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求められし力
77.魔界統一戦争1
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『あ、お母さん!お帰りなさい!』
グレートデスモス地境のリーンの所に転移すると、いつも通り入浴中だった。この人(神)は本当にお風呂が好きだね。
「ただいま! リーンは、よくお風呂に入っているみたいだけど、入り過ぎは身体によくないんだよ。お肌の保湿効果が落ちて、皺が出来やすくなるって聞いたことがある……」
『えっ!? ただでさえ私、お母さんより年上なのに、それは大変!』
リーンが慌てて湯船から出て着替え始めた。
メルちゃん達は、口をぽかーんと開けてボク達を見ている。
「また魔界に行くことになったから、入り口を開けてほしいんだけど」
『分かりました、いつ頃帰ってきますか?』
「どうだろ……3日くらいかな? 戻るときにはアイちゃんに念話を飛ばしてもらうね」
正直、その辺はアイちゃんから聞かされていない。それに、魔界を楽しむという意味も分からない。戦争だっていうのに……。
一緒に買い物に行きたいだの、美味しいものを食べに行きたいだの駄々をこねるリーンを連れて魔界へ通じる空間の狭間へと飛ぶ。
目の前には、渦を巻くおどろおどろしい闇が口を開く。何度見ても恐怖を拭い去ることが出来ない。
皆で手を繋ぎ、勇気を振り絞って闇の中へと飛び込んでいく。
★☆★
「ここが魔界……思っていたより普通、ですね」
「だよね。あ、ヴァルムホルンがそのままある! そうだ、お土産は何を買っていこうかな」
「地上よりも空気がピリピリしてるよ……」
メルちゃんは冷静だけど、レンちゃんは修学旅行気分でハイテンションだし、エクルちゃんは尻尾がぶるぶる震えている。緊張しているのかな。このまま魔王城キュリオ・キュルスに転移しちゃっても大丈夫だろうか……まぁ、食堂に行けば落ち着くでしょ!
「魔王の所まで飛ぶよ! 転移!」
★☆★
『うわぁ、びっくりした!』
キュリオ・キュルスにある食堂に転移したボクの目の前には、魔人のフラムさんがいた。クビにならずにしっかり働いているようだ。
『リンネか? 久しいな! どうだ、この繁盛ぶりは!』
フラムさんが両手を広げて自慢げに店内を見せる。
「すごい!!」
空席が見当たらないほどお客が入っている。
殺風景だった店内にはオシャレな装飾が増えている。なんだか、サイ○リアみたいだ。
フラムさんが活躍したのか、ボクがこっそり教えたスイーツレシピがウケたのか、魔王の新作がヒットしたのかは特定不明だけど、賑わっていて良かった。
でも……とにかく、至るところに魔人、魔人、魔人……案の定、エクルちゃんは腰が抜けたみたいに地面に女の子座りをしてしまった。落ち着かせるはずが、逆効果になってしまった。耳をなでなでして安心させてあげる。
「店長さんいる?」
ボクは真面目な顔を作って、フラムさんに小声で囁く。魔王リド、双子の妹の副王リズ……多分、名前を言ってはいけない気がした。
『大事な用事があるみたいだね。付いておいで』
空気を察したのか、フラムさんの表情も変わる。
ボク達は、フラムさんの後ろにぴったり付いていった。
テーブルを掻き分け、魔人の横を通り抜ける。ボク達に視線が集まっているのを感じるけど、目を合わせないようにしよう……。店内には他にも何人かの店員さんがいるみたいだ。厨房ではリズさんが笑顔でボクに手を振っている。やっぱり美人さんだ。ボクも手を振り返す。
階段を下りた先の地下室に魔王リドは居た。
食料貯蔵庫のような場所でメモを見ながら唸っている。
以前見たときよりも威厳がある。店長としての先入観が抜けた為か、魔王の貫禄がひしひしと感じられる。メルちゃん達は緊張で手足が震えている……。
『勇者リンネ、見学に来てくれたのか?』
見学? 貯蔵庫ツアー?
「いえ、そういう訳ではないです。魔界で近々戦争があると聞いて……ボクの仲間、アルン王国のアイちゃんからの手紙を持ってきたんです」
そう言いながら、リドに手紙を手渡す。
リドは手紙を開封し、読みながら語りだした。
『実はな、魔人ウィズレイが魔王選抜大会なるものを提案してきたのだ。要するに、1対1で戦い、最も強い者、もしくは最も運に恵まれた者が魔王になれば良いということだな。あいつめ、面白いことを考えやがる』
望むところだと言わんばかりに、二カッと微笑むリド。口からはみ出す犬歯が怖い……。
「ウィズがそんなことを!?」
『それで、アルン国王からの親書だが……リンネ、メル、レン、エクル4名の大会登録と、予選免除申請だ。地上世界からの参加ということは伏せ、我が国の客人とさせてもらうことになる。これで我が国の予選免除者は、俺とリズを含めて6名になるわけだ。大会規定だと魔王しか予選免除が受けられないんだがな。“西の王国は弱小新興国だから、このくらいは優遇してもらわないと平等とは言えない”なんて書いてあるぞ。はっはっはっ! 面白い国王だ!』
アイちゃん……冷や汗かかせないでよ。それにしても情報通にも程があるし。まぁ、大会で正々堂々とウィズが魔王になるのを防げということかい。
でも……現役魔王や、上級魔人が参加してくるんだよ、勝ち続ける自信なんてないよ。これは、さらなる修行と作戦会議が必要だね!
「大会の開催はいつからですか?」
『明日からだ……』
「「……」」
大会概要については、アイちゃんの提案を受け入れていくつかの新ルールが適用され、各国に通達された。
明日はまず予選が行われ、明後日の朝から本戦開始となるようだ……。ボク達は無事に予選を免除されることになり、明日は朝からのんびりと予選を見学して、夕方の本戦抽選会を待つことになった。
■魔界統一戦争
1、本戦出場者32名がA~Hの8ブロックに分かれ、1対1のトーナメント形式で戦う
2、1回戦、2回戦、準々決勝、準決勝、決勝の5試合全てに勝利した者を魔王とする
3、組み合わせは完全なる抽選で決する
4、相手を降参させるか、気絶させた者を勝者とする
5、相手の命を奪った者は失格とする
6、魔法、武器の使用は可能だが、装備品以外のアイテムは使用禁止とする
※3~6の新ルールを追加する
「リンネちゃん、あたしお腹が痛くなっちゃった」
「レンちゃん、無理せず、勝てそうでなければ降参しようね」
「いいえ、皆さん! 折角なので、優勝を目指しましょう。そうすれば、自ずとウィズの打倒も果たせますからね!」
メルちゃん、どうしてそんなにやる気満々なの……あらら、エクルちゃんの耳と尻尾が垂れまくりだよ。
魔界滞在中、魔王リドの食堂2階にある客室を借りられることになった。
大会は、キュリオ・キュルス城外の南側大平原で行われる為、移動する必要はない。
その夜、前哨戦として行われた“もふもふ争奪戦”に勝利したボクは、十分な英気を養うことが出来た。
★☆★
早朝、気分良く寝ていたボクは、メルちゃんに起こされた。
何時だろう……寝ぼけ眼で見回すと、隣ではレンちゃんとエクルちゃんが抱き合って寝ている。何だかずるい。
「リンネちゃん、軽く汗を流しましょう」
なになに!?
メルちゃんに引きずられるようにして連れて行かれた。ちょっと強引なメルちゃんに、ドキッとする。
一緒にシャワーを浴びるのかと思ったら、修行の相手をさせられた……。
メルちゃんの戦闘を久しぶりに見た。見たというか、全身で味わった。
パワー、スピード共に申し分ない。
ボクは何とか棒で攻撃を逸らし、反撃を試みたんだけど……当たらなかった。全くと言っていいほど、隙がなかった。
軽くと言いつつ、2人とも熱が入り過ぎてしまい、1時間以上も模擬戦をしてしまった。
結局、魔法なしではボクの10勝32敗。お互いに本気とは程遠かったけど、実戦の経験しかなかったボクには得るものが大きかった。
メルちゃんのお陰で、棒術が上級に上がった!
ボクがメルちゃんの役に立てたかどうかは、自信がない……。
模擬戦を終えてシャワーを浴びる頃、レンちゃん達ものそのそと起きだしてきたので、全員でシャワーを浴びることになった。
うん、最高に良い朝だ!
朝食は魔王レシピだ。
メニュー名“地獄の豪華”だって。ギャグ?
謎の肉が使われているハンバーグと、色とりどりのサラダ、赤いスープ……。これって一応、人間が食べられる物だよね……。
さぁ、朝食を食べたら予選を見に行こう!
★☆★
予選開始は朝8時だ。
予選参加者はとても多かった。
人型だけでなく、体長50mを超える化け物まで混ざっている。会場が800m四方もあるけど、狭く感じるよ……。
“殺すの禁止”という新ルールのお陰だと思う。
運営さんが、7時過ぎから何度も同じ説明を繰り返し叫んでいる。だんだんと声が嗄れてきて、聞いているだけで胸が痛む。
説明を要約すると、大会運営側で魔力を測り、上位10名が予選通過となる。そして、残りの予選参加者を14ブロックに分け、トーナメント形式で勝ち抜いた14名が本戦出場になるらしい。北王と南王を含めたボク達8名は予選免除だから、この予選通過者24名を加えた32名が本戦出場となるわけだ。
魔力測定なんてされたら、ボク達はダメダメじゃん。レンちゃんなんて3.90しかないし……アイちゃん、ナイスだよ!
ボク達はウィズを探していた。
あいつの手の内が少しでも分かればと思ったが、測定による上位10名に入って予選通過してしまったらしい。しかも、予選通過第1号だ……なんか、むかつく。
他にも、北王四天王や、無所属参加の全員が魔力測定による予選通過になっていた。これでは強い奴の戦い方が見られない……予選を見学する意味がないじゃん!!
予想通りと言うか、何と言うか……西からの参加者は負け続け、軍団長らしき1名しか予選を通過しなかった。
彼の戦い方は、巨躯で大槍を縦横無尽に振り回すという滅茶苦茶なものだった。でも、パワーだけでなくスピードも凄まじい。あれを跳ね返す膂力はないわ。
北からの参加者は少なかったが、その割には多くが勝ち進んでいたようだ。どちらかと言うと、剣や槍を用いる正統派戦士が多い気がした。名前を覚えているのは“デル”という魔族だけ。6本の腕に剣を持つクラーケンみたいな見た目もかなり強烈だったけど、名前が短いから……。
対して、南の猛者達には魔術師系が多かった気がする。地上と関わりがあるのか、白系の軽装鎧を身に纏っている姿が目立った。あと、女性が多く勝ち進んでいた。強いて挙げれば、“ゾフィ”かな。鎧ではなくローブを着ていたんだけど、凄く胸が目立っていた。ただ、それだけ。
レンちゃんやエクルちゃんは、参加者を見て強い強い叫んでいたけど、メルちゃんは不敵な笑みを浮かべて見ていた。十分やれる自信があるんだと思う。
ボク的にも、参加者を平均すると中級魔族の“ベリアル”くらいで、特に強いとは思わなかった。目立つレベルでも、魔人序列最下位だった“ギャラント”くらい。でも、強い奴ほど手の内を見せないで勝ち進むものだからね、油断は出来ない。
夕暮れが迫る中、いよいよ本戦の抽選会が始まった。
ウサギ耳の魔族が箱の中から名前が書かれている札を引き、犬耳の魔族が壁にあるトーナメント表に貼っていく。
体のでかい魔族が壁際を独占していて全く見えない!
でも、札を貼るたびに上がる喚声や悲鳴で、興奮した雰囲気が伝わってくる。
ボク達の隣に魔王リドが来た。
壁際に居た連中が、さっと場所を空ける……さすが魔界、弱肉強食感がすごい。
壁に掲げられたトーナメント表を、魔王リドと一緒に眺める。
( )に所属が書かれているようだ。当然だけど、知らない名前が多すぎて、強いのか弱いのか全く分からない……。
■本戦トーナメントの組み合わせ
A:ノクト(北) × タタン(北)
バハムート(無) × リズ(西)
B:ゾフィ(南) × ギルヴェスト(北)
デ・ラーズ(南) × ウィズ(無)
C:メル(西) × ハウール(北)
セムソチ(無) × ムムゥ(北)
D:エト・ニドン(南) × ガラハド(西)
リド(西) × ゲス(北)
E:エクル(西) × カーリー(南)
アビス(北) × サーゲイロード(北)
F:レン(西) × グーヤーズ(南)
メノム�鶚 (無) × フンババ(北)
G:カーシム(南) × テラ(南)
ラムザ(北) × ラクシュ(南)
H:ノロイ(南) × デル(北)
リンネ(西) × アズィール(北)
「えっと、西は……とりあえず1回戦ではお互いに当たらないみたいだね。西が7名、北は12名、南が9名、4名が無所属かな。ボクは……あれ? あった、最後の試合だ!良かった……勝ち進んでも魔王と当たるのは4回戦の準決勝だ」
「私は……Cブロックの第1試合です。相手は、北のハウール?」
『ハウールか……北王四天王の筆頭戦士だ。運が悪いな』
「相手が、ですけどね」
おっと、メルちゃん強気……。
「あたしはFブロックだよ。グーヤーズって、強いの?」
『南王の魔人兵団所属の将軍だが、どうだろうな。南の中堅くらいだろうか』
「僕はEブロックだな。カーリー? もしかして、カレー屋さん?」
「……」
エクルちゃん頑張れ……としか言えない。
『南王カーリー……魔王だ』
「お疲れ様~、僕はそろそろ地上に帰りますね」
「こらっ! 戦ってみなければ分からないでしょ! 勝ったらご褒美あげるから!」
逃げるエクルちゃんの尻尾を引っ張るボク。ご褒美という言葉でちょっと足が止まった。良かった。
『悪いが、決勝は俺とカーリーになりそうだな』
あぁ、ボク達は完全に舐められてるね!
ぎゃふんと言わせるよ!面白いじゃん!
あ!
後ろを振り返ったボクは、声を張り上げている狼っぽい魔族を見つけた。
これは……予想屋さん?
ボクは早速、予想屋が配っている紙を受け取った。
魔力量だけで勝敗が決まるとは考えられないけど、魔力と各国での序列が書かれているので少しは参考になるかな。それにしても、地上の魔人と比べると弱い気がする。
って……やっぱり舐められてる!
<的中確実!ホロホロ大予想>
※ 本戦のブロック予想(1~2回戦)
※ ◎大本命 ○対抗 ▲穴 ×大穴
※ 数値は運営による魔力測定値
【A】西の副王リズと地力のある竜魔族バハムートが潰しあう。よって、ここは北王ノクトの独壇場だろう。
◎ノクト(北王/測定なし)
×タタン(北8位/110)
▲バハムート(無2位/190)
○リズ(西の副王/測定なし)
【B】魔王級と噂される鬼人族ウィズの実力はいかに! デ・ラーズと競るようなら、ゾフィにもチャンスはある。
▲ゾフィ(南4位/130)
×ギルヴェスト(北12位/90)
○デ・ラーズ(南2位/200)
◎ウィズ(無1位/280)
【C】北王四天王筆頭戦士が余裕で勝ち抜くだろう。謎の女戦士セムソチがどう戦うかがポイントだ。
×メル(西5位/測定なし)
◎ハウール(北2位/180)
○セムソチ(無3位/155)
▲ムムゥ(北11位/95)
【D】2回戦でガラハド大将軍が棄権するようならば、西の新王リドが無傷で勝ち上がるだろう。
▲エト・ニドン(南8位/100)
○ガラハド(西3位/125)
◎リド(西王/測定なし)
×ゲス(北10位/95)
【E】カーリーに死角なし! あえて見所を探すならば、2回戦のカーリー対アビス戦だろう。
×エクル(西7位/測定なし)
◎カーリー(南王/測定なし)
○アビス(北3位/165)
▲サーゲイロード(北6位/125)
【F】全く面白みのないブロックだ。古の魔王の血を引くメノム�鶚以外は、見る価値すら感じない。
×レン(西6位/測定なし)
○グーヤーズ(南5位/110)
◎メノム�鶚 (無4位/145)
▲フンババ(北9位/95)
【G】不運にも南の戦士が3名固まってしまった残念ブロック。うまい戦略で北王四天王の一角を崩せるか!
○カーシム(南6位/110)
▲テラ(南9位/95)
◎ラムザ(北4位/160)
×ラクシュ(南7位/105)
【H】ここも南北対決だ! 1回戦を楽に勝ち抜ける北王四天王4番手のアズィールがやや有利か?
○ノロイ(南3位/135)
▲デル(北7位/115)
×リンネ(西4位/測定なし)
◎アズィール(北5位/140)
さて、こんな予想は皆に見せられないや。奮起してくれたら嬉しいけど、やる気をなくすかイライラするだけだよね。
ボクは、丸めてゴミ箱に放り投げた。
それをウィズが拾い、お腹を抱えて笑っていることには全く気付かなかった。
グレートデスモス地境のリーンの所に転移すると、いつも通り入浴中だった。この人(神)は本当にお風呂が好きだね。
「ただいま! リーンは、よくお風呂に入っているみたいだけど、入り過ぎは身体によくないんだよ。お肌の保湿効果が落ちて、皺が出来やすくなるって聞いたことがある……」
『えっ!? ただでさえ私、お母さんより年上なのに、それは大変!』
リーンが慌てて湯船から出て着替え始めた。
メルちゃん達は、口をぽかーんと開けてボク達を見ている。
「また魔界に行くことになったから、入り口を開けてほしいんだけど」
『分かりました、いつ頃帰ってきますか?』
「どうだろ……3日くらいかな? 戻るときにはアイちゃんに念話を飛ばしてもらうね」
正直、その辺はアイちゃんから聞かされていない。それに、魔界を楽しむという意味も分からない。戦争だっていうのに……。
一緒に買い物に行きたいだの、美味しいものを食べに行きたいだの駄々をこねるリーンを連れて魔界へ通じる空間の狭間へと飛ぶ。
目の前には、渦を巻くおどろおどろしい闇が口を開く。何度見ても恐怖を拭い去ることが出来ない。
皆で手を繋ぎ、勇気を振り絞って闇の中へと飛び込んでいく。
★☆★
「ここが魔界……思っていたより普通、ですね」
「だよね。あ、ヴァルムホルンがそのままある! そうだ、お土産は何を買っていこうかな」
「地上よりも空気がピリピリしてるよ……」
メルちゃんは冷静だけど、レンちゃんは修学旅行気分でハイテンションだし、エクルちゃんは尻尾がぶるぶる震えている。緊張しているのかな。このまま魔王城キュリオ・キュルスに転移しちゃっても大丈夫だろうか……まぁ、食堂に行けば落ち着くでしょ!
「魔王の所まで飛ぶよ! 転移!」
★☆★
『うわぁ、びっくりした!』
キュリオ・キュルスにある食堂に転移したボクの目の前には、魔人のフラムさんがいた。クビにならずにしっかり働いているようだ。
『リンネか? 久しいな! どうだ、この繁盛ぶりは!』
フラムさんが両手を広げて自慢げに店内を見せる。
「すごい!!」
空席が見当たらないほどお客が入っている。
殺風景だった店内にはオシャレな装飾が増えている。なんだか、サイ○リアみたいだ。
フラムさんが活躍したのか、ボクがこっそり教えたスイーツレシピがウケたのか、魔王の新作がヒットしたのかは特定不明だけど、賑わっていて良かった。
でも……とにかく、至るところに魔人、魔人、魔人……案の定、エクルちゃんは腰が抜けたみたいに地面に女の子座りをしてしまった。落ち着かせるはずが、逆効果になってしまった。耳をなでなでして安心させてあげる。
「店長さんいる?」
ボクは真面目な顔を作って、フラムさんに小声で囁く。魔王リド、双子の妹の副王リズ……多分、名前を言ってはいけない気がした。
『大事な用事があるみたいだね。付いておいで』
空気を察したのか、フラムさんの表情も変わる。
ボク達は、フラムさんの後ろにぴったり付いていった。
テーブルを掻き分け、魔人の横を通り抜ける。ボク達に視線が集まっているのを感じるけど、目を合わせないようにしよう……。店内には他にも何人かの店員さんがいるみたいだ。厨房ではリズさんが笑顔でボクに手を振っている。やっぱり美人さんだ。ボクも手を振り返す。
階段を下りた先の地下室に魔王リドは居た。
食料貯蔵庫のような場所でメモを見ながら唸っている。
以前見たときよりも威厳がある。店長としての先入観が抜けた為か、魔王の貫禄がひしひしと感じられる。メルちゃん達は緊張で手足が震えている……。
『勇者リンネ、見学に来てくれたのか?』
見学? 貯蔵庫ツアー?
「いえ、そういう訳ではないです。魔界で近々戦争があると聞いて……ボクの仲間、アルン王国のアイちゃんからの手紙を持ってきたんです」
そう言いながら、リドに手紙を手渡す。
リドは手紙を開封し、読みながら語りだした。
『実はな、魔人ウィズレイが魔王選抜大会なるものを提案してきたのだ。要するに、1対1で戦い、最も強い者、もしくは最も運に恵まれた者が魔王になれば良いということだな。あいつめ、面白いことを考えやがる』
望むところだと言わんばかりに、二カッと微笑むリド。口からはみ出す犬歯が怖い……。
「ウィズがそんなことを!?」
『それで、アルン国王からの親書だが……リンネ、メル、レン、エクル4名の大会登録と、予選免除申請だ。地上世界からの参加ということは伏せ、我が国の客人とさせてもらうことになる。これで我が国の予選免除者は、俺とリズを含めて6名になるわけだ。大会規定だと魔王しか予選免除が受けられないんだがな。“西の王国は弱小新興国だから、このくらいは優遇してもらわないと平等とは言えない”なんて書いてあるぞ。はっはっはっ! 面白い国王だ!』
アイちゃん……冷や汗かかせないでよ。それにしても情報通にも程があるし。まぁ、大会で正々堂々とウィズが魔王になるのを防げということかい。
でも……現役魔王や、上級魔人が参加してくるんだよ、勝ち続ける自信なんてないよ。これは、さらなる修行と作戦会議が必要だね!
「大会の開催はいつからですか?」
『明日からだ……』
「「……」」
大会概要については、アイちゃんの提案を受け入れていくつかの新ルールが適用され、各国に通達された。
明日はまず予選が行われ、明後日の朝から本戦開始となるようだ……。ボク達は無事に予選を免除されることになり、明日は朝からのんびりと予選を見学して、夕方の本戦抽選会を待つことになった。
■魔界統一戦争
1、本戦出場者32名がA~Hの8ブロックに分かれ、1対1のトーナメント形式で戦う
2、1回戦、2回戦、準々決勝、準決勝、決勝の5試合全てに勝利した者を魔王とする
3、組み合わせは完全なる抽選で決する
4、相手を降参させるか、気絶させた者を勝者とする
5、相手の命を奪った者は失格とする
6、魔法、武器の使用は可能だが、装備品以外のアイテムは使用禁止とする
※3~6の新ルールを追加する
「リンネちゃん、あたしお腹が痛くなっちゃった」
「レンちゃん、無理せず、勝てそうでなければ降参しようね」
「いいえ、皆さん! 折角なので、優勝を目指しましょう。そうすれば、自ずとウィズの打倒も果たせますからね!」
メルちゃん、どうしてそんなにやる気満々なの……あらら、エクルちゃんの耳と尻尾が垂れまくりだよ。
魔界滞在中、魔王リドの食堂2階にある客室を借りられることになった。
大会は、キュリオ・キュルス城外の南側大平原で行われる為、移動する必要はない。
その夜、前哨戦として行われた“もふもふ争奪戦”に勝利したボクは、十分な英気を養うことが出来た。
★☆★
早朝、気分良く寝ていたボクは、メルちゃんに起こされた。
何時だろう……寝ぼけ眼で見回すと、隣ではレンちゃんとエクルちゃんが抱き合って寝ている。何だかずるい。
「リンネちゃん、軽く汗を流しましょう」
なになに!?
メルちゃんに引きずられるようにして連れて行かれた。ちょっと強引なメルちゃんに、ドキッとする。
一緒にシャワーを浴びるのかと思ったら、修行の相手をさせられた……。
メルちゃんの戦闘を久しぶりに見た。見たというか、全身で味わった。
パワー、スピード共に申し分ない。
ボクは何とか棒で攻撃を逸らし、反撃を試みたんだけど……当たらなかった。全くと言っていいほど、隙がなかった。
軽くと言いつつ、2人とも熱が入り過ぎてしまい、1時間以上も模擬戦をしてしまった。
結局、魔法なしではボクの10勝32敗。お互いに本気とは程遠かったけど、実戦の経験しかなかったボクには得るものが大きかった。
メルちゃんのお陰で、棒術が上級に上がった!
ボクがメルちゃんの役に立てたかどうかは、自信がない……。
模擬戦を終えてシャワーを浴びる頃、レンちゃん達ものそのそと起きだしてきたので、全員でシャワーを浴びることになった。
うん、最高に良い朝だ!
朝食は魔王レシピだ。
メニュー名“地獄の豪華”だって。ギャグ?
謎の肉が使われているハンバーグと、色とりどりのサラダ、赤いスープ……。これって一応、人間が食べられる物だよね……。
さぁ、朝食を食べたら予選を見に行こう!
★☆★
予選開始は朝8時だ。
予選参加者はとても多かった。
人型だけでなく、体長50mを超える化け物まで混ざっている。会場が800m四方もあるけど、狭く感じるよ……。
“殺すの禁止”という新ルールのお陰だと思う。
運営さんが、7時過ぎから何度も同じ説明を繰り返し叫んでいる。だんだんと声が嗄れてきて、聞いているだけで胸が痛む。
説明を要約すると、大会運営側で魔力を測り、上位10名が予選通過となる。そして、残りの予選参加者を14ブロックに分け、トーナメント形式で勝ち抜いた14名が本戦出場になるらしい。北王と南王を含めたボク達8名は予選免除だから、この予選通過者24名を加えた32名が本戦出場となるわけだ。
魔力測定なんてされたら、ボク達はダメダメじゃん。レンちゃんなんて3.90しかないし……アイちゃん、ナイスだよ!
ボク達はウィズを探していた。
あいつの手の内が少しでも分かればと思ったが、測定による上位10名に入って予選通過してしまったらしい。しかも、予選通過第1号だ……なんか、むかつく。
他にも、北王四天王や、無所属参加の全員が魔力測定による予選通過になっていた。これでは強い奴の戦い方が見られない……予選を見学する意味がないじゃん!!
予想通りと言うか、何と言うか……西からの参加者は負け続け、軍団長らしき1名しか予選を通過しなかった。
彼の戦い方は、巨躯で大槍を縦横無尽に振り回すという滅茶苦茶なものだった。でも、パワーだけでなくスピードも凄まじい。あれを跳ね返す膂力はないわ。
北からの参加者は少なかったが、その割には多くが勝ち進んでいたようだ。どちらかと言うと、剣や槍を用いる正統派戦士が多い気がした。名前を覚えているのは“デル”という魔族だけ。6本の腕に剣を持つクラーケンみたいな見た目もかなり強烈だったけど、名前が短いから……。
対して、南の猛者達には魔術師系が多かった気がする。地上と関わりがあるのか、白系の軽装鎧を身に纏っている姿が目立った。あと、女性が多く勝ち進んでいた。強いて挙げれば、“ゾフィ”かな。鎧ではなくローブを着ていたんだけど、凄く胸が目立っていた。ただ、それだけ。
レンちゃんやエクルちゃんは、参加者を見て強い強い叫んでいたけど、メルちゃんは不敵な笑みを浮かべて見ていた。十分やれる自信があるんだと思う。
ボク的にも、参加者を平均すると中級魔族の“ベリアル”くらいで、特に強いとは思わなかった。目立つレベルでも、魔人序列最下位だった“ギャラント”くらい。でも、強い奴ほど手の内を見せないで勝ち進むものだからね、油断は出来ない。
夕暮れが迫る中、いよいよ本戦の抽選会が始まった。
ウサギ耳の魔族が箱の中から名前が書かれている札を引き、犬耳の魔族が壁にあるトーナメント表に貼っていく。
体のでかい魔族が壁際を独占していて全く見えない!
でも、札を貼るたびに上がる喚声や悲鳴で、興奮した雰囲気が伝わってくる。
ボク達の隣に魔王リドが来た。
壁際に居た連中が、さっと場所を空ける……さすが魔界、弱肉強食感がすごい。
壁に掲げられたトーナメント表を、魔王リドと一緒に眺める。
( )に所属が書かれているようだ。当然だけど、知らない名前が多すぎて、強いのか弱いのか全く分からない……。
■本戦トーナメントの組み合わせ
A:ノクト(北) × タタン(北)
バハムート(無) × リズ(西)
B:ゾフィ(南) × ギルヴェスト(北)
デ・ラーズ(南) × ウィズ(無)
C:メル(西) × ハウール(北)
セムソチ(無) × ムムゥ(北)
D:エト・ニドン(南) × ガラハド(西)
リド(西) × ゲス(北)
E:エクル(西) × カーリー(南)
アビス(北) × サーゲイロード(北)
F:レン(西) × グーヤーズ(南)
メノム�鶚 (無) × フンババ(北)
G:カーシム(南) × テラ(南)
ラムザ(北) × ラクシュ(南)
H:ノロイ(南) × デル(北)
リンネ(西) × アズィール(北)
「えっと、西は……とりあえず1回戦ではお互いに当たらないみたいだね。西が7名、北は12名、南が9名、4名が無所属かな。ボクは……あれ? あった、最後の試合だ!良かった……勝ち進んでも魔王と当たるのは4回戦の準決勝だ」
「私は……Cブロックの第1試合です。相手は、北のハウール?」
『ハウールか……北王四天王の筆頭戦士だ。運が悪いな』
「相手が、ですけどね」
おっと、メルちゃん強気……。
「あたしはFブロックだよ。グーヤーズって、強いの?」
『南王の魔人兵団所属の将軍だが、どうだろうな。南の中堅くらいだろうか』
「僕はEブロックだな。カーリー? もしかして、カレー屋さん?」
「……」
エクルちゃん頑張れ……としか言えない。
『南王カーリー……魔王だ』
「お疲れ様~、僕はそろそろ地上に帰りますね」
「こらっ! 戦ってみなければ分からないでしょ! 勝ったらご褒美あげるから!」
逃げるエクルちゃんの尻尾を引っ張るボク。ご褒美という言葉でちょっと足が止まった。良かった。
『悪いが、決勝は俺とカーリーになりそうだな』
あぁ、ボク達は完全に舐められてるね!
ぎゃふんと言わせるよ!面白いじゃん!
あ!
後ろを振り返ったボクは、声を張り上げている狼っぽい魔族を見つけた。
これは……予想屋さん?
ボクは早速、予想屋が配っている紙を受け取った。
魔力量だけで勝敗が決まるとは考えられないけど、魔力と各国での序列が書かれているので少しは参考になるかな。それにしても、地上の魔人と比べると弱い気がする。
って……やっぱり舐められてる!
<的中確実!ホロホロ大予想>
※ 本戦のブロック予想(1~2回戦)
※ ◎大本命 ○対抗 ▲穴 ×大穴
※ 数値は運営による魔力測定値
【A】西の副王リズと地力のある竜魔族バハムートが潰しあう。よって、ここは北王ノクトの独壇場だろう。
◎ノクト(北王/測定なし)
×タタン(北8位/110)
▲バハムート(無2位/190)
○リズ(西の副王/測定なし)
【B】魔王級と噂される鬼人族ウィズの実力はいかに! デ・ラーズと競るようなら、ゾフィにもチャンスはある。
▲ゾフィ(南4位/130)
×ギルヴェスト(北12位/90)
○デ・ラーズ(南2位/200)
◎ウィズ(無1位/280)
【C】北王四天王筆頭戦士が余裕で勝ち抜くだろう。謎の女戦士セムソチがどう戦うかがポイントだ。
×メル(西5位/測定なし)
◎ハウール(北2位/180)
○セムソチ(無3位/155)
▲ムムゥ(北11位/95)
【D】2回戦でガラハド大将軍が棄権するようならば、西の新王リドが無傷で勝ち上がるだろう。
▲エト・ニドン(南8位/100)
○ガラハド(西3位/125)
◎リド(西王/測定なし)
×ゲス(北10位/95)
【E】カーリーに死角なし! あえて見所を探すならば、2回戦のカーリー対アビス戦だろう。
×エクル(西7位/測定なし)
◎カーリー(南王/測定なし)
○アビス(北3位/165)
▲サーゲイロード(北6位/125)
【F】全く面白みのないブロックだ。古の魔王の血を引くメノム�鶚以外は、見る価値すら感じない。
×レン(西6位/測定なし)
○グーヤーズ(南5位/110)
◎メノム�鶚 (無4位/145)
▲フンババ(北9位/95)
【G】不運にも南の戦士が3名固まってしまった残念ブロック。うまい戦略で北王四天王の一角を崩せるか!
○カーシム(南6位/110)
▲テラ(南9位/95)
◎ラムザ(北4位/160)
×ラクシュ(南7位/105)
【H】ここも南北対決だ! 1回戦を楽に勝ち抜ける北王四天王4番手のアズィールがやや有利か?
○ノロイ(南3位/135)
▲デル(北7位/115)
×リンネ(西4位/測定なし)
◎アズィール(北5位/140)
さて、こんな予想は皆に見せられないや。奮起してくれたら嬉しいけど、やる気をなくすかイライラするだけだよね。
ボクは、丸めてゴミ箱に放り投げた。
それをウィズが拾い、お腹を抱えて笑っていることには全く気付かなかった。
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