偽りのない魔女の物語

由井

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第1章

〈Episode.Ⅵ お姫様〉

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EpisodeⅥ. お姫様



辿り着いた静かな中庭にある噴水の淵に、彼女は腰掛けていた。

「お姫様、貴女は一体何がしたいんですか?」

金の波打つ髪を風に靡かせた彼女は、何も答えず微笑んでいる。

「いくら貴女の物語はと言っても、それは魔法がある間だけなのは分かっているでしょ?」

彼女は答えない。

「それとも、絶望でもしましたか?」

「絶望ですって? 私は諦めるつもりも、止まったままでいるつもりもないわ。」

金の中の深い海の底のような濃い碧に力強いものを見せ、彼女はやっと口を開いた。

「でしたら、どうしてこの様な真似を?」

「あら?私が中庭にいるのは、私の所為ではないわ。その答えが欲しければ、シルヴィにお願いしなきゃダメね。」

その言葉に今まで会話を見ているだけだった彼女は、口元に笑みを浮かべたまま答えた。

「その前に貴女はこちらに来なさい。そこでは全てなる。」

「それもそうね。」

腰掛けた噴水の淵から軽やかに、彼女はこちらへと飛んだ。



私の眼の前に彼女が降りた途端、彼女のいた場所へ飛沫が飛び始めた。

「いつから使っていたのかは知りませんが、ありがとうございます。」

「礼には及びませんわ、この程度のもの魔法とも呼べませんもの。」

時を止める・・・いや、物語そのものを止めていたのか。

私は彼女の魔法を全ては知らない。

けれど、彼女は知っている。

魔法は私の知っている2つと合わせて、あと4つ。




「シルヴィはホント凄いわね。その魔法で出来ないことなんて、無いみたいだわ!」

お姫様は無邪気に喜ぶ。

「あら?私にも出来ないこともありますよ、寧ろ出来なかったからこそここにいるんですもの。」

魔女は優雅に答えた。


「そうかしら? でも魔法を使って私をシルヴィは、私の魔法使いね!」

手を合わせ、今にも飛び跳ねそうな喜び。

「お姫様、ワタクシ残念ながら魔女ですの。でも貴女だけの魔女、ということでしたらお引き受けしますわ。」

優雅な一例をした、魔女。

「まぁ、嬉しい!!魔女でも構わないわ、ぜひ私のお友達になって頂戴。」

魔女の手を取る、お姫様。


「そろそろ、そのを終わりにしませんか? お姫様のお怒りは後ほど伺いますので、とりあえず状況説明を。」

にこにこと微笑みながら、動き出したを無視しながら茶番を始めたニ人をひとまず止める。

つまらなさそうな表情の二人を、無視する。

「アンバーはつまらないわ。この程度のことで、動揺しててはダメよ? 物語にイレギュラーは付きものだもの。」

「お姫様、私の名前はですよ。」

「あら、ごめんなさい!私ったらお友達の名前を間違えるなんて・・・。 それと、私のこともお姫様なんかじゃなくとお呼びください。」

「あぁ、それは失礼いたしました。レナータ、とりあえず場所を移動しましょう。こちらは少々騒がしく、なりそうですから。」

お姫様、レナータは私のその言葉に頷きいつの間にか姿の見えなくなっている銀の魔女のことなど気にも止めず、私の手を取った。


「でしたら、とってもいい秘密の場所があるの! 教えてあげるわ、ついて来て。」



そう言いながら彼女は、中庭から学内へ入る為の私を引き込んだ。





お姫様、どうか秘密の意味を今一度お調べください。
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