクがテーブルにあって、全員がお酒を注文したようだった。
この状況でソフトドリンクって言いづらい・・・。
「僕もビールで」
佐倉はサッと注文すると適当に食べ物も頼み「軽く自己紹介でもしようか」と言った。みんなの自己紹介に適当に合いの手を入れ、話題を振り、笑いも取る。TVでいうところの立派なMCだ。
トークスキル、高・・・。
お約束の席替えも終わり、なるべく目立たない様にお酒を飲んでいると隣の女性が寄ってきた。
「お酒あんまり強くないの?顔、ちょっと赤くなってきてる」
「実はあんまり」
少し恥ずかしくなって顔に手をやる。
「くすくすくす、無理しなくていいのに」
そう言いながら女性は僕の顔に触れた。
「私の名前、憶えてる?」
「あー・・・絵理さん?」
「やだー疑問形?でも、正解だから許すっ」
絵理さんの手が僕の太ももに触れたことに驚いて、少し身を引いた。あまり積極的に来られるのは苦手だ。どう反応すればいいか分からなくなって好意があるないに関わらず、つい逃げてしまうのだ。
「あれー?高橋君ってもしかして眼鏡をとるとイケメンなんじゃない?」
絵理さんの手が僕の眼鏡に伸び、反射的にその手を振り払ってしまった。吹き飛ぶ眼鏡。
「あ、ごめん。びっくりして」
慌てて絵理さんの手を掴んで謝るも絵理さんはあまり気にしてないようだった。
「ごめんごめん。急に手を伸ばしちゃったからね」
そして絵理さんが僕を覗き込む。
「あ、イケメンっていうより、カワメンだ。目、おっきぃーっ」
「えー、どれどれー?」
皆の視線が一気に集まり、僕は恥ずかしくなって顔を背けた。
「そういえば俺もタカの眼鏡外した顔見たことないわ」
程よく酔っ払いの苅部が僕の方へ来た時だった。
バキッ
「あ」
「あ」
苅部の声から遅れること2秒。起こったことに気が付いて僕も声をあげた。
「お望みどおりに」
言葉と同時に僕の中心をキュッと握られる。
「あっ・・・」
与えられた快楽が嬉しくてうわずった声をあげた。自身の声さえも快楽が絡めとる。
「あっ、んっ、はやせっ」
左手が竿を上下に扱い、右手の手のひらで円を描くように先端への優しい刺激が与えられる。その優しい刺激が強い快楽になり、支えていた腕が崩れた。
崩れた体を支えられベッドに寝かされると、生暖かい口の中に中心を導かれる。
中心が脈打つ。
「もう・・・いくっ」
言葉と同時にビクビクっと体を震わせた。
快楽が走り抜け、滲んだ視界に広がるのは虚無。
その辺にある布団でイッたばかりの中心を隠しながら罪悪感に包まれた。
また早瀬を汚してしまった。
あの手が僕にこんな風に触れることなどないのに。
「あーあ、またそんな顔して」
「そんな顔ってどんな顔だよ」
佐倉に視線を送ることもなく、むしろ顔を背けたまま言う。
「痛そうな顔。気持ちいいことしたんだから、風呂あがりみたいにさっぱりとした顔しろよ」
「生憎、佐倉みたいに単純じゃないんでね」
いつの間にか脱がされていたTシャツを探し出し、服を着ていると「ここにいないやつのことを考えながらするから、そんな顔になるんだよ」と声が聞こえた。
そして次の瞬間、佐倉の顔が至近距離にあった。
「俺としようよ。俺と」
「何言って・・・んっ」
唇を塞がれ続きの言葉は宙に消えた。
空気を求め、口を少し開けた瞬間に舌が侵入する。
「さ・・・くら・・・んっ、やめっ」
口の中をかき混ぜられ、舌を舐められ、下唇の内側を優しくなぞられた時には力が抜けた。
「いいね、最中に初めて俺の名前呼んだ」
佐倉が僕を見る。僕の目を、目の中を覗き込むように見ている。そのままベッドに押し倒された。佐倉の茶色の髪の毛が窓から差し込む街灯に照らされ、いつもより黄色味がかっていた。
切れ長の奥二重、眉毛と目の間隔が近くて、キリッと整えられた眉毛が男らしさを強調する。整った顔立ちなのは認める。早瀬がふわっと咲くルノワールのような絵なら佐倉はフェルメールの描く光と闇だ。
僕の上にまたがる様にして佐倉が服を脱いだ。鎖骨のラインから胸の筋肉、腹筋。鍛えすぎでもなく、程よい脂肪と筋肉の凹凸を光と影が色づける。
「きれい・・・」
思わず呟くと、また口づけられた。
首元に顔をうずめられると早瀬の香りが舞う。だがそれも一瞬だけで、この快楽を与えているのは俺だと言わんばかりに顔をあげた佐倉の目に捕らわれる。
耳にキスをし、唇にキスをし、首筋、鎖骨。
ようやく着た服をまたはぎとられ、乳首を噛まれてまた声をあげた。
「あっ・・・ん」
「渉・・・」
早瀬はこんな声で、こんな呼び方で僕を呼ばない。
佐倉の手が僕のモノに触れる頃には先ほど吐き出したにもかかわらず僕のそれは固くそそり立っていた。2、3回軽く撫でられただけで、甘い声が漏れる。
不意に僕のモノに同じような質感のモノがあてがわれ、本能的にそれが佐倉の中心部だと悟る。
「渉も触って」
佐倉の手と僕の手
中心と中心
手を動かすたびにヌチュ、ヌチュっと粘度を持つ音が響き、恥ずかしさに顔をうずめればドクドクと佐倉の心臓の音が聞こえる。
汗ばむ肌、早くなる呼吸。
誰だ、これは。こんな佐倉を僕は知らない。
僕の中心をこすられているからか、佐倉の中心が僕の指の間をこすっているからか、ヌチュヌチュと耳を犯す音のせいか、佐倉の呼吸のせいか。
どうにかなってしまいそうだ。
「あっ、んんっ・・・・やっ・・・佐倉っ」
開放を求めて佐倉を見れば、余裕なく眉間に皺を寄せた佐倉の顔があった。汗ばんだ体が色香を増す。
「渉っ」
名前を呼ばれた瞬間、いや、本当は佐倉の余裕のない顔をみた瞬間に体が跳ねた。言葉を吐き出す間もなくドクドクッと白濁を吐き出す。
あんな風に名前を呼ばれたのは初めてだ。
僕を求められたような気がした。
「たーか、ふふーん、なー」
大学の校内。制作室へと移動している最中に苅部が怪しい声で僕を呼んだ。普段ボサボサの髪の毛を今日はきっちりと結び、キレイに剃った髭。苅部がこういう姿をしているときは十中八九、面倒な頼みごとをされる。
「僕、今日は忙しいから」
「でも確かバイトじゃないよね?」
チェック済みかと視線を送ると苅部がにこやかに肩を組んできた。
「君の親友にチャンスを与えてあげたいとは思わないかね!?制作ばかりの寂しい俺に温かな春を運んであげようとは思わないかね?」
「・・・つまり合コンに参加しろと?」
「そうっ、そうなのっ。やっと声をかけてもらった合コンなのに、男が一人どーしても足りなくて。このままじゃ、女の子たち、別の男チームと合コンするって」
苅部は頼む、と僕のTシャツを掴んで目をうるっとさせた。
「そんな顔しても僕には効かないよ」
「そんなぁ、殺生な・・・。あ、じゃあ、ガーラ・テレベア美術館のチケットでどう?」
ガーラ・テレベア美術館。最近できた美術館で美術館自体が美術物として建築されており、今人気の美術館だ。ひとりひとりにじっくり芸術を堪能して欲しいとの館長の思いから、一日のチケットの販売枚数が決まっており、なかなか入手するのが難しいチケットになっている。
「9月5日のチケット。いけなくなった人から譲ってもらったんだけど、3千円で譲ってもいいよ」
「2500円にしてよ。それなら合コンに行ってもいい」
「おっけー。じゃ、交渉成立ね。講義が終わったら迎えに行く!チケットは飲み会終わりに渡すよ」
「わかった」
空がほんのり夜の色味を出してきた頃、苅部に連れていかれたのは学生がよく行く低価格の居酒屋だ。座敷に座布団がぽんぽんと置かれ大雑把に区切られた空間に女子が5人並んで座っている席があり、その向かいに男が4人並んでいた。
「あ、あそこだ」
苅部が視線を送る。
「4人いるじゃん。男が一人多くなるし僕、いらないんじゃない?」
「あぁ、それは大丈夫。一人は幹事で、俺たちを引き合わせたら帰るって言ってた」
「そうなんだ」
残念なような気持ちになっていると、こっち、と手をあげた人物を見て僕は目を大きくした。
佐倉・・・!?
驚いたのは佐倉も同じだったようで一瞬目を見開いたが次の瞬間にはいつもの佐倉に戻っていた。
「空いてるとこ座って。ドリンク何にする?」
「俺はビール!」
「高橋君は?」
「あぁ、えっと」
他のみんなはもうドリンクがテーブルにあって、全員がお酒を注文したようだった。
この状況でソフトドリンクって言いづらい・・・。
「僕もビールで」
佐倉はサッと注文すると適当に食べ物も頼み「軽く自己紹介でもしようか」と言った。みんなの自己紹介に適当に合いの手を入れ、話題を振り、笑いも取る。TVでいうところの立派なMCだ。
トークスキル、高・・・。
お約束の席替えも終わり、なるべく目立たない様にお酒を飲んでいると隣の女性が寄ってきた。
「お酒あんまり強くないの?顔、ちょっと赤くなってきてる」
「実はあんまり」
少し恥ずかしくなって顔に手をやる。
「くすくすくす、無理しなくていいのに」
そう言いながら女性は僕の顔に触れた。
「私の名前、憶えてる?」
「あー・・・絵理さん?」
「やだー疑問形?でも、正解だから許すっ」
絵理さんの手が僕の太ももに触れたことに驚いて、少し身を引いた。あまり積極的に来られるのは苦手だ。どう反応すればいいか分からなくなって好意があるないに関わらず、つい逃げてしまうのだ。
「あれー?高橋君ってもしかして眼鏡をとるとイケメンなんじゃない?」
絵理さんの手が僕の眼鏡に伸び、反射的にその手を振り払ってしまった。吹き飛ぶ眼鏡。
「あ、ごめん。びっくりして」
慌てて絵理さんの手を掴んで謝るも絵理さんはあまり気にしてないようだった。
「ごめんごめん。急に手を伸ばしちゃったからね」
そして絵理さんが僕を覗き込む。
「あ、イケメンっていうより、カワメンだ。目、おっきぃーっ」
「えー、どれどれー?」
皆の視線が一気に集まり、僕は恥ずかしくなって顔を背けた。
「そういえば俺もタカの眼鏡外した顔見たことないわ」
程よく酔っ払いの苅部が僕の方へ来た時だった。
バキッ
「あ」
「あ」
苅部の声から遅れること2秒。起こったことに気が付いて僕も声をあげた。
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