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第1章
〈EpisodeⅤ. かくれんぼ〉
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Episode.Ⅲ 反射 ⅲ
この大きな城の様な学校は、中は見た目通りの豪華さと広さとを備えていた。
しかしその通路には人は見当たらない。
「どういうことですかね? 今日は学園は休みだったりするんですかね?」
「さぁ? そんな事よりも、姫はこの学校の中庭とやらにいる様ですわ。」
「中庭? ちょっと待って、そんなところに姿の映る様なものがあるの?」
「ええ、ありますわ。窓からは離れている様ですが、庭に池は付き物ですわ。」
池、庭・・・姿が映る?!
「それって姫が池の、水辺の近くにいるって事じゃないですか!」
「だからこうして移動しやすくしてるんじゃないですか。」
本当にこの魔女はロクでもない、何故大事な事を言わない。
「姫に万が一、水が触れる様な事に成ったらどうするんですか!? 早く移動しなきゃだめじゃないですが!」
「慌てずとも、大丈夫ですわ。その程度の事想定済みです。」
「どういう事?」
「行けば分かります。」
不気味な笑みを浮かべたシルヴィアに、多少の安心を抱き私は脚を早めた。
「映るものがあるなら、中を通った方が早い気がするんですが・・・」
「恐らく姫は気づいている様なので、自ら水辺にいますの。その通路を使うと飛沫が彼女にかかりますわ。」
「何してんだ、あの人。」
魔法の解き方は、自身が一番分かっているはずなのに何故。
「大方、私たちを試しているんでしょう。この書き換えを知らされなかった彼女を、知らない状況でどれだけ自身を守り通せるか、と。」
全く、
「容赦の無い、お姫様ですね。」
何処かの誰かの物語のようだ。
この大きな城の様な学校は、中は見た目通りの豪華さと広さとを備えていた。
しかしその通路には人は見当たらない。
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「中庭? ちょっと待って、そんなところに姿の映る様なものがあるの?」
「ええ、ありますわ。窓からは離れている様ですが、庭に池は付き物ですわ。」
池、庭・・・姿が映る?!
「それって姫が池の、水辺の近くにいるって事じゃないですか!」
「だからこうして移動しやすくしてるんじゃないですか。」
本当にこの魔女はロクでもない、何故大事な事を言わない。
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「どういう事?」
「行けば分かります。」
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「映るものがあるなら、中を通った方が早い気がするんですが・・・」
「恐らく姫は気づいている様なので、自ら水辺にいますの。その通路を使うと飛沫が彼女にかかりますわ。」
「何してんだ、あの人。」
魔法の解き方は、自身が一番分かっているはずなのに何故。
「大方、私たちを試しているんでしょう。この書き換えを知らされなかった彼女を、知らない状況でどれだけ自身を守り通せるか、と。」
全く、
「容赦の無い、お姫様ですね。」
何処かの誰かの物語のようだ。
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