❖ 『愛をください』─ 叶わぬ想い ─

設楽理沙

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26 ◇至福のひとときが終わり──

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早く帰らなきゃとアクセルを踏み込み、家にとって返す。

そして久しぶりに、家族4人そろって昼食のお寿司を味わった。

「ただいまぁ~、みんなもう先に食べちゃったかな?」

「「「お帰り~。待ってたよ~」」」

「よしっ。じゃあ、みんな手伝って~」

私は3人に号令をかけた……といっても、桶を並べてラップを取り、各自のお皿と箸を
並べるだけなのよね~。


3人がそのような簡単な支度をしている間に、私はお湯を沸かした。

「悟と圭、みそ汁茶碗を出して、テーブルに置いてね」

「「うんっ」」

「悟と圭が帰省しなかったから、おじいちゃんもおばあちゃんも寂しがってたよ。
お年玉もらったお礼の電話しとかなきゃな」

「「あとで、お父さんに電話繋いでもらってあなたたち、お礼言っとくといいわね」」

「「はぁ~い」」

「うちの実家からも昨日帰省した時にお年玉貰ったわ」

「そっか。子供はお年玉が楽しみだからな」



私たちの家では、夫の実家への帰省を優先していて、ここ数年、夫を伴っての
私の実家へは帰省はしていない。


私の実家には、私と子供たちとで三が日を外して帰省している。

夫も最初の数年は、そのはずれた日ではあったが私たちと一緒に帰省していたのにね。


ここのところは、なし崩し的に三が日じゃないからもういいだろっていう態度なのよね。
まっ、いいけどね。



両親も息子たちが行くだけでご満悦だし、夫に気を遣わずに済むから……。

でも、内心、私としては、自分の親を蔑ろにされているようでいい気分ではない。

でもまっ、いっか。

私もこのままずーっと、夫の実家へは帰省しないと決めているから、ちょうどいいや。

女のことといい、私のほうの実家へは自分も帰省していない手前、
おおっぴらに私に文句は言えないでしょうよ。



美味しいお寿司を食べていたのに、夫の実家からいただいた息子たちへのお年玉の話
からいろいろと胸に溜まっていたものが噴出してきちゃって……。

 私ったら、お寿司に集中しなきゃ。

 渦巻く、ネガティブな思考の渦から脱っすると――――
 エビがおいしいだの、トロがおいしいだの、子供たちの喜ぶ声が
耳に戻ってきた。

『あ~、美味しい~。
 他人様の作ったものって……
労働せずにいただく食事って……

 なんとも言えず美味しく、至福の時だわ。

お腹も心も、なんと癒されること……。


楽しい至福のひとときが終わり、子どもたちは食器を下げたあと、
いつものように2階へと上がっていった。

そして私は、その背中を見送りながら、ふと小さく息をついた。
 



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